第7魔王子ジルバギアスの魔王傾国記
だいななまおうじじるばぎあすのまおうけいこくき
勇者よ、守るべきものを踏みにじれ。
カクヨムにて連載されているウェブ小説作品。著者は甘木智彬氏。
オーバーラップ文庫より書籍化、ガルドコミックスよりコミカライズされている。
イラストは輝竜司氏、漫画は野井ニトラ氏が担当。
人間と魔族が争う、剣と魔法のファンタジー世界が舞台。
魔王との戦いに敗れ命を落とした勇者が、魔王の息子として転生し、人類を救うために理想の魔族の王子を演じながら、魔王国そのものを滅ぼそうと画策する復讐もの。
「魔族の王子としての地位を確立するために、勇者として守るべき無辜の人間の命を奪う」
「勇者としての責務を果たすために、王子として導くべき魔族たちを滅ぼす」
という、どちらの生き方にも背く非道を進む最中で、逃れられない葛藤や背徳に何度も相対することになるダークファンタジーである。
- ジルバギアス＝レイジュ
本作の主人公。２代目魔王ゴルドギアス＝オルギの７人目の子供であり、第７魔王子の魔族。
５歳の頃には青年と変わらない体躯と落ち着いた精神を備え、悪魔との契約も果たすなど、早熟で知られる魔族の中でも群を抜いた成長を見せている。
「父（魔王）を超える」という野心を持ちながら、その姿勢は勤勉かつ文武両道。
純粋な武力は勿論、魔族にしては珍しく政治や文化にも関心があり、画期的な献策を行うことから、魔王を始めとした有力者らからの覚えもめでたい。
正体は、魔王に殺され、しかしその息子として転生した人類の勇者アレクサンドル。
その立場を利用して、父親である魔王も母親である大公妃も、兄弟姉妹や自らに忠誠を誓う部下たちさえも殺し魔王国の全てを滅ぼすため、普段は理想的な魔王子として振舞いながら、内外より魔王国を滅亡へと追い込むため策を進めていく。
しかし、魔王子としての地位を確立するために人類を殺さねばならないこと、そして魔族に対し憎悪を燃やしつつも、親しい者や慕ってくれる者たちをその手にかけることに葛藤し、心を摩耗させていくことになる。
- プラティフィア＝レイジュ
ジルバギアスの母。魔王ゴルドギアスの７人目の妻である大公妃。
魔王の妻として相応しい武を持ちながら、魔族としては珍しく論理的な思考の持ち主。
プライドが高く、ジルバギアスが次期魔王になるように強く求めているが、一方で、母親としてジルバギアスのことを深く愛している。
- ゴルドギアス＝オルギ
ジルバギアスの父。２代目魔王。
他とは一線を画する圧倒的な実力を持ち、一人で魔王軍全てを上回るとすら言われる一騎当千の怪物。勇者アレクサンドルを始めとした決死隊による暗殺めいた奇襲も楽々と退けて見せた。
魔族以外は下等種族だと考える冷徹な性格だが、一方で合理的な思考の持ち主で、現状の魔王国が魔族だけでは到底立ち行かないことを理解しており、またあまりに武力に傾きすぎている魔族の風潮や魔王国が抱える様々な内憂に頭を抱えている。
ジルバギアスが産まれた当時は、彼のことを単なる世継ぎ候補のスペア程度にしか思っていなかったが、幼いながら急速に実力をつけ、文化や政治の分野でも様々に献策する彼のことを気にかけるようになる。
- ソフィア
ジルバギアスの教育係であり、プラティフィアの使い魔である【知識】を司る悪魔。
眼鏡をかけ司書服を着た女性の姿をしている。
一度見聞したことは完璧に記憶でき、記憶した出来事を即座に思い出すことができる。
その権能上「とにかく知識を得たい」「自分が知らないことがあることが我慢ならない」性格で、暇さえあれば本を読んで過ごしている。
- アンテンデイクシス
ジルバギアスと契約を交わした【禁忌】を司る魔神。
幼い少女のような姿をしている。
背徳的なものを好み、ジルバギアスが「禁忌」に手を染めるほどにその実力を増していく。
言動や事象を禁止する能力を持つ。
- 魔族
人類と敵対している種族。姿こそ人間に近いが頭部に角が生えている。
魔法を操り、非常に優れた肉体を持ち、エルフほどではないが長命にもかかわらず早熟。
元は北方の限られた地域に住み部族同士で殺し合いをする蛮族であったが、外の世界を知った初代魔王が各部族を取りまとめ魔王国を発足、その圧倒的な実力を持って人類を追い込み、生存域を広げている。そういった生い立ちから「力こそが全て」という心情を持ち、他種族を下等種族として見下している。
一方で、直接戦いに関係しない文化や文明はあまり発展していない。
- 魔王国
魔族を中心とした多民族国家。支配者階級である魔族をはじめとして、ゴブリンやオーガ、アンデッド、ドラゴンや獣人、悪魔やナイトエルフなどが住まう。
それぞれの種族の得意分野を活かした国家運営がなされているが、種族間の対立や利害関係などから一枚岩ではなく、また急速な拡大に伴う様々な問題も顕在化しているため、多くの内憂を抱えているのが実情である。
- 悪魔
魔族と協力関係にある、魔力そのものが形どった、この世ならざる次元からやってきた超常的な生命体。それぞれが事象や概念を司り、それに伴った固有の能力を持つ。
契約を結ぶことで自身の力を貸し与えることができ、さらに権能に伴った行動をすると契約した者の魔力も増強する。
中でも隔絶した能力を持つ存在は「魔神」と呼ばれる。
- 汎人類同盟
人間や獣人、エルフやドワーフからなる対魔王国同盟。
元が精強かつ悪魔とも契約している魔族相手に劣勢を強いられており、徐々に生存域を削り取られている。
チェンソーマン ･･･ 様々な事象や概念を司る悪魔という者が存在し、その悪魔と契約することでその権能を行使できる点など、「悪魔」の設定に共通点が多い。
