柾木アイリ
まさきあいり
銀河アカデミー理事長兼、GPアカデミー理事長。
無論、本人もまた優れた哲学士(天地無用!ワールドに言うところのアカデミーに所属している「最高位の研究者」のこと。特にアカデミー最高峰の知の集積所であり別科で培われた知見を収束させて究極的倫理として統一理論・絶対真理にまとめあげる事を目的とする学問を修め究めるべく設立された、アカデミーの根元となる学科「哲学科」に所属している研究者の事)である。
柾木勝仁の内縁の妻であり、柾木天地のおばあちゃん。旧名はアイリ・マグマ。
とはいえ「おばあちゃん(お祖母様、刀自様)」などと呼ばれるとキレ散らかす。
一応は学術機関の長でありながらもステゴロ上等の脳筋であり、物事は宇宙的スケールで考えるため「こまけぇこたぁいいんだよ!!」を地で行く、スーパー肝っ玉超豪快オネバーチャン。(え? 天地シリーズの女性重鎮キャラなんざ、みんな似たようなもんで上には上がいるだろう? ……うん。そりゃ、まぁ……ねぇ)
その性質は、ものの見事に娘たち(特に天地の母である柾木清音に)受け継がれている。(が、娘の水穂や清音、孫娘の天女からは「あんなん(アイリ)と一緒にすんな」「無理。あれは無理! あの領域は無理!」と言われる。ただし、それを聞いた信幸や勝仁からはそっと鏡を差し出される次第)
もともとは樹雷と対立していた宗教国家アイライ、その中枢を担うアイライ教の教主の娘であり、実家のマグマ家は代々教主の座を保持していた。
しかしアイライはマグマ家の親族でもある原理過激主義の司教一族に牛耳られており、アイリの父は同家の傀儡となる事で辛うじて自らの権威とアイリの命を保てている状態であった。しかしアイリの父は「宇宙の為政者はアカデミーで他国の価値観を学んでいる。その常識が無ければアイライがどんな教えを説いた処で机上の空論・砂上の楼閣にしかならない」という宇宙の国際常識を盾にし、アイリをアカデミーに逃していた。
それはアイライ(司教一派)にしてみれば愚かしい時間稼ぎにしかなっていないのだが、アイリの父にとってみればアイリがアイライの外の常識を学び「自分だけの武器」を手に入れられる事を期待しての、自らの立場を投げ捨ててでも我が娘に託したかった、乾坤一擲の「父の愛」であった。
しかしアイライの常識に縛られていた(ある意味では洗脳されていたに等しい)アイリは、そんな事は理解できておらずアカデミーで無為に青春を貪る日々を送っていた。もっとも好事魔多きアカデミーのシッチャカメッチャカな青春を当初ムリヤリのち積極的に駆けずり回らされた事で、そんな常識や洗脳は早いウチから銀河の彼方へスッポ抜けてしまい、最終的には吶喊気質の脳筋娘へと進化してしまった。それでいいのか哲学士……と言いたいトコロではあるが理論よりも拳が強い天地ワールドの学者なんざ、たいがいそんなモンである。おい、学問しろよ(してるんだけどネ。彼女らの価値観上では)。
のちに樹雷の皇太子、柾木遙照樹雷(のちの勝仁)のアカデミー留学に際し、彼の案内人を引き受ける事となる。それはアイリにとっては「樹雷が秘匿する神(津名魅)とコンタクトを取り、その事が宇宙の人々にとってどれだけ『ズルい』事かを訴え、そして樹雷から神を引き剥がす」使命を帯びての事であった。
しかし遙照を通して船穂と出会い、樹雷の「神様っぽいけど違うナニカと『友だち』になったのであって、縛っているわけではない。そもそも『皇家の樹』は神様に見えるっぽいけど神様じゃない。それに津名魅と樹雷は友だちだけど、友だち故にそんなに都合の良い間柄ではない」という真実を知ると、その真理に目覚めて彼女もまた船穂の"友だち"となった。そしてアイライの皆が「勘違い」している事実を哀しみ、その認識の齟齬をなんとか覆そうと考える。しかし少女のそんな友情の願いを嘲笑うかのように事情は風雲急を告げた。
アイライでは司教一派が完全に教主を圧倒し絶対的権力者に居座った。そして状況を察した樹雷は遙照を本星へと半強制的に送還させる。最後に永の別れとなる事を悟った二人は、せめてもの逢瀬を互いに懸命に過ごした(というかソレを瀬戸様が、いつものアレで思っくそ焚きつけちゃったのだが)。
かくてアイリを守る最後の砦は壊れ、彼女は政略結婚のために婚約者を用意されてアイライに連れ戻される。しかし実は、この時にアイリは既に遙照(勝仁)の子を妊娠していた。
一方で同時期にアイライでは宇宙開闢以来最悪と呼ばれた悪辣なる詐欺師にして扇動者なる宇宙犯罪者ウィドウーによって、あらゆる価値観が崩壊する壮絶な動乱が巻き起こった。
アイリは我が子を守るためにアカデミー時代によって培った知恵と勇気を駆使して一人アイライから脱出。アカデミーに亡命して娘の水穂を産む事となった。
なお対外的には樹雷皇・柾木阿主沙樹雷の養女、という事になっている(崩壊したアイライの正統を保護するため、という名目による。樹雷の勢力圏内にもアイライ教の信徒はいるため、樹雷としてもアイライと表立っての敵対は望んでいない)。当たり前だが遙照との夫婦関係は遙照自身の生存がトップシークレット扱いである事から超機密事項(ハイパートップシークレット)である。
アカデミーの哲学士としては鷲羽の直流の系譜を継ぐ者のひとりであり鷲羽の直弟子であった哲学士が最初の師匠にあたる。また、その関係によって学生時代から数多くの「鷲羽の遺産」の管理の任にもあたっていた。また鷲羽が大系を整えたアカデミー神拳の使い手であり、鷲羽をして「お見事」と言わしめる猛者。OVA3期後は鷲羽の直弟子となった。
趣味は料理。腕前はプロ級。学生時代に常連だった店を継ぎ運営している(ただし理事業や哲学士としての仕事も忙しいため、件の店は「店主の気紛れで開く幻の店」と化している)。
後にアイリと水穂の消息を知った勝仁と内縁の妻という関係になり、二人目となる娘の清音(天女&天地姉妹の母)を産んだ。