アマツマガツチ
あまつまがつち
『モンスターハンターポータブル 3rd』(MHP3)で初登場した、古龍種に分類される超大型モンスター。同作におけるラスボス。
通称は『嵐龍』。
生態・特徴
曰く、「霊峰に棲む嵐の化身」。
曰く、「大いなる厄災の龍」。
ユクモ地方近辺の伝承にその存在が残され、
人々から「天の神」、「暴風と竜巻を従える龍」、あるいは「破滅の龍神」などと呼ばれ、畏れられてきた天空の古龍。
黒い甲殻に包まれた、海竜種のような長くしなやかな体躯を持ち、背中側には無数に純白の皮膜を生やしている。
小さな頭部には不釣り合いに大きく真っ直ぐな一対の角とひげが生えており、どこか東洋の龍を思わせる顔つきが特徴。
翼は持たないが、後述する能力によってその巨体を常に宙に浮かせている。
嵐の中、宙を優雅に舞う姿はまさに龍神。神々しくも美しいの一言である。
自然界の絶対強者である故に、自分以外の存在をあまり意に介さないとされる古龍種であるが、
アマツマガツチは珍しく縄張り意識が強い種であり、自身の縄張りにいる者の存在を許さず、実力行使で追い払おうとする習性がある。
実際、ユクモ村地方では元々霊峰に住んでいたジンオウガを追い払った上で人類の飛行船をも撃墜しており、
また渓流に残る集落跡や「ツキトの都」など、複数の人里を滅ぼしているともされている。
古龍としての能力は「嵐の操作」。具体的には強烈な暴風や水、そして奥の手として雷撃を操る能力を持つ。
アマツマガツチはこの能力で、自身を中心とした広範囲に強烈な暴風雨を発生させ、訪れた地域に甚大な豪雨被害をもたらす。
また、前述のようにアマツマガツチは翼を持たないが、
暴風の能力で発生させた気流を全身の皮膜で受けることで常に浮遊し、また泳ぐように空中を移動する。
その力は非常に強力なものであり、
同じく天候を操るクシャルダオラやイブシマキヒコと比較しても、非常に大規模なものとして描写され、もはや天災と呼ぶべき域に至っている。
さらにはこれ程の嵐を移動手段として用いる事もあると言うのだから、その影響範囲は計り知れない。
古龍種としての身体能力も優れており、普通の大型モンスター程度は歯牙にもかけない。
傷一つない頭部の角は、自然界で彼らに敵うものがいない事の証左でもある。
体躯で勝るとはいえ同じ古龍種、それも特殊個体が相手であっても、
ダメージを受けてなお常に優位を保っており、その強さが窺える。
一方で、ヒレ状に発達した四肢など「空中を泳ぐ」事だけに特化した身体のため、万が一地面に墜ちてしまうとしばらくは藻掻くことしかできない。
縄張り意識は強く、さらに周囲に大被害をもたらすものの、アマツマガツチ自身には周囲を殊更に傷つける意図はない。
その様は悪意の介在しない、正しく「災い」そのものといえる。
アマツマガツチ自体、古来からユクモ地方を根城にしている生物の一種であるため、
彼らがもたらす暴風雨も大自然で起こる一つの現象と捉えるのが自然だと考えられる。
MHP3rd〜MHXX
前脚や尻尾での薙ぎ払いや錐揉み突進、口内に溜めた水を撃ち出すブレス攻撃などを駆使して戦う。
風を纏って常に宙を浮いているが、クシャルダオラのように近づけない訳ではなく、普通に近づいて攻撃できる。
MHシリーズとしては初となる、体力減少によって形態変化を行うモンスターでもあり、
半分ほど体力を減らすと自身の危機を感じて激昂、「覚醒状態」に変貌する。白い皮膜には赤い斑点が浮かび、角は黄金の輝きを放ち始め、胸には稲光が纏わりつくようになる。
彼の怒りに連動し、天候も一層激しくなり、背景には落雷が追加される。
ここからはアマツマガツチの代名詞でもある「竜巻」を使った攻撃が数多く解禁される。
特に有名なのはとぐろを巻くように体をくねらせ、力を溜めた後、自身を巨大な竜巻で包み込む攻撃。通称「ダイソン」。
そのあだ名の通り、この竜巻には溜めの段階からハンターを吸い寄せる効果が発生し、時間が経つ程その吸引力は強くなる。強烈な吸い込みで拘束し、即死級の大竜巻の直撃を狙う二段構えの攻撃である。
ただし、この時のアマツマガツチは大竜巻の生成に集中しているため、
一定以上のダメージを受けると大きく怯み、気流を維持できなくなり地面に落ちてしまう。通称「ダイソンキャンセル」。
アマツマガツチが無防備になる大きなチャンスでもあり、ハイリスクハイリターンな回避方法として多くのハンターに親しまれた。
さらに体力が減ると、天に向かっていななき最強の大技「激流ブレス」を解禁。
ハンターの攻撃も届かない超上空へ陣取り、地面を粉々に斬り砕くほどの高圧水ブレスを縦横に3連射してくる。
直撃と衝撃波、どちらも言うまでもなく即死級の火力を誇るため、絶対に当たらないよう気をつけたい。
MHR:SB
今までのアマツマガツチを下地にしつつも、様々な新規モーションを獲得して強化されている。
円を描くように宙を舞う予備動作の後に、前方に向けて渦状の暴風を放ち、
引き寄せてからのサマーソルトや突進に繋げるコンボ攻撃や、
エリア全体にいるハンターを上昇気流で上空にかち上げ、自身の周囲に生成した複数の竜巻を当てる技などが追加されている。
また、ダイソンキャンセル時のダウンが削除されてしまったが、
代わりに一定以上のダメージでいつでもダウンが発生するようになった。
水ブレスのバリエーションも増えており、
特に高圧水ブレスはかつての激流ブレスのように地面を砕き、衝撃波で周囲を吹き飛ばすようになっている。
特に著しく変化したのは覚醒状態。
赤い斑点や発光の他に全身が黒ずむようになり、新たに雷属性の攻撃が解禁される。
落雷でプレイヤー一人をピンポイントで狙ったり、周囲の広範囲を雷撃で吹き飛ばしたり、サマーソルトに合わせて3方向に連続で落雷を落とすなど多彩なレパートリーがあり、
中には雷属性を帯びた円盤状の旋風を発生させ、手裏剣のようにハンター目掛けて撃ち出す攻撃もある。
さらに嵐の力も強化され、
自身とハンターを竜巻に閉じ込めたり、上記の渦状の竜巻を二発同時に追加し横の射程を広げたり(通称神砂嵐)、
竜巻生成を連続で放ってくるなど、様々な攻撃を放ってくるようになる。
中でも大技となるのが、
上昇気流でハンターを真上に吹き飛ばして、大型の竜巻に閉じ込めた上で猛烈な突進を仕掛ける高威力攻撃。
竜巻の中心でとぐろを巻き、爛々と輝く眼差しでこちらを睨みつける嵐龍の姿は、まさしく怒れる禍津神(マガツカミ)である。
そして体力が残り僅かになると、激流ブレスに代わる必殺技を解禁する。
咆哮とともに嵐を激化させ、エリア外へと飛翔して回転しながら雷の力をチャージ。
エリア内に突撃し、地面に着地するのと同時に、フィールド全域に及ぶ猛烈な雷撃を放ち、激烈なスリップダメージでハンターを討ち滅ぼそうとする。
MHP3rd
本作で初登場。
メインモンスターである「ジンオウガ」とは因縁浅からぬ関係にあり、
彼らが人里近くに姿を現すようになった原因は、もともと棲んでいた霊峰にアマツマガツチがやってきたため、住処を追われてしまったから、とされている。
これはMHP3の新規開始時に流れるムービーでも窺い知ることができる。
ハンターを乗せた荷車は途中の山林で激しい雷雨とともにジンオウガに遭遇する。からくもその場を逃れたハンターであったが、ジンオウガが咆哮を上げて見つめる先の空には、嵐の中を舞うアマツマガツチの姿があった―――。
狩猟フィールドは、渓流の奥深くにある「霊峰」。
アマツマガツチの嵐によって、この地そのものが大嵐に呑み込まれてしまっており、
赤黒い不気味な曇り空と降り続く大雨が印象的。
支給品ボックスのあるベースキャンプに至っては水浸しとなっている。
緊急クエスト『舞うは嵐、奏でるは災厄の調べ』にて、プレイヤーはついにこの地でアマツマガツチと対峙する事になる。
わたくしたちは幾度も立ち会いました
貴方がどんな困難も恐れず 立ち向かってきた、その瞬間に
そして今、嵐龍の脅威がこの村に迫っていようと、わたくしたちは 信じていますわ
霊峰へ挑み、そして帰ってくる貴方の姿を…
見事、討伐を成し遂げるとアマツマガツチの絶命と同時に、霊峰を覆っていた嵐が消滅。
勝利を祝福するかのような虹が、まばゆく照らされた霊峰に輝くのだった――。
MH4(G)
MH4では残念ながら未登場。
オトモ武具用の端材に「嵐龍の端材」というものがあり、名前のみ登場している。
MH4Gでも復活を希望する声が非常に多かったが、惜しくも竜人商人との素材交換のみに終わってしまった。
また、とあるイベントクエストをクリアすることで、デザインアレンジのされたGX防具が作成できるようになる。
ちなみにとあるサイトでランキングを実施したところ、復活希望モンスター3位を掴み取った。
確かに、MH4から実装された高低差を生かせば、面白い戦闘にはなりそうである。
モンスターハンターシリーズ10周年記念特設サイトで行われた「モンハンなんでもランキング」内の「好きなモンスターランキング(古龍種編)」では、2位のキリンに倍近い票差を付けてなんと堂々の1位を獲得。それまで登場作品がたった1作しかなかったにもかかわらず、その荒々しい力や秀麗な姿に数多くのハンター達が魅了されていたようだ。
MHX(X)
MHXでは拠点の1つにユクモ村が存在し、渓流が狩猟フィールドとして復活したこともあって、ついにアマツマガツチも復活するに至った。
狩猟地は変わらず霊峰となっている。
続くMHXXでも続投し、初めてのG級進出となった。
本作では特に追加の攻撃モーションはないが、新たに乗り状態に対応した。
ハンターは皮膜まみれの背中…ではなく、頭に飛び乗ってアマツマガツチと攻防を演じる。
MHF
派生作品のMHFでは遷悠種として登場。
新たに第三形態を獲得しており、
翼膜の斑点のみならず全身が赤黒く染まり、龍属性のオーラを纏う。
また、腹側の灰色の甲殻が青空のように発光するようになる。
この形態では無属性だった一部攻撃に龍属性が付加されるようになる。
そのため、第三形態のアマツマガツチは水と龍の2つの属性やられを扱う。
MHRise(:SB)
初登場作品と同じく和がモチーフとなっているMHRiseでも登場が望まれており、アナザーストーリーで登場の伏線が張られていたがサンブレイクの無料タイトルアップデート第5弾にて満を持して参戦。
アマツマガツチは今回が初の本格リメイクになり、カムラの里を襲う災厄の化身として獄泉郷に降臨する。
技・モーションも一新され、特に雷の力を発揮するようになった事は大きな話題を呼んだ。
ハンターノートでは『大いなる災い』と記されており、
フゲン曰くかつて起きた百竜夜行の災害、イブシマキヒコ、ナルハタタヒメを超える災厄とのこと。
すなわち、かの番の古龍よりも強力な存在として認知されていることが窺える。
本作ではMHRiseの代表するアクションである「翔蟲」や設置されている「大翔蟲」を上手く扱う必要があり、まさに無料タイトルアップデート第5弾の追加モンスターかつカムラの里側の物語のラスボスに相応しい強敵になっている。
そしてムービーやクエストの描写もカムラの里編のラスボスらしくかなり熱い物となっている。
ストーリーに登場する個体は、かつてヨモギとカゲロウの故郷であるツキトの都を滅ぼし、ヨモギの両親を殺害した張本人であり、
ヨモギの両親に仕えていたカゲロウからは「不倶戴天の龍」と呼ばれる等、激しい怒りを向けられている。
この二人のエピソードを締めくくる存在であり、「モンスターライズ」の物語における、ラスボスといったところか。
なお、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」を締めくくるモンスターは、後日ボーナスアップデートとして実装された。
また琵琶法師の語りにある『覆滅』は
『完全に滅ぼす』または『完全に滅びる』という意味であり、『大いなる災い』と言われる本種に相応しい言葉と言えよう。
狩猟地はライズの時点で実装されていた汎用の決戦場フィールド、「獄泉郷」。
アマツマガツチの影響で天候は一層激しく荒れ、大雨や雷が降り注ぎ、巨岩すら巻き上げる巨大な竜巻が発生しているなど、かの古龍の影響力を如実に示す表現がなされている。
緊急クエストの名は「愛する故郷に、陽はまた昇る」。
ヨモギとカゲロウ、二人の思いを背に、
主人公「猛き炎」は師匠のウツシ教官と共に災厄の古龍へ挑む事となる。
行こうか、愛弟子
カムラの里を、愛する家族たちを守り抜く。
さあ、出陣だ…!!
乱入
アマツマガツチが覚醒状態に突入し、しばらく経つと何かの気配を感じ取ったウツシ教官。
心当たりがあるのか、彼は「俺に考えがある!」とアマツマガツチの相手を一旦主人公に託し、一旦何処かへ行ってしまう。
そして…
待たせたね!
この子に協力してもらって、奥の手を使うよ!
なんと、ヌシ・ジンオウガを引き連れて再合流してくる。
なぜジンオウガが此処に来たのかは分からない。だが、彼らの因縁を知るMHP3からのプレイヤーは、思わず熱くなった方も多いのではないだろうか。
また、ヌシ個体は別の風を操る古龍によって傷つき、住処を追われた個体であるが、このヌシ・ジンオウガに関して言えばアマツマガツチに住処を追われた個体の生き残りだったのかもしれない。
超帯電状態に移行し、フルパワー状態のヌシ・ジンオウガはアマツマガツチに飛びつき、ど派手な格闘戦を繰り広げるも一歩及ばず撃墜。
ダウンしたヌシ・ジンオウガに主人公とウツシ教官が協力して鉄蟲糸を掛け合わせ、ウツシ教官の奥の手、本来ならば不可能であったヌシへの操竜が可能になる。
ぜひとも搭乗し、師弟でアマツマガツチに、ヌシ・ジンオウガの無双の猛撃を浴びせてやろう。
ちなみにこの時のウツシ教官、ものすごくハイテンションになって熱いセリフを叫びまくる。必聴である。
俺たちの英雄は、猛き炎!
嵐の中でも熱く、強く燃え盛るんだ!
気 焔 万 丈 ォ ー!!
ちなみにストーリークリア後に再戦する場合、ウツシ教官を連れていくと同様にヌシ・ジンオウガが乱入する。
では連れて行かない場合どうなるかというと、代打として奇しき赫耀のバルファルクが乱入、「襲撃」でアマツマガツチに一発ぶちかまし、その後操竜が可能になる。
USJコラボでの再来であり、これはこれで感慨深い。
武器は総じて40〜50程度の水属性と各武器種トップクラスの攻撃力を持ち、斬れ味は非常に短いものの紫と高水準。
もちろんデメリットもあり、20%程度の会心率マイナス補正が存在する。また特殊なギミックとして鉄蟲糸技の威力が1.1倍になるというものが存在する。
武器は銅鐸と勾玉(片手剣)、扇子(双剣)、琴(狩猟笛)、七枝刀(ランス)、鏡(ハンマー)、時計(ヘビィボウガン)など祭事に用いられる神器の意匠が施されるものが多く、全ての装備に『凶』の文字がつく。
防具は古の日本の神官や天上人を模したようなものとなっており、カラーは純白である。
冒頭でも述べたとおり、MH4Gでは登場しないが、ちゃっかり発掘装備やGX装備が用意されており、何気に優遇されていると言える。
ユクモ村付近では飛行船は登場しない。なぜなら、飛んで来るには来るのだが、その途中通りかかる霊峰にてアマツマガツチによって打ち落とされて、ユクモ村周辺にたどり着けないためである。
この様子はアマツマガツチの生態ムービーにも描かれており、古龍という生物の強大さの一端を窺い知ることができる。
モンスターハンターシリーズに登場するモンスターの中でもかなり演出が凝っている。
まずBGMにおいては、通常状態時の「大風に羽衣の舞う」から最終形態への変化を境に「嵐の中に燃える命」に遷移、そして討伐後は専用クリアBGMである「生者を照らす朝日」が流れるという優遇っぷり。MHFへ遷悠種として出演した際も、”遷悠種討伐時のBGMは登場作品由来のクリアBGM”という仕様のため、「生者を照らす朝日」がしっかりと流れる。
また極め付けとも言えるのがフィールドの演出で、通常状態から最終形態への移行と共に空が更に暗く、嵐も激しくなる。更に討伐に成功すると、大嵐だった霊峰に陽の光が差し込み、瞬く間に雲が晴れ青空に変わり虹がかかるという美しい演出が用意されている。この時の見渡すようなカメラアングルはとても美しいため、一度はスキップせずに見てもらいたい。
ちなみにサンブレイクにおいて、復活モンスターの多くが戦闘BGMにアレンジが加えられている中、アマツはイヴェルカーナと共に原曲そのままの出演である…のだが、なんとアマツはBGMに限らず効果音や肉焼き音楽…つまりサウンド周りすべてが徹底的にMHP3仕様というとんでもなく破格の扱いになっている。
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