森光蘭
もりこうらん
子供の頃からそうだった
欲しい食べ物が欲しい女が欲しい金がほしい家が欲しい絵画が欲しい
何かが手に入れば次のもの次のもの
満たされることなど味わったことがない
永遠に尽きない 欲望
※作中に登場した最強最悪の魔道具「天堂地獄」についてもここで扱う。
CV:納谷六朗
紅麗の養父。
COCOM財団の総帥で、一代で巨万の富を築いた。
慈善事業家として活動する表の顔があるが、裏武闘殺陣の元締めなど裏社会の首領としての顔を持つ。
幼い頃から尽きることのない欲望に支配されており、得たものを失わないため永遠の命を求めている。
性格は簡単に言うと人間の負の部分を煮詰めたような男。
自らを動かす「欲望」に忠実であり、不老不死を求めるのも欲望を満たしても、死んではそれが意味を成さないという考え方から。
部下に反逆の意思を抱かせまいとする心理操作に長けるとともに非常に悪趣味であり、自分の手駒となる者たちには
あえて試練で恋人同士で殺し合いをさせ心を閉ざした戦士にさせたり、精神年齢が非常に幼い相手なのをいいことに、絶対的な父親として性交渉をも交えて依存させるなどして忠誠心を無理矢理高めさせている。
特に戸籍上の義理の息子である紅麗に対してはその力を利用して目的を適える最強の手駒でもあり
自分にとって妻であり紅麗にとっては恩人の月乃の命を人質に無理やり従えているが、同時にその力を非常に恐れている。
以下、「烈火の炎」の重大なネタバレを含みます!!
裏武闘殺陣決勝
決勝戦、紅麗と烈火が死力をぶつけ合う中、一人どこかへ向かい、何かを破壊していた。
烈火が勝利し、紅麗もそれまでの烈火に対するコンプレックスを吐露し、全力を出して敗れたことで一人穏やかな気持ちに浸ってた中、紅麗のクローンである煉華を引き連れ彼を急襲。
そして、彼が「裏武闘殺陣」を許可したのは火影忍軍の紅麗を倒せる可能性を認め、最強の手駒でありながら最大の恐怖の対象である紅麗を疲労させ倒すこと、即ち紅麗暗殺のためだったと暴露。
治癒の少女と並び不老不死のキーとなる最強最悪の魔導具「天堂地獄」の存在と在処を知った彼にとって、最早紅麗は不要であり、むしろ危険性のほうが大きかったのだ。
この紅麗急襲はあと一歩のところで麗十神衆音遠の機転により失敗し、物語は次の章へと向かう。
封印の地編
森の私兵部隊としての姿を表した「裏麗」を統率し、彼らに火影忍軍の迎撃・佐古下柳の誘拐を指示しつつ、自身は封印の地で天堂地獄を求め動く。
しかし、裏麗のうち首領格であった螺閃、鬼凛の戦意喪失もあり、火影忍軍は森光蘭に追いつく。
ボディガードの煉華と八神と戦わせる中、自身は只管に左腕が消し飛び、身体中がボロボロになりながらも天堂地獄を求め続けた。
そしてその恐ろしいまでの「欲望」「負の力」についに天堂地獄の中に存在する作成者「海魔」の人格に認められ、天堂地獄と融合する。
幾重もの目玉があり、内臓と血管をむき出しにし、片腕は触手となった「化け物」となりつつ、火影忍軍、かつての部下緋水、実は生きていた紅麗らを分裂の性質もあり圧倒するも、海魔の助言もありあまりに長く戦っていては力までも無限に分裂し、弱くなってしまうことに気が付き逃亡。
また、この融合をきっかけに「食欲と性欲を同時に感じる」体となる。
これ以降、彼の取る食事はすべて「性的快楽を伴った食」すなわち人間の女性に暴行・強姦を加えながら彼女たちを食する行為となる。
さらに部下の一人である葵を柳たちの高校に転入生として侵入させ、柳の拉致に成功する。
柳をさらうが、真の不老不死に必要な彼女との融合には彼女の生命エネルギーを極限まで低下させる必要があり、暫くは葵に命じてそれを行わせていた。
このとき、本体は力を蓄えるため眠りに入り、森光蘭の人格の「山千」と海魔の人格の「海千」という二つの分裂体に指示を任せていた。
その後、要塞SODOMにて裏麗と火影忍軍を戦わせつつ、自身は柳のエネルギーが低下した頃合いを見計らい天堂地獄本体と柳の融合の儀式を始める。
小金井薫、陽炎、石島土門、霧沢風子、水鏡凍季也らを再生・分裂の能力もあり圧倒しながら、ついに本体が目覚める。
このときの姿は森光蘭、海魔どちらにも似てない、悪魔をモチーフにした美形の青年の姿。本人曰く「最も恐怖した男」である紅麗への皮肉を込めて作ったものらしい。
自分を父と慕う煉華をも単なる炎耐性の為だけに取り込み、烈火や紅麗をおいつめる。
かつての部下の葵と蛭湖の協力もあり一旦は柳をすくうことに成功したが、ときは遅く柳は死んでしまう。
しかし、紅麗や火竜たちの声援もあり、烈火は死んだ魂を炎へと変える性質を持つ最後の火竜・裂神を開放。
それにより魂が天堂地獄に融合し切る直前に柳を炎と変え、彼女の治癒の力を受け継いだ「癒やしの炎」により天堂地獄の力の源泉でもある「負の力」が消滅していく。
紅麗と烈火の連撃を受けながら、最期の時を迎えた天堂地獄。
誰より人間らしく「欲望」を求め、人間から不死の化け物になった男は、最後の時まで人間らしく死を恐れ、人間ゆえの「欲望」の未達成を嘆いていた。
「地位も…権力も…このボタンで肉塊と化す─仮初めの母も……貴様の全てを…私が奪う!」
作者の安西信行氏によると、森光蘭は 『こんなクズ見たことない』という極地を目指して書いていたとのこと。
安西氏は自制心が欠落しているだけで、欲望を求め続けた森は「烈火の炎」で最も「人間」であったと言う評価を下しており、「逆説的な意味で」森光蘭を好きであるらしい。
そのあまりの邪悪っぷりは非常に強いインパクトを残し、醜悪ながらも強い意思の持ち主であることから悪役としての完成度は高く、外道ながら読者の間でも高い人気を誇っている。
なお、アニメ版では裏武闘殺陣で作品が終了したため、天堂地獄関連のエピソードが丸々カットされているため黒幕だったが紅麗と烈火に計画をひっくり返され死んだおっさん程度の立ち位置であり、強大なラスボスとして立ちはだかった原作と比べ影が薄くなっている。