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※以下、原作ゲームの重大なネタバレを含む為クリア後の閲覧を推奨。


概要編集

1994年に月刊Gファンタジー(平成5年12月号)から連載されていた漫画作品で『ゼルダの伝説 夢をみる島』のコミカライズ。漫画版の中で唯一ラストまで描いている。

作者はかぢばあたる。著者にとって初の連載作品であり、初の単行本である。全2巻。


リンクとマリンの交流、そして魔物とのバトルを中心に描いており、ゲーム以上に悲恋的な物語となっている。特に魔物は無関係な人間たちまで手に掛けようとするなどとしての側面が強く描写されている。リンクの戦闘描写が非常に多いのが特徴。

反面、原作で見られたお惚けギャグギャグ要素は殆どない。第1巻ではギャグもあったが、第2巻からはシリアス重視になる。


なお、この連載が終わった後、かぢば氏は前日譚に当たる「漫画版神々のトライフォース」の連載を手掛けている。

神トラ編のラストでリンクは旅立ち、そこから夢島編へ繋がるとあとがきにて語られている。


登場人物編集

 主人公。一人称は「オレ」。ハイラルを救った勇者。熱血漢で勝気な少年。自分を助けてくれたマリンに一目惚れする。マリンたちを魔物から守るために戦うが、後に目覚めの使者の使命を知って悩み苦しむ。

 ヒロイン。一人称は「あたし」。歌うことが大好きな普通の女の子。原作とは違い一貫して可憐で優しい性格。リンクとは両想い同然になる。

  • 【リンクのパートナー】フェリサ

 本作オリジナルキャラクター。リンクのパートナーとなる小さな妖精。性格はリンクに負けず劣らずの勝気だが根は優しい。楽器を収納して持ち運んでくれる。リンクとマリンの仲をからかうなど彼に恋愛感情はない。

  • 【使者を導く者】フクロウオヤジ

 リンクを導く謎のフクロウ。フクロウのオヤジとも呼ばれる。リンクの冒険のお供にフェリサを紹介した。本作ではフェリサの上司という立場が強調され、余計なことを言おうとしたフェリサに「黙れフェリサ」と高圧的な態度を見せる場面も。

  • 【マリンの父親】タリン

 原作よりも体格が大きくリアルな肥満体型になっている。娘想いであり、リンクがマリンに言い寄っていると誤解した時は怒っている。リンクとマリンがいい雰囲気になるとお邪魔虫になることが多い。

  • 【戦士の霊魂】ナクラ

 リンクに取り憑いたオバケ。かつては戦士として魔物たちと戦っていた。

 作者曰く「県が折れたリンクが宝箱を開けて新たな剣を手に入れるのではつまらない。オバケを戦士に仕立ててその剣を継がせよう」ということで戦士設定が生まれた。またハイラルに帰りたいリンクと家に帰りたいオバケという対比も意識したという。

 名前の由来は「古代インドの叙事詩、マハーバーラタに登場する、正義の5人兄弟の3男坊」とのこと。

  • 【力の刺客】カルナ

 本作オリジナルキャラクター。眼帯を付けた巨漢のブタブリン。尊大で偉ぶった性格だが、実力自体はリンクに遠く及ばない。

 ウクク草原を取り仕切っており、魔物たちの中では幹部格に当たる。凄まじいパワーとタフネスを誇る。

 カルナを倒すシーンは前々からやりたいと考えていたというがベルセルクで先にやられてしまい、パクリと呼ばれるのを覚悟して入れたとのこと。

 名前の由来は、オバケ(ナクラ)と同じくマハーバーラタから。

  • 【技の刺客】マスタースタルフォン

 顔の神殿を守護する魔物。リンクも肝を冷やすほどの剣技の使い手。

 原作とは違い人間台のサイズに変えられ盾を持っていない。性格も冷徹な剣士となっている。

  • 【最狂の刺客】ドローナ

 本作オリジナルキャラクター。一つ目の巨漢でカルナを上回る実力を持つ。

 ヒノックス擬人化したような外見をしており、魔物であるが一つ目という点を除けば人間と変わらない見た目をしている。幹部格だが戦闘狂のため同胞から危険視され幽閉されていた。

 エピソードが丸々1つ分空いてしまい、急遽ドローナを登場させて対決させることとなった。かぢばは「夢をみる島のベストバウト」と気に入っている。

 名前の由来は「マハーバーラタから、主人公達のライバル的な凄腕戦士の名前を拝借しました」とのこと。

 ラスボス。魔物を統率してコホリント島を支配していた独裁者。独自設定として形態が変わるたびに人格も変化する。


あらすじ編集

修行を終え、故郷ハイラルを目指してイカダで海を渡っていたリンク。だが突然の嵐に巻き込まれ、イカダは転覆、自身も海の底へと沈んでいった。

意識を失っていたリンクはゼルダ姫の声で目を覚ます。しかし、そこにいたのはゼルダによく似た少女マリンであった。海岸に流れ着いたリンクは彼女の家で保護されていたのだ。


マリン「あたしの名はマリン。ヨロシクね、リンク!」

リンク「オレの名前はリンク…ってあれ!? 今リンクって言ったよね!? なんでオレの名前知ってんの!? もしかしてココは天国でオレはすでに死んでいてキミは天使か女神様なのでは!?」


動揺の余りマリンの肩を掴んで話を聞こうとするリンクだが、そこへマリンの父親タリンがやってくる。「ウチの娘に言い寄っている」と勘違いされたリンクは頭を小突かれてしまうのだった。

誤解が解けた後、タリンはお詫びとしてキノコ料理を振る舞うことを約束し、キノコ採りへ。


残されたリンクはマリンの料理を平らげた後、失くした剣を探しに村を出た。魔物たちに追われながら辿り着いた先で剣を見つけると、人語を解するフクロウが現れる。

彼は「風のさかなを起こさなければ使者は島から出られない」「村の北にある森で待っている」と言い残して飛び去っていった。

わけもわからず取り残されたリンク。そこへマリンがやって来る。タリンが森から帰って来ないというのだ。快くタリン探しを引き受けたリンクは、風のさかなについて質問する。彼女が語った島の伝説によれば、「風のさかなはコホリント島を治める神様で、タマランチ山にある聖なるタマゴの中で眠っている」という。もしも風のさかなが目覚めれば恐ろしいことが起きるのだとか。

マリンと別れ、リンクは一路ふしぎの森へ。


タリンはブタブリンの縄張りに入ってしまったため襲われてしまい、絶体絶命の危機に遭った。しかし、そこはハイラルの勇者リンク。間一髪のところで駆けつけ、


リンク「リンクダイナマイツキーック!!」


こうしてブタブリンを倒したリンクは、「テールのほらあな」のカギを発見。するとフクロウの声だけが聞こえ「島の謎を解かない限り坊やは一生出ることができない」と告げられる。タリンの案内でテールのほらあなに向かったリンクは、意気揚々とダンジョンの最奥を目指すのだった。


立ち塞がったボス・デグテールとの戦いでは頑強な皮膚と素早い動きに追い詰められるが、天井から落ちた破片が尻尾にぶつかり痛がったのを見て弱点を見出す。マリンとタリンが自分を待っていてくれると奮起し、回転斬りを決めてデグテールを見事打ち倒した。

そして最奥にてセイレーンの楽器を発見したリンクは、それを手にした瞬間、外へと転移させられた。


待っていたフクロウから「島の各地にある八つの楽器を集めれば風のさかなの謎が解ける」と告げられ、楽器を管理するお供として小さな妖精のフェリサを紹介される。

フェリサは勝気で口が悪く、マリンとは正反対のタイプだった。


フェリサ「ほらほら、ボサッとしてないで次のダンジョンに行こーぜ!」

リンク「な…何だよテメーは! 勝手に仕切るな!」

フェリサ「テメーじゃないよ! あたしの名前はフェリサってんだ。覚えときなよ、目覚めの使者さん!」

リンク「オレはリンクだ! そっちこそ覚えておけい!」


村へ戻るとワンワンがモリブリンたちにさらわれてしまったという話を聞く。アジトに乗り込んだリンクはモリブリンたちを容易く一蹴し、ワンワンを助け出す。

フェリサがワンワンに食われそうになるなど多少のトラブルもあったが、ワンワンのおかげで「ツボのどうくつ」を塞いでいた花が食べられたので進入が可能となった。

そして滞りなくダンジョンの守護者ヒノックスを倒し、二つ目の楽器を回収するのだった。


ワンワンの飼い主であるマダムニャンニャンからお礼としてキスされそうになったが、全力で逃げてお断りし、代わりに家宝のオカリナをもらうことに。


無事を知らせるべくマリンの家に戻ったリンクだが彼女の姿はない。タリンによれば海岸にいるかもしれないとのこと。マリンを見つけたリンクは、二人でしばしの談笑を楽しむ。マリンが歌った「風のさかな」の歌を聞いた後、以前はどうぶつ村のみんなとよく歌っていたという話を聞く。リンクはマリンの護衛を買って出、どうぶつ村まで送り届けると約束した。

道中魔物の大群に遭遇するが、リンクはマリンの前で殺生はしたくないと考え逃げに徹していた。しかしリンクは崖から落とされ、マリンが取り残されてしまう。


リンク「飛び降りろマリン!! オレがばっちり受けとめる! オレを信じろマリン!! 信じて飛べっ!!」


その言葉の通り、飛び降りたマリンをリンクはしっかりと抱きとめた。魔物たちを振り切った一行はどうぶつ村へと足を踏み入れる。

動物たちはマリンを歓迎し、マリンもまた動物たちと平穏なひと時を過ごす。


リンク「ああ…そうか…そうだよな…。人も動物もみんな想いを通わせて平和な日常を送るんだ。オレはきっとそれを実現するためにこの島に遣わされたに違いない……!」


島の平和のために剣を振るい、魔物たちを倒していくリンク。フクロウの導きに従い、ヤーナ砂漠に潜む黒き魔物の討伐へと向かう。素早い動きに翻弄されたが、フェリサのサポートによって勝機を見出し見事斬り伏せる。次のダンジョンのカギを手に入れた後、マリンと合流してメーベ村へと戻るのだった。

その帰り道、リンクはマリンに「すべてが終わったら、オレと……」と何かを伝えようとしたが、ちょうどタリンが現れてしまったので言い切れなかった。


翌朝、薪割りを手伝っているとリンクはマリンから「怪物がいなくなって平和になったらどうするの?」と尋ねられる。故郷に帰る旨を告げるリンクだが、マリンの表情が暗いことに気づく。そこでリンクは、昨日伝えられなかった言葉を口にする。


リンク「すべてが終わったら…さ。一緒にオレのふるさとに来ないかい?」

マリン「!!」

リンク「いや、あのホラ、旅ってのは楽しんだぜ。いろんな人や国があってさ。えと…その…」

マリン「リンク……うん、連れてって! リンクのふるさと!」


リンクが出掛けた後、マリンは彼の言葉を思い出して一人はにかむのだった。その様子をフクロウは静かに見つめていた。

アングラーの滝ツボに赴いたリンクは、ボス・アングラーと水中戦を繰り広げる。マリンとの約束はリンクに活力を漲らせ、「マリンを守る」という想いで勝利を掴み取る。しかし剣が折れてしまった。ダンジョンの外に出たリンクは、フェリサから背後に自縛霊がいることを指摘される。この自縛霊はナクラと名乗り、家まで連れて行ってほしいと頼んで来た。怖がりながらもリンクはナクラの頼みを聞き入れるが、そこへブタブリンの頭目カルナが勝負を挑んでくる。先手必勝で不意を突くも剣が折れていることを忘れていたため失敗。劣勢の中粘るリンクだが、足場が崩れて崖下へと落ちてしまった。


リンク(落下中)「ちっきしょォ、オレぁ負けちゃいねーからな――!! わかってるだろーけどオレぁこんなコトじゃ死なねーぞー!! あとでゼッタイ泣かせちゃるからな~~!!」

カルナ「リンクか……手強いヤツだった…」


絶体絶命のリンクを救ったのはナクラだった。一時的に憑依し、リンクを浮遊させて着地させたのだ。その足でナクラを廃屋まで送り届け、お礼として「強力すぎるあまり使いこなせなかった剣(ゲームで言うLv2の剣 / コホリントの剣)」を渡される。ナクラの正体は、かつて魔物と戦っていた戦士……リンクの先輩と言うべき存在であった。


リンク「続きを始めるぜ、ナクラ…これからは一緒に闘おう!」


リンクは再びカルナに勝負を挑む。ナクラの剣の威力はまさに圧倒的で、カルナの剣を持ち主ごと一刀両断にしてしまった。こうしてリベンジを果たしたリンクは、フクロウの言葉に従い「顔の神殿」へと向かう。しかしフェリサは「アレを見せるのはまだ早い」とフクロウに抗議するが、聞き入れられることはなかった。


神殿の守護者であるマスタースタルフォンを死闘の末に倒すが、彼は死に際に「貴様の意志が不完全なものだった場合、貴様は己自身に負けるだろう」と意味深な言葉を遺していた。不安に駆られながらも奥へと進むと巨大な壁画を発見する。それはこの島の真実が記されたものだった。

コホリント島とは風のさかなが見ている夢そのものであり、風のさかなの目覚めは島の消滅に繋がる。そうなれば島も魔物も人もすべてが泡となって消えてしまう。

それを信じられなかったリンクはフェリサに詰め寄り真実を問い質すが、返答は彼が望んでいたものではなかった。


リンク「なぜだ…なぜオレが目覚めの使者なんだ!? この島のことだぞ。なぜ島の人間にやらせないんだ!? なぜ部外者のオレに自分たちの命運握られて平気なんだよ!? 風のさかなを起こしちまったら全てパーなんだぜ!? 島や怪物はおろかマリンたちもみんな消えちまうんだ!!」


リンクが戦っていたのはマリンたちを守るためでもあったが、半分は故郷に戻りたいという想いからだった。その二つを叶えるための方法として、リンクは目覚めの使者をやめることをフェリサに告げる。それはフェリサとの決別を意味していた。


フクロウ「遅かれ早かれ知らねばならぬこと…しかしこのままでは納得いかぬぢゃろう。全力で抗うがよい…己の運命にな…」


マリンの家に戻ったリンクは、すぐにでも島を去ることを伝える。そして約束通りマリンを故郷へ連れて行くと言った。タリンも誘ったが「オラはこの島が好きだから」と残ることを選んだ。その夜は盛大な送別会が開かれたが、リンクの心が晴れることはなかった。

そこへどうぶつ村のうさぎ(ターボくん)から助けを求められる。どうぶつ村に魔物の大群が攻め込み、続けてメーベの村を目指しているという。

自分を狙ってきていると考えたリンクは、魔物たちの前に姿を現し、朝にはこの島を出ることを告げた。しかし…


「バカかおまえは。ダンジョンを三つも四つも超えて来たクセに何もわかっちゃいねえ」

「島を出る? 笑わせるな」

「貴様にとって道は二つに一つ。風のさかなを夢から覚まし『島ごと』俺たちを滅ぼすか。それをせず俺たちと永遠に戦い続けるか」

「どちらにせよ、俺たちのとる道はたったの一つよ。戦闘開始だ、目覚めの使者よ!!」


交渉は決裂し、リンクは激戦の中でナクラの剣の力(剣ビーム)を目覚めさせ、魔物たちを討ち滅ぼした。だがそこに勝利の余韻はなく、ただただ虚しさだけが残っていた。「風のさかなを起こさない限り島から出られない」という魔物たちの言葉は、今もリンクの心に影を落としていた。

翌朝、マリンを伴ってイカダで島を出るが、どれだけ漕いでも島は遠ざからない。リンクの手が血豆だらけだと気づいたマリンは、島へ戻ることを提案するのだった。

海岸に戻ったリンクは、マリンに島を出たい理由を尋ねる。すると彼女は、子供のころから見ている『夢』の話を始めた。


マリン「見たコトもない街で顔も知らない人たちと出会っては別れ…あたしはいつも笑顔に囲まれて唄っているの…。でね、夢の中のあたしはすっごく楽しいもんだから、こう思うの。『これは夢だけど覚めないで…』って。でも…いくら楽しくてもそれはしょせん夢でしかないわ。いつかは覚めなくちゃいけないよね」


マリンが立ち去った後、リンクの前にあのフクロウが現れる。そして迷い続けるリンクの心に問い掛ける。「己が今、何を為せばいいのか本当はわかっているはずだ」と。


リンク「夢は…覚めたら全て消えちまう…マリンもタリンも皆全て…。皆全て…? 違う…そうじゃない! オレは島ですごした刻を、マリンとすごした刻を忘れない! オレの心の中に一生残るんだ。全てが消えるワケじゃない!


滂沱の涙を流しながら己を納得させたリンク。振り払われた迷いは、ナクラの剣の真の力(極大剣ビーム)を引き出した。そしてフェリサと和解した後、リンクは残る楽器を集めに向かうのだった。


リンクの快進撃は凄まじく魔物たちは焦り始めていた。そこでブタブリンの一人が、一つ目の巨人ドローナを差し向けることを提案する。ドローナはカルナも凌駕する凄まじい戦闘力を持っていたが、その凶暴性から魔物たちに幽閉されていた。ブタブリンに対し当初ドローナは突っぱねたが、目覚めの使者の話を聞くと興味を示した。ブタブリンの狙いは、二人を激突させリンクの疲弊を狙うことにあった。

目覚めの使者と魔物最狂の戦士の戦いは熾烈を極め、互いに一進一退の攻防を展開する。


ドローナ「くくく…楽しいな……楽しすぎるぞ小僧…! やはり戦いはこうではなくてはなあ」

リンク「オレはお前を楽しませるために戦ってるわけじゃないぜ…島のみんなを救うために戦ってんだ!」

ドローナ「何だァ? 貴様知らんのか。目覚めの使者の真の役割を…」

リンク「知ってるさ。オレの使命は、風のさかなの眠りを覚まし、このコホリント島を消すこと…第三者の夢の中で生まれてしまった哀しい運命からみんなを解放することだ!!」


最後はリンクの猛攻が制し「二段回転斬り」によって決着を迎えたのだった。


ドローナ「ふ…っ、た…楽しかったぜ…小僧…」

リンク「楽しかった…か…おまえの『戦いの意味』は軽すぎるんだよ」


リンクはフェリサの姿を探すがどこにもいない。実はブタブリンは保険としてフェリサを拉致し、リンクをオオワシの塔まで誘き寄せてから総力を結集して討つという作戦に出ていた。

ドローナとの戦いで疲弊したリンクなら、と考えてのことだった。まんまとオオワシの塔にやってきたリンクを見て狙い通りだと語るブタブリンだが、今のリンクを止められる者はおらず、ブタブリンは仲間諸共一瞬で斬り捨てられた。続けてオオワシの塔も攻略され、最上階の戦いではピッコロ使いを追い詰め、「フェリサがどうなってもいいのか!?」と言われたが構わずアルバトスごとピッコロ使いを倒したたのだった(ピッコロ使いが動揺していたのを見抜き、その隙を突く形でフェリサを救った)。


こうしてフェリサを救出したリンクは、その勢いのまま最後のダンジョン・カメイワも攻略する。全ての楽器を揃えたが、リンクはフクロウとフェリサに向けて一日待ってほしいと告げる。最後にコホリントの人たちとの想い出を作り、「オレのコホリント島」を胸に残すためだった。

島の人たちと一日を笑って過ごし、その翌朝。リンクは人知れず使者としての役割を果たしに行こうとする。だがマリンに声を掛けられてしまい、リンクは胸に秘めた想いを告げようとする。しかし、出てきた言葉は…


リンク「行ってきます」

マリン「行ってらっしゃい」


もう二度とマリンと会えないとわかりながらもリンクは聖なるタマゴを目指す。そしてフェリサが取り出した楽器とリンクのオカリナの音色が共鳴し合い、聖なるタマゴの内部への道を生み出した。フェリサがついて来られるのはここまでということで、二人は最後の会話を交わす。


リンク「楽しかったぜ。おまえと歩んだ冒険の路―」

フェリサ「あたしも楽しかった。サンキューな…リンク!」


最後に二人は「さようなら」の言葉を交わし、リンクはタマゴの中へと足を踏み入れる。


その内部には魔物たちを率いる真の黒幕――シャドーが潜んでいた。

その正体は、風のさかなの悪夢から生まれた影の存在。自分たちが消えないよう風のさかなを眠らせ続け、そうすることでコホリント島という夢の世界に秩序を築いたのだった。彼はそんな自分たちを『神』と述べた。


リンク「……黙って聴いてりゃ勝手ばっか言いやがって…何が神だふざけるな!! オレに言わせりゃおまえなんか、消滅することにおびえ狂うセコくてあわれな独裁者だよ! かかって来い!! 島ごと消し去って解放してやるぜ!!」


次々と形態と人格を変えるシャドーを相手に手を休めることなく攻め続けるリンク。疲弊しながらも最終形態となったシャドーと対峙する。するとシャドーは和平を提案してきた。


シャドー「もう戦いはやめにしないか? 我々も今後島民に危害を加えることはしない。風のさかなを目覚めさせようなどとしなければ、この夢の島で永遠の平和を手にすることができるだろう」

リンク「御託はいいからかかって来い…決着をつけようぜ!」


リンクの体力は既に限界を超えていたが、それでもシャドーの猛攻をしのぎ、弱点である瞳を貫いて勝利する。悪夢が消滅したことで風のさかなは解放され、自分の心の弱さから魔物が生まれ、リンクを苦しめていたと詫びた。だがリンクは、魔物がそうならマリンたちも風のさかなの心の一つだと断じ、島の人たちが大好きだったと告げた。

ついに訪れた目覚めの刻。リンクが吹くオカリナの音色はコホリント中に響き、島の人たちもまた風のさかなの歌を唄う。その中にはマリンの姿もあった。


リンク「ああ…みえるよ…みんなが…唄っている…風のさかなの歌を…マリン…これでホントに…さよならだね……」


神の見る夢は目覚めを迎え、一つの世界が泡となって消滅した。目を覚ましたリンクは「すべてがオレの夢だったのか?」と独り言ちる。

だがしかし、真実など彼にとってどうでもいいことであった。なぜなら「オレのコホリント島」は思い出としてリンクの胸の中に確かに存在していたのだから――。


余談編集

コミカライズを担当したかぢばだが、実はゼルダの伝説のことはまったく知らず、担当編集から名前を聞いた時も「ナムコのソフトだっけ?(ドルアーガの塔と勘違いしたらしい)」と返していた。


初の連載ということで当初は張り切っていたが、やはりオリジナル作品を描きたいという想いが強くなっていった。夢をみる島の連載後に新作“エラガバルス”の連載をと考えていたが、神々のトライフォースの連載が決まったため残念だったという。


元々は200ページくらいの全4話(コミックス1巻分)で終了の予定だったが、1話でのアンケート結果が良かったため連載期間が延びて全2巻となった。

かぢばは「1話のネームを斬った時、これは200ページじゃ治まらない」と考えていたのでほっとしたという。


かぢばはストーリーの把握のために実機プレイをしたが、先代担当と現担当は早々に投げ出してしまったという(現担当は忙しくて時間が取れなかったらしい)。神々のトライフォースでも担当が代わって同じことが起きたので、かぢばは呆れていたと語る。


リンクがマリンを連れて島から抜け出そうとするが、かぢばは「難問を前にして主人公が逃避するのはまずいかもしれない」と考え、任天堂からお叱りがないかドキドキしていたという。結局何も言われなかったが「ダンジョンのボスが違う」という指摘はされた。


5話(リンクが島の真実を知ってフェリサと袂を分かつ)のアンケート結果は2位。本当なら作家同士でライバル心を持たせないようにこういうものは教えないのだが、当時の担当は相当嬉しかったようでかぢばに話してしまったという(その編集はとっくにエニックスをやめているとのこと)。


エンディングでリンクが抱いた「オレのコホリント島はここにある」という想いは、本編をクリアした時のかぢばの心情とのこと。


リンクがフクロウに背中を押されて目覚めの使者として立ち直り、海に向かって剣から光弾を放つシーンはあるが、作画ミスで背中にも剣の柄を描いてしまった。


本作で見られた「リンクとマリンが二人のところにタリンが現れてお邪魔虫になる」「リンクがオバケ(ナクラ)と交流する」「リンクとマリンが海辺で大事な話をする」という展開を意識したのかは不明だが、後に発売されたGBC版『夢をみる島DX』では「リンクとマリンが写真撮影する時にタリンが割り込んで来る」「リンクとオバケの写真撮影」「リンクとマリンが岬で秘密を共有する」といったイベントが追加されている。


夢島・神トラを合わせると全5巻となる。これは当時のゼルダ漫画の中でも最も多い巻数であり、姫川明トワイライトプリンセスが出るまで記録は破られなかった。


夢をみる島は人気とは裏腹に、物語を結末までコミカライズした作品は本作のみ。

実は姫川明にも執筆依頼が来ていたというが、既に掛け持ちをしているため無理と判断して断ってしまったという。


作者のかぢばは本作の連載の後に神々のトライフォースの連載も手掛けたが、最終巻のあとがきにて「夢島を超えられなかった」と書いている。


関連タグ編集

ゼルダの伝説シリーズ(書籍作品版)

夢をみる島 Gファンタジー リンマリ

リルトの誓い:当時のメディアミックス仲間。


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