狂戦士の甲冑とは、三浦建太郎の漫画作品『ベルセルク』に登場する鎧である。
概要
鉱精(ドワーフ)によって作られた呪われた鎧。
伸縮自在で、着用者の体格に合うよう収縮し、ガッツの義手とも一体化している。
兜部分は、普段はガッツのマントの下に折りたたまれるようにして隠れており、鎧の意志が覚醒すると、兜をはじめとして前腕部や関節部分などが展開、勝手に全身を覆うように変形する。
使用者の憎悪や怨念を激情に変えて増幅、極度の興奮によって痛覚を遮断し、使徒や妖獣兵の群れすらも殺戮せしめる超人的な戦闘力を発揮させる。
ガッツが使用した際には、あのドラゴン殺しを超高速で振り回して数秒足らずで使徒を膾切りにし、恐竜ほどもありそうな魔獣の顎を無理やりこじ開け、一度の跳躍で10m前後の距離を一瞬で詰めるなど、もはやどちらが使徒なのかわからないほどの戦闘力を発揮した。
ただし常人離れした戦闘力を発揮できる代償として、肉体に尋常ではない負荷をかけさせられる事になる(『痛覚』は自らが傷つく事に対する『肉体からの警告』である故、至極当然とも言える)。
さらに使用者が骨折すると、鎧の内側から棘が突き出て肉ごと無理やり骨を固定するため、最悪の場合は失血死する恐れすらある。また、鎧に意識を持っていかれると、理性がぶっ飛んで文字通りの狂戦士と化すため、敵味方の見境なく戦い続けることになる(実際シールケはガッツの正気を取り戻すために何度か彼の精神にダイブしている)。
余談
呪いのアイテムと言っても、某国民的RPGのように着脱不可というわけではない。
ただし場合によっては物理的な意味で脱装が困難(骨折を棘で補強している時に鎧を脱がせようとすると怪我がより酷くなる)であり、「呪いなどの魔法的な理由で脱装出来ない≒解呪すればリスクなしで脱装可能」よりも酷い仕様だが。
来歴
元々は『髑髏の騎士』と呼ばれる人物が着用していたもの。霊樹の館の主である魔女フローラによって保管されていたが、ゾッドと新生鷹の団が館を襲撃、その危機の中でフローラからガッツへと譲渡されることになる。
- フローラはガッツにこの鎧が必要になることも、館が襲撃されることも自身の運命として見越しており、甲冑に烙印の呪力を打ち消す護符を施していた。
クリフォトでゴッド・ハンドスランの顕現体と戦った末に鍛冶屋ゴドー謹製の甲冑を失い、肉体的にも霊的にも満身創痍であったガッツだが、この狂戦士の甲冑によって得た戦闘力で『炎の巨竜』の異名を持つ使徒グルンベルドとの戦いを生き延びた。
だがこの時の身体への負担は凄まじく、ガッツの前髪の一部が白髪になり、また身体中に刺さった鎧の棘を外し、その傷を癒すまでに(傷を急速に癒す妖精の鱗粉を使っても尚)長い療養期間を必要とした。
さらにガッツはその後もたびたび鎧の力を解放しており、その代償として色覚異常、味覚障害、視野狭窄といった副作用が現れ、髑髏の騎士から連用の危険性を警告されている。
兜の部分はかつては骸骨のような形状であったが、ガッツの怨念を吸収したことで狼の頭のような形状に変型している。
鎧の力を解放したガッツは、まさに血に狂う黒い魔獣のようである。
元々は妖精郷に住まう、鉱精(ドワーフ)の鍛冶師ハーナルが髑髏の騎士のために製造したものだったようである。ガッツ等がハーナルの元を訪れた際に、ハーナルは警告と訓戒としてガッツに鎧を介して髑髏の騎士の過去を一部垣間見せた。