概要
2023年9月13日、プロ野球・阪神タイガース{以後・阪神}の18年ぶりのセ・リーグ優勝を前に大阪を中心とする近畿地方は朝から異様な空気に包まれていた。
12日の読売ジャイアンツ3連戦は、第1戦1-0、第2戦も4-0で連勝した阪神はこれまで破竹の10連勝、マジックナンバー1で迎えた第3戦が優勝を決める大事な1戦となった。
この異様な空気のなか、阪神ファンのボルテージが盛り上がる一方、阪神ファンの暴走を恐れる大阪府警は、優勝が決定した場合、道頓堀近辺のコンビニ各社に酒を売らないよう依頼、近辺の居酒屋や食堂、レストランのなかにはマスコットを屋内に避難させたうえ早じまいする店が出る騒ぎとなった。
大阪府警や居酒屋、食堂が市民の暴走を恐れるには理由があった。
1985年10月16日、阪神のセ・リーグ制覇が興奮したファンが暴走、当時、阪神の主砲として活躍していたランディ・バース選手とケンタッキーフライドチキンのマスコット・カーネル・サンダースが似ているからと強奪し胴上げ、道頓堀に投げ入れる暴挙が起こるに至った。
道頓堀の悲劇はこれで終わらず、2003年に阪神が優勝したおりには、道頓堀にダイブした当時20代の男性ファンが死亡、
これらの悲劇にこりた大阪府警は、今回、1300人もの警察官を動員し、この日の夜に備えた。
この異様な空気に、だれからともなく「緊迫の道頓堀」と言う言葉が起こり、たちまちSNS上を席捲してしまった。
その結果、この日も阪神は巨人を4-3で破り、18年ぶりにセ・リーグを制覇することとなった。
興奮した阪神ファンが各地で祝杯を挙げる一方、ファンが大挙した道頓堀でも、幸いにも死者は出なかったがやはり何人かがダイブしたようである。
なお、11月の日本シリーズでも同様の事態となり、道頓堀は厳戒態勢に。5日の最終戦ではオリックスと阪神のどちらも3勝の接戦だったため、勝った方が日本一という展開に。
そのため府警も「オリックスが勝ったら試合終了後に順次警備態勢を縮小、阪神が勝ったら厳戒態勢継続」という異例の事態に。試合は阪神が7-1でオリックスを破り、38年ぶりの悲願の日本一を達成。厳戒態勢が敷かれていたにも拘らず、やはり37人がダイブした。いずれもケガなどはなかった。
