概要
モンスターハンターライズにて初登場した古龍種、イブシマキヒコとナルハタタヒメの総称であり、異名となる言葉。淵源とは「物事のよってきたるもと。みなもと。また、それをおおもととしていること」を指す。まさしく百竜夜行の原因にふさわしい異名である。
生態
生物樹形図上では古龍目、神龍亜目に分類される。
二者は保有する器官や細かな容姿などは異なるものの、同じ種類の生物であり、彼らを隔てるものは雌雄の差異のみ。
身体においても
・ゴム質の皮膚を持つ
・左右に展開する顎と、その奥に第二の顎を持つ
・上下逆さ、正確には天地の関係を無くしたかのように異様な飛行大勢を取る
など、細かく見れば共通点は多い。
そして最大の共通点は両者共に袋状の器官を有する点である。
従来のモンスターも電気袋や火炎袋といった袋状の器官を持っていたが、神龍亜目は皮膚から露出する形でそれを纏うように保有する。
また、共鳴なる能力を持つ事も確認されており、これによりカムラの里の竜人族の姉妹、ヒノエとミノトに知ってか知らずか自身の意思を代弁させた。
そこから読み取れる彼らの目的は初めから一貫して雷神龍と風神龍の逢着、子孫の繁栄、そして眷属と共に天地を治める、すなわち世界を制圧することである。
一般的にモンスターによる人への被害や、古龍種の持つ災害のような能力とは生存の過程に於いて発生したもの、或いは彼らが持つ能力の結果として他の生物に害を為したというものが殆どであり、悪意に基づいている訳ではない。
その為これほどまでに明確に敵意、世界への攻撃的意図を持ったモンスターは非常に珍しい。実際に、これまで確認された彼らの意思を代弁した共鳴現象での言葉や、唄の歌詞には明確な意思を持って生態系への攻撃に及んでいると思われる言葉が多く含まれる。
生態に於いて、これらの「厄災」は神龍亜目特有の求愛行動に過ぎない。
繁殖期に入ったナルハタタヒメは巣となる地を選びそこで「対」を待ち続ける。イブシマキヒコは各地を放浪し、「対」であるナルハタタヒメを探し続ける。その過程で発生する采邑を追われたモンスターの大移動こそが百竜夜行と呼ばれているに過ぎない。
この繁殖方法を加味しても、世界を制圧、或いは滅ぼし尽くさんとするのは過剰とも思えるが、その行動の真意、そしてなぜこのような繁殖方を取っているかも不明のままである。
「巣を決めた雌を雄が探し、巡り合ったところで交尾をする」という方式はそれなりのリスクがあり、溶岩洞エリア8には対を待ち続けた結果、願い叶わずして朽ちたと考察されるナルハタタヒメの骸骨が埋まっている。
確認されている個体
別名、風神龍。
全長3068.6cmと、ナルハタタヒメより一回り小柄。
「衆生を追い遣り現世に終を齎す、天地への畏れの体現」と謳われる「禍群の息吹」の異名を持つ古龍種。その名に違わず風と共に各地を訪れてはその生態を破壊し、その地に住まう生物たちを追い遣っている。交尾を終えた雄は産卵の為に巣に潜む雌を守るために巣の周囲を守護する。まさに、楽土が交わる辻の「淵」である。
「掃滅が主」とも通称され、その力は「破滅」や「終末」といった言葉を多く連想させる。実際に生態系を破壊して百竜夜行を巻き起こした張本人である為、その表現は大仰ではないだろう。
また、イブシマキヒコが持つ終末という相は大社跡の手記にも表れており、ある日を境に人々が集まり、肥沃の上にモンスターを祀る社を建てた人々が、社の意味とモンスターへの畏怖を忘れた頃、風が吹き荒び、恐怖と怒りに目を血走らせたモンスターの大群が大社跡の繁栄に終末を齎した。風の主は他でもないこのイブシマキヒコであると予想されている。
体表には「風袋」という器官を胸部、背中、翼腕、尻尾の先端に有し、そこから空気より軽い気体を吹いて浮力としている。腕と尻尾のエラから空気を勢い良く吹き出すことで突風のような加速も可能。
別名、雷神龍。
全長3875.05cmとイブシマキヒコより大柄。
イブシマキヒコと異なり山吹色の皮膚に覆われた「禍群の鳴神」と呼ばれる古龍種。龍宮砦跡を棲み処とし、対の到来を待ち続けていた。強大な発電能力を持ち、発生した大電力は大規模な落雷のみならず、強力な磁場を発生させる。発せられる電磁波は尋常ではなく、40m程もある彼女の巨体を支え、あまつさえ巨大な岩石さえも綿毛のように浮かび上がらせてしまう。そのような電磁気力を常に身体に流しながら平常と空を泳ぐその前身は正に絶縁。この世とあの世の狭間を浮かぶようとも喩えられる。
「豊穣が母」とも通称され、その稲妻は恐怖の象徴であると同時に豊かさ、繁栄の象徴でもある。実際に古来より日本では雷は豊作を齎すと伝承されている。
ナルハタタヒメが持つ繁栄の相は様々な大社跡の手記にも表れており、大社跡に未だ人の手が加わらなず、肥沃を貪るモンスターたちの楽園となっていたある一夜、雷が落ちたという。夜が明けた頃にはモンスターは忽然と姿を消し、大社跡の社が生まれる端緒となった。この雷はナルハタタヒメのものと断言して差し支えない。
体表には「雷袋」という器官を額、腕、胸部、背中、尻尾の触手の間に備えており、頭から尻尾の先端にかけての背面には無数の触手が生えている。
イブシマキヒコの力を取り込んだ変異体は百竜ノ淵源ナルハタタヒメと呼ばれ、退化していた風袋とエラが活性化。さらに次世代の神龍亜目の子を抱える焦燥感から凶暴化している。
直接的に攻撃を行ってきたイブシマキヒコと異なり、ナルハタタヒメは産卵の地を決めるとそこで待ち続ける習性がある。その為どのようにして百竜夜行を起こしていたのかは謎が残る。尤も、イブシマキヒコは翡葉の砦での対峙後も生存していた事、百竜ノ淵源討伐後も百竜夜行の余波が続く事を考えてもナルハタタヒメが百竜夜行の原因となっているかは曖昧な点が残る。
ナルハタタヒメの持つ能力にはモンスターを追い遣る、ではなく一部モンスターを誘因する作用があるようなことを仄めかすところがある。
そもそもこの百竜ノ淵源はあらゆる生物、あらゆる伝説の存在を含めて見ても生物の頂点の一角と呼べる存在であり、比肩するものはおらず、自ずと縄張り争いといった戦いは起こりえない。しかしこの百竜ノ淵源ナルハタタヒメを目指して各地の古龍、さらには古龍種ですらないマガイマガドが集結していたという奇妙な現象が記録されている。
溶岩洞においても周囲に多くの火山がある中、あの地域一帯が多様な生態系を持っているのはナルハタタヒメの生命力の賜物とも推測されている。
各地をさまようイブシマキヒコを引き寄せる為の能力とも取れるが、その能力も電磁力のなせる業かもしれない。