曖昧さ回避
- 長谷川哲也の歴史漫画『ナポレオン -獅子の時代-』。 ⇒ 本項で解説
- 1980年のNHK大河ドラマ。 ⇒ 獅子の時代(大河ドラマ)
概要
18世紀のフランスの軍人、ナポレオン・ボナパルトの生涯をダイナミックに描いた漫画である。
2003年から連載開始。全15巻。
2011年からは第二部として覇道進撃とタイトルを変更して連載され、2024年5月に完結。全27巻予定。
フランス革命期のヨーロッパを描いた歴史漫画として、高い評価を受けている。
作風
「ダイナミック」とある様に、実在しながらも非常に個性的なキャラクターたち、ハイテンションかつなバイオレンスな演出(フィクションも多々存在)、世紀末漫画『北斗の拳』にも似た男臭い、濃い作風が特徴。(作者は『北斗の拳』の作者・原哲夫のアシスタント経験者である)
キングダムや蒼天航路といったメジャーな作品には知名度は及ばないにしろ、一般の歴史漫画とは明らかに一線を画した作品と言え、フランス史・ナポレオンマニアはじめ熱狂的な隠れファンが多い隠れた名作である。
長谷川哲也は『獅子の時代』連載以前に、月刊COMICトムプラスで『青年ナポレオン』、アワーズで読み切り『1812・崩壊』のナポレオンを主人公とした2作品を連載していた(いずれも未刊行。後者は後に電子書籍で発売されている)。
また、同じくナポレオンを扱った漫画で『ベルサイユのばら』で有名な池田理代子の『栄光のナポレオン-エロイカ』(ベルサイユのばらに続編当たる作品)があるが、作者ホームページによれば、長谷川は作品を書く上でこれを多少参考にしているという。
当作品の連載をアワーズに推薦したのは『HELLSING』『ドリフターズ』の作者平野耕太であり、作者いわく「平野さんは恩人」とのこと。
また、軍事研究家の兒玉源次郎による緻密な時代背景や人物解説「大陸軍戦報」や、巻末コメントとして作者と本作のオリジナルキャラクター・ビクトルとのおちゃらけトーク「ビクトル対談」がつく。
獅子の時代のあらすじ
『獅子の時代』本編は、ナポレオンが皇帝に即位してからの「アウステルリッツの戦い」から始まり、そうしてナポレオンの誕生、フランス革命期、イタリアやエジプトの戦いを経てフランスの実権を握る所まで描かれており、特にフランス革命編は一巻丸々主人公のナポレオンを差し置いて、ロベスピエールら革命家たちの政争を描いており、ロベスピエールの異常な存在感もあって「(この間の)主人公はロベスピエール」と言われる始末である。
覇道進撃のあらすじ
『覇道進撃』はナポレオンが皇帝に上り詰め、そこから全盛期を経て緩やかに転落して行く様を丹念に描いた内容となっている。戦争芸術と称えられた「アウステルリッツの戦い」を境目に能力が衰え、人生の旬を過ぎたナポレオンがそれでも”覇道”を歩むことを止められず破滅へと向かう様子が悲劇的に、あるいは一周回って喜劇的に描かれているのが特徴である。
CRナポレオン
2011年には『CRナポレオン-獅子の時代-』を豊丸からパチンコ化されている。リーチの際にはアニメが流れ、主要キャラには声優も割り振られている様だが、一部のファンからは不評だとか。
主な登場人物
フランス軍
- ナポレオン:主人公。軍人から第一執政、そして皇帝にまで成り上がった漢。
- ダヴー:「不敗のダヴー」と恐れられるフランスの将軍。若ハゲ。
- ビクトル:本作のオリジナルキャラクター。一端の兵士でヘタレだが何気に活躍する影の主人公。兵士視点でナポレオンの時代を紹介する役目を担っている。
- ランヌ:ナポレオンの戦友。戦場に生きる野獣の如き漢。
- ブーリエンヌ:ナポレオンの秘書。幼年学校からの親友。
- ジュノー:ナポレオンの部下。殆ど「うが」としか話さない。
- ミュラ:ナポレオンの副官。伊達男でランヌと仲が悪い。
- マッセナ:強欲な軍人。元石鹸工で、石鹸を切断するのに使うカッターを武器にしている。
- オージュロー:凶暴で訛りが強い半裸男。
- スーシェ:なぜか水牛の仮面を被って戦う軍人。
- ベルティエ:チビのおっさん。だが有能な軍事参謀。
- ベルナドット:ぶつぶつ陰口を叩く陰気な軍人。後にスウェーデンの国王となる。
- ウジューヌ:ナポレオンの義理の息子。司令官の息子扱いを嫌ってあえて前線に立つ。
- クレベール:歯に衣着せぬ豪快かつ有能な軍人。ナポレオンはその才能を認めるとともに嫉妬している。
- ドゼー:ナポレオンの親友。軍服を着る事が嫌いで、常に私服を纏っている。
- ネイ:ナポレオンの部下。愚直で仲間を絶対に見捨てない。
革命家・政治家
- ロベスピエール:フランスを革命に導いたフランス最強の革命家。グラサンを掛けている。童貞でもある。
- サン=ジュスト:ロベスピエールの腹心。暗殺稼業にも長けている。
- バラス:史実では「悪徳の士」と言われ、作者が最も嫌いなキャラ。包帯ぐるぐる。
- ダントン:革命家。口元の傷がある。怪力の持ち主。
- エベール:革命家の中でも極左に位置する人物。身持ちが悪い。
- フーシェ:フランス一有能な警察大臣。策謀に長ける冷酷な人物だが家族思い。
- タレイラン:凄腕の外務大臣。足が不自由で杖を持って歩いている。ナポレオンからなぜか「タイユラン」と言い間違えられる。
- カルノー:科学者でもあり数学者でもあり軍人でもある何でもありの政治家。
ナポレオンの親族
- レティッツィア:男勝りのナポレオンの母。元コルシカ島独立運動の戦士。
- ジョセフ:ナポレオンの兄。家長であるが実質的な権限はナポレオンに奪われている。
- リュシアン:ナポレオンの弟。政治家で、ナポレオンが起こしたクーデターにおいて活躍する。
- ポリーヌ:ナポレオンの妹。ジュノーは彼女に惚れて、ナポレオンに仕えている。
- ジョゼフィーヌ:ナポレオンの妻。浪費癖の激しい社交界の花形。
- マリー・ルイーズ:ナポレオンの後妻。オーストリア皇室の姫君で、待望の嫡男を産む。
その他
- サンソン:首切り役人。心根の優しい人物だが、「ギロチンの一部」と皮肉られる。
- スタール夫人:ジャバ・ザ・ハット。
諸外国
- クトゥーゾフ:ロシア帝国の将軍。義眼を持つ有能な軍人。
- ネルソン:イギリス海軍の提督。隻腕隻眼である。他人には見ることができない白熊と会話する。
- ダルヴィンチ:オーストリアの軍人。エキセントリックな性格でフランス軍を圧倒する。
- シドニー・スミス:オネェ言葉で喋るイギリス海軍の軍人。動物や死体をアフレコする人。
- ムラード・ベイ:殺し合いの好きなエジプトの有力者。
- ブリッヒャー:プロシアの将軍。戦術でナポレオンに勝てないが、絶対に屈服しない執念の人。
- アーサー・ウェルズリー:イギリスの将軍。地味だが仕事の出来る軍人で狼と称される。
- ゴヤ:スペインの画家。戦争の惨禍をスケッチし続ける。
名台詞
「大陸軍は世界最強ォォ~~!!」(ナポレオン)
「死刑」(ロベスピエール)
「マッセナは奪うのだ!」(マッセナ)
「ボナパルトに痛ァ~イおしおきじゃ!」(ダルヴィンチ)
「わしは殺し合いが好きじゃあ」(ムラード・ベイ)
関連イラスト
なお、Pixivで当作品のイラストを検索する場合は「獅子の時代」か「覇道進撃」のタグで検索した方が見つかりやすい。「ナポレオン」など人名のタグは本作に関係ないイラストもヒットするためあまりオススメしない。
関連項目
- フランス
- フランス革命…同様の時代を描いた漫画にベルサイユのばら・第3のギデオンがある。
- ヤングキングアワーズ
外部リンク
あるいは
→覇道進撃