概要
1994年6月27日の深夜に発生したテロ事件。
長野県松本市の住宅街にサリンが撒かれ、8人が死亡、600人が負傷した。
犯人はオウム真理教であり、翌年に発生する地下鉄サリン事件の前兆となった。
犯行は専用に改造した2トントラックで行われ、約50分間にわたり噴霧した。
犯行動機は、かつて松本市に道場と工場を建設する際に住民の反対運動に遭い、工場は頓挫。道場も縮小せざるを得なくなったことを発端とする逆恨みであった。
当時は化学兵器を用いた無差別テロの前例がなかったために、原因の特定には時間を要した。
オウムが犯人という疑惑も当初からあったものの、うまくごまかされたり、翌年に発生した阪神淡路大震災が世間を賑わせたことで有耶無耶になり、結局は地下鉄サリン事件後に確定した。
また、長野県警の杜撰な捜査により、第一通報者の男性が犯人であるかのように公然と扱われる冤罪と報道被害も発生。
後になって真犯人が発覚し、更にこの男性が長野県公安委員会(長野県警の上位組織)に就任するという追放ものを地で行く展開になると、警察やマスコミは逆に謝罪に追われる羽目になった。
ちなみに、この男性は事件で妻を亡くしており、二重の意味での被害者である。
余談
- 事件名は松本市に由来し、麻原彰晃の本名が松本智津夫であることとは無関係。
- 事件直後に、オウムの犯行であることを示唆し、後の地下鉄サリン事件を予言する内容の怪文書が出回っている。執筆者は不明。
- ただのマニアや公安、オウム真理教幹部とも言われている。
- オウムがサリンを使用したのは今回が初めてではなく、1993年末に創価学会に、1994年5月に滝本太郎弁護士に対し使用している。しかしどちらも失敗に終わり、この事件で初めて殺傷に発展した。
- 「実行犯やオウム真理教幹部さえ本事件に関しては『どうせ、また失敗するだろう』と思っており、本事件の予想外の『大成功』が後の地下鉄サリン事件の一因となった」とする説も有る。
関連項目
三億円事件、女子高生コンクリート詰め殺人事件:こちらも冤罪によるバッシングの被害者を出した事件。前者は容疑者扱いされた人物が自殺へと追い込まれた。