概要
『中陵漫録』に記載される石の化身、或いは石の精とも捉える事も出来る美女の姿をした妖怪。
それによると豆洲(静岡県)の山中の石切り場に現れ、ちょうど昼時で休息中だった石工達に近付き、「毎日のお仕事でお疲れでしょうから私が按摩をして差し上げましょう」といって次々に石工の肩を揉んでいった。
するとその按摩がとても気持ち良かったのか、按摩をしてもらった石工達は次々に寝入ってしまった。しかしその内の1人が、彼女が只者ではない事を察して密かに逃げ出し、たまたま出会った猟師に事情を打ち明けると連れ立って現場へと戻り、石妖と対決する。
猟師に鉄砲で撃たれた石妖は、石の正体を現して粉々に砕け散り姿を消したが、その後も何事も無かったかの様に度々出現したという。
なお、石妖に按摩を施された石工達は眠っていたのではなく実はあまりの激痛で気を失っていたというのが真相であり、その背中には石で引っ掻いた様な傷が無数に付いておりこのままでは病気になる危険性が高かったが、幸いにして手当てが早かった事もあり何とか無事に回復したという。
ゲゲゲの鬼太郎
初出は『少年マガジン』に掲載された『新編ゲゲゲの鬼太郎』。
美しい女性の姿で“石山妖子(いしやま ようこ)”という偽名を名乗り、男性を誑かしては大金を撒き上げる、結婚詐欺を繰り返していた。ねずみ男を誑かして結婚し、新婚旅行先で祝儀袋を奪い去り行方をくらませた後、今度は妖怪研究家の水木を次のターゲットとして目を付ける。
伝承と同じく相手の肩を揉んで石で引っ掻いた様な傷を負わせて気を失わせてしまう事が出来る他、自身の体を石の様に固くして防御したり、石の塊と化して突進攻撃を仕掛ける事も出来る。
また、例え粉々に砕けれてもその状態で飛び回りぬりかべに穴をあける程の攻撃を仕掛けたり、竜巻の様になって襲い掛かるなど、その戦闘力は意外にも高い。
劇中では自身の行いに感づいた鬼太郎達と対決し石となって鬼太郎を追い詰めるが、最後は海に落ちて妖術を使えない様になり、女性の姿に戻った所を海坊主に捕まってしまい、二度と悪さが出来ない様に彼(?)の下で強制的に暮らす事になってしまった。
アニメ
上述の通り原作がややアダルトなエピソードのためかアニメでは長らく出番がなかったが、対象視聴者年齢が上がった6期第24話で、満を持しての登場を果たした。
ねこ娘が嫉妬し、異性に対して興味の薄い鬼太郎ですら見とれていた程の美貌とナイスバディを兼ね備えた女性の姿を持つ(上部画像参照)。原作と同様に“石山妖子”と名乗り、その美貌を巧みに利用して結婚詐欺を繰り返した挙句、今度はねずみ男に近付いて有り金を全て奪い姿をくらました。しかし、ねずみ男の仇討ちに出向いた鬼太郎ファミリーに追い詰められる。
高い戦闘力で鬼太郎達を翻弄するも、最後は悪運尽きて鬼太郎が呼び出した海坊主に捕まり、ペットにされるという原作同様の末路を辿るところを本気で彼女を愛していたねずみ男の懇願により釈放され、いずこかへと姿を消した。
騙されてもなお幾度も身体を張って自分を庇い、護ろうとし続けたねずみ男の真心に流石の石妖も物語の終盤、心を動かされた様子を見せる。
彼女が唯一奪わなかった結婚指輪を、出会いの場所である質屋に売って出てきたねずみ男の足元へ2人が出会ったきっかけであるリンゴをこっそり転がす石妖。それを目にしたねずみ男は、まさかと思いつつもリンゴを拾うと、未練を振り切るように齧り付いた後、いつもの飄々とした調子で去っていく。その後姿を見送った後、彼女もまた何処かへと去って行った……。
余談
漫画では、海坊主に捕縛された際にキチ顔に近い表情をしていた。
関連項目
3期の劇場版とTVシリーズの4期に登場したゲストキャラクター。共にねずみ男の悲恋物語におけるヒロインを務め、なおかつ実は人間では無かったという共通点がある。後者は石妖と同様に劇中でねずみ男と結婚しているが、こちらは清楚かつ優しい心の持ち主であり、更にねずみ男の事を最初から本気で好いていた。