概要
1930年前後から北アメリカに伝わっている妖怪。
頭と尾びれ以外に真っ白な毛皮をまとう珍妙な魚で、極寒の時期にのみ現れる。そして暖かくなると毛皮を脱いで普通のマスやサケと同じ姿になるとされる。
英語名も、「Fur-bearing trout(毛を持つマス)」とそのまんまである。
他に類を見ない程独自の進化を遂げたこのマスは、未確認生物として扱われる。しかし、実はこいつのサンプルはバッチリ採取されているため、未確認生物には珍しく正体解明の手前まで来ている。
……というか十中八九正体が判明している。
その正体
綿かぶり病によってカビだらけになった野生のマス。
この病はミズカビという菌が傷口などから寄生して徐々に筋肉や皮膚、内臓組織などを侵食していく。
これに罹ると、あたかも綿をくっつけているような見た目になる。そしてこの病気に罹ったマスは冬に多く発生するので、寒い時期に現れるとされる言い伝えにも合致する。
薬で治療できるのだが、「毛皮マス」は野生の魚のため、罹ったら最後、あとは死ぬだけである。
最終的には身体はカビに覆いつくされ、真っ白なエビフライのような姿になってしまう。
たまに釣れるので博物館には釣り人から剥製が寄贈されることがあるらしい。
なお「綿かぶり病に罹ったマス」というのが定説になっても、毛皮マス自体の存在は否定されていない。なので正真正銘の"毛皮マス"が実在すると信じている者もいる。未確認生物ってそういうもんです。
関連
タキタロウ:2m以上もある大きなマスのような姿とされる未確認生物。
かつてこいつの若魚とおぼしき個体が採集された際にはアメマスやイワナに近いという結果が出たが、その大きさからマスノスケ(キングサーモン)辺りではないかとする説がある。
チュパカブラ:病気に罹った野生動物がその正体とされる未確認生物。こちらは疥癬に罹り毛が抜け落ちたコヨーテや野犬だと考えられており、毛があるはずのない魚が毛皮をまとう「毛皮マス」と、本来毛むくじゃらであるべき獣が丸裸になってしまったチュパカブラはなんとも対照的。