私を月まで連れてって!
わたしをつきまでつれてって
1977年から86年まで〈ビッグコミックフォアレディ〉など複数雑誌に掲載・連載。コミックス版及び完全版がどちらも全六巻、文庫版は全四巻。
正式な続編として2000~04年にかけてほぼ年一回ペース(※)で〈MELODY〉誌に掲載された『ブライトの憂鬱』がある。こちらは全四エピソードで、コミックスは二巻刊行。
人類が宇宙へ本格進出した(※※)未来を舞台に、NASAの宇宙飛行士ダンとその17歳年下の恋人ニナ、及び周囲の人々を巻き込んで繰り広げられるハートフルなSFドタバタギャグコメディ。但し極めてシリアスな回もあり、古今東西様々なSF作品や文学作品の要素が織り込まれるなど、その情報量は多岐に渡って高い。
※註:作者の大学教員業のため「夏休み中しか(漫画作品の)原稿が描けなかった」から。Vol.3~Vol.4の間は丸2年間も空いている。
※※註:但しその進出範囲等の設定はかなりあやふや(なのはご愛敬?)。
ダン・マイルド
NASAの「国宝級の」A級ライセンス宇宙飛行士。階級は少佐。任務時や緊急時は非の打ち所がないほど優秀だが、それ以外の時はボーッとしっ放し(のように凡人には見えるが、実は上手く力を配分したまま休んでいる)で、子供じみたオモチャや骨董品等のレトロ事物に目がない遊び心だらけの27歳。風変りな友人知人(=各エピソードのゲストキャラ)が多く、職務ゆえ長期出張も多い。ESPではないが、卓越した対人観察・把握力等を発揮してそれらと対等レベルまで立ち回れる。
続編では40代になり宇宙軍准将まで昇進するも、見た目も中身も(ある一点を除いて)たいして変わってはいない。
ニナ・フレキシブル
ダンと同じヒューストン郊外のメゾンに住む少女(両親と兄の4人家族)で、テレパシーや瞬間移動まで使いこなす超能力者(ESP)。年齢こそ10歳だが、能力のせいかひどく大人びた言動が多い(それでも混乱したり自分がピンチに陥った時には、年相応の子供っぽさを示す)。
続編では26歳の若妻だが、必要その他に応じて頻繁に昔の子供の姿へと戻る。
アーチー
二ナの兄。S・C(スペシャルチャイルド)特別校の生徒(この学校に入りたくなかったニナが答案を兄のそれとすり替えたため)。自分を天才だと思い込んでおり、よく変な発明品を生み出しては周囲を大混乱に巻き込む。
続編では火星進学校の教師職に就いており、こちらはそれなりに大人な性格になっている。
おヤエさん
マイルド家のハウスキーパー。フレキシブル家はじめ同じメゾン内の多数家庭も掛け持ちしている。本名は温泉八重(おんぜい・やえ)で、実は平安時代より続く「やんごとなき」公家のお姫(ひい)さまにして、医学・心理学・コンピュータープログラム学など数多くの学位を有する超才媛。だが意外にも純愛主義者。
ハリアン・シェラトン
地球どころか宇宙をも牛耳る大財閥・シェラトン家の御曹司で、おヤエさんへの熱烈な求婚者。一見何ひとつ不自由も弱点もない苦労知らずの完璧人に思えるが、実はある肉親の死に関するトラウマを抱えている。ダンとは(ニナに「異次元ふたご」だと呆れられるほど)境遇、性格、その他に何ひとつ共通点のない似た者同士。
ブライト
最終話で誕生したシェラトンの双子の兄。外見は父親似、性格は母親似。
続編『ブライトの憂鬱』の主人公。
七重(ななえ)
ブライトの双子の妹。こちらは外見が母親似、性格が父親似。
SABURINA
アーチ―制作のハウスキーパーロボット。ガラクタを寄せ集めたような外観をしており、何故か品川ナンバーのプレートまでつけている。ある運用上の重大な欠点から一度廃棄されるも、おヤエさんに拾われて再教育され、以後その忠実かつ優秀なアシスタント役に。
ガイア
NASAが開発した実験段階の四次元ハウスコンピュータで、性別(?)は女性。テスト役にダンを選んでしまったばかりに暴走した挙句、四次元空間の彼方へと消失した‥‥と思いきや、ダンのことが忘れられないのかその後も彼の周囲をうろつき回り、時々三次元世界へイタズラ介入してくる。ニナの能力をもってしても無理なタイムトラベルなど時空間系騒動の、主な引き起こし要員。登場時の擬音は「ぬへら」。
何だかんだでこのお話の全ての元凶、ともいえる存在。
青空文庫『赤いガラスの宮殿』:詳細はVol.51を参照のこと。