概要
CV:服巻浩司
市議会議員秘書。事件の第一被害者である女子アナ・山野真由美とは不倫関係にあった。
実家が八十稲羽にあり、失職後に帰郷してくる。失業後は実家の運送業を手伝いながら、失業と失恋の痛手を癒していた。
人物像(※軽いネタバレ注意)
どこまでも正直で正義感の強い、根っからの善人。同時に気弱で思い込みが強い。普段はあまり押しの強い方ではないが、一度使命感に燃えるとトコトンまで突っ走る危うさも内包している。
そんな真面目が取り柄の人物だが、結婚直前に芸能界で大当たりした自分の妻である柊みすずとの関係など、家庭はあまりうまくいっておらず、山野アナと不倫関係を持ったのもそうした自分の居場所のなさに堪えられなかったためらしい。
物語との関連
※本項目以後は重要なネタバレ成分を含んでいます。 |
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「おれ・・・おれが、すくうんだ・・・! ジャマすんなぁぁぁ!」
八十稲羽市での『連続失踪事件』の実行犯。
失恋と失業による精神的ダメージで失意の底にあったが、気晴らしに「マヨナカテレビ」の噂を試してみた際に山野アナが映り、それに手を伸ばした瞬間に「テレビの中へ入れる力」を自分が持っていることを知る。
そしてテレビに映る人々を「救済」するため、次々と人をテレビの中へ入れるという行動に出る。
最終的には、菜々子を誘拐したところで捜査隊に追い詰められ、自身も菜々子とともに逃げ込んだテレビの世界で自称特別捜査隊に身柄を拘束され、警察に逮捕される。
病室で捜査隊の面々に追求を受けた生田目は錯乱状態では犯行動機を告白するが、菜々子が一命を取り留め生死の境を彷徨っている状態にあると知ると、室内のマヨナカテレビにシャドウ生田目が現れ「救済は失敗だ」とつぶやく…
ここから先は更なるネタバレを含みます
彼もまた今作の黒幕にテレビの世界へ干渉する力を与えられた一人。
彼の担当は「絶望」。
人々を次々とテレビに放り込んで「死による救済」を与えようとしていたサイコパスの凶悪犯にしか見えなかった彼だが、その後の追求によりまったく別の事実が浮上してくることとなる。
彼は当初テレビに入る力を「真由美がくれた力」だと認識していたが、結果的に何もできないまま山野アナは死亡。そして再びマヨナカテレビを見たとき、今度は運送業の父と共通の知人であった酒屋の娘である小西早紀が映り、今度は彼女に忠告を行ったが、その甲斐なく結局また死亡してしまった。
一連の件を通して彼はマヨナカテレビを『殺人予告』だと解釈する。
マヨナカテレビに映った人物たちを死から救済するために自分にできることはないかと思い悩んだ結果、相談した警察からの助言も手伝って「テレビに映った人物を、(自分だけが行き来できると思い込んでいた)テレビの中に匿う」という方法を思いつく。
そして実家の運送用軽トラックに大型液晶テレビを詰みこみ、対象を次々とテレビの中に「匿って」いった…というのが、雪子以降の失踪事件の真相だった。
本来、ペルソナ能力を持たない一般人がテレビの中の世界に入り込めば、出ることができず霧の日にシャドウに襲われて死んでしまう。
しかし彼が誘拐を実行した雪子以降の被害者たちは自称特別捜査隊が救出していたため、結果的に自らテレビに入れた人物は皆死なずに帰還することになった。
これを「テレビに入れて匿えば、自らの手で殺人の魔の手から救済できる」と勘違いした生田目は、その後もマヨナカテレビに映った人々を次々とテレビに放り込み、それをまた番長たちが救う…というイタチごっこの一端を演じてしまう。
動機はどうあれ人を勝手に連れ去る「誘拐」という犯罪行為を実行したこと自体は変えようのない事実だが、生田目当人は純粋な善意に基づき誘拐を実行したのである(彼視点から事件を見た時、マヨナカテレビという「殺人予告」に映った人物を自分がテレビの中という安全地帯に匿わなければ確定で、超常の現象によるものとしか思えない「電柱に吊るされた変死体」となって死ぬ運命にあるというホラー映画のような状況であったことは想像に難くなく、彼は彼なりに被害者になる人物を救うために必死だったのである)。
そして堂島菜々子を誘拐した際に自称特別捜査隊とぶつかり、捜査隊が自身の「救済」を妨害していると認識した彼は「幼い菜々子を何が何でも救いたい、そのためにも捕まるわけにはいかない」という使命感から菜々子と共にテレビ内へ逃走。
そこで初めて入ったテレビの世界が想像とかけ離れた殺伐とした空間であったことにショックを受け錯乱する。
この時の彼について、後に彼自身も「自分がおかしくなっていた」と自認し、テレビの世界の実態を知っていれば一連の犯行は行わなかったと回顧している。
菜々子との逃避行の過程で生み出されたダンジョン「天上楽土」のモチーフについて、特別捜査隊は「菜々子の、死んだ母親への想い」だと解釈していたが、ボスシャドウが生田目であったことからは彼の「テレビの中は安全な楽園だ」という思い込みも反映されていたと思われる。
半狂乱状態で天上楽土の奥へと逃げ込み、結果的に菜々子を人質にとっているような形で捜査隊の面々と対峙することに。追い詰められた彼はシャドウに支配されクニノサギリの寄り代となる。しかし捜査隊に敗北、身柄を拘束された。
その後、病室で捜査隊の追求を受け、「捜査隊が救出した菜々子が一命を取り留めたが危篤だ」と知ると動揺。この時テレビにシャドウ生田目が現れ煽るような物言いで救済は失敗したと述べ心中を語るが、この状況をどう解釈するかがシナリオの最大の分岐点となる。
このシャドウ生田目の発言、物言いこそ誇張されているが、それまで退治してきた他のシャドウ達と同じく嘘は一切ついていない。
「救済は失敗」発言は実は文字通りの意味でしかなく、「菜々子を危篤にしてしまった、無事に救済することに失敗してしまった」という後悔、自責の念から来たものである。
しかし「生田目は悪人だ」という前提の人が聞けば「菜々子が助かってしまった、死による救済に失敗した」という意味だと誤解されてしまう内容でもあった。
ここで捜査隊が真実に気づけず「真犯人は生田目だ」と結論してそれ以上の可能性の追求をやめる(もしくは冤罪の可能性に気付きつつも積極的に発言しない)と全てが五里霧中の「バッドエンド」となる。
逆に生田目シャドウの物言いを冷静に受け止め、ヒートアップする仲間たちも一喝し、あくまで冷静に議論することでバッドエンド以外の可能性が開けることとなる。
いわゆる「グッドエンド」「トゥルーエンド」では最終的に真犯人が捕まった事で殺人の疑いは晴れ、誘拐もテレビに入る力が失われた事で実証できなくなり無罪放免となる。また不倫による慰謝料も、この冤罪で世間の同情が集まったため提訴を取り下げられている。
また、マヨナカテレビの真実(人々が見たいものを見たいように写す窓)が明かされたことで、シャドウ生田目の悪意たっぷりに見える語りも、内容に嘘はないものの「生田目は真犯人で悪人ならこう思っているはず」という捜査隊の思い込みがシャドウの態度に影響した可能性があり、また「思い込みを訂正できなければ真実が見えなくなる」という試練を捜査隊に突きつけた格好となっている。
P4Gでは多くの人を危険に晒したことに罪悪感を抱き堂島家に謝罪に赴くが、その際に堂島から掛けられた言葉で自分ができる事を見つめなおし、自ら市議に立候補する。
作中では「思い込みで事態を悪化させた、はた迷惑な厄介者」という役回りとなったが、その実、生田目の存在は主人公ら「自称特別捜査隊」の合わせ鏡のようなもの。
「見えている範囲」で正しいことを実行しているという意識では両面々に違いはなく、ピースの嵌め方が違えば捜査隊側が生田目のような行動に至っていた可能性もありえたのである。
捜査隊側も菜々子が死んだと思われた時こそ感情に目が曇る余り生田目をテレビに落とし私刑を下そうとさえしたが、菜々子が助かり冷静さを取り戻し改めて話を聞いた後では「実際に救済を始めたら死人が出なくなった以上、やればやるほど救えていると思ってしまった」「一歩間違えば全部生田目に押し付けてしまうところだった」と生田目の立場に理解をしめしつつ、自分達も同じ危うさを抱えていた事を自覚している。
なお、菜々子は「正義コミュ」担当だが、その原典であるタロットカードの大アルカナ【正義】は、逆位置で提示された場合に「偏向」――視野の狭さや偏見による思い込みの暗示がある。
作中で生田目が菜々子とセットで扱われたのは、忌憚と偏向のない公正な判断が出来る【正義】の正位置の側面を持つ菜々子に対して、自分の信じる正義に固執して視野狭窄に陥って犯罪に手を染めた生田目の【正義】の逆位置で、ようやく一揃えであることを示唆しているとも考えられる。
また、次回作のペルソナ5では、地方での選挙戦について、彼が新人無所属で出馬する旨がニュースで紹介されている。