概要
くいだおれ太郎は、大阪・道頓堀の食堂「くいだおれ」の店先に立っていた同店の宣伝人形。くいだおれ人形とも呼ばれるが、こちらが正式な名前。食堂は2008年に閉店したが、くいだおれ太郎だけは現在も残され、観光名物として大阪の街を賑わせている。
太郎は、ピエロのような紅白の衣装に同じく紅白のとんがり帽子をかぶり、丸い黒縁眼鏡をかけている。バスドラムを背負い、手元にはスネアドラムを構える。眉毛や目玉、口が動き、手も動いてドラムを叩くしぐさを電動で行う。
初登場はなんと1950年。店や企業の宣伝キャラクターの人形を店頭に置くのは現在では珍しくないが、当時としてはかなり珍しく、しかも電動で複雑な動きを行うくいだおれ太郎はかなり異色の存在だった。人形浄瑠璃の人形を作る技術者が製作を手がけ、当時としては莫大な金額を投入して「くいだおれ」の創業者が作らせた。
設置からしばらくはあまりに異色の存在感に「気持ち悪い」「目障りだ」といった声も多かったようだが、創業者は遺言にまで「人形を大切にしろ」と言い残し、その結果くいだおれ太郎は徐々に人気を得て、今では道頓堀どころか大阪のシンボルのひとつに成長した。先見の明があった人だったのだろう。
小ネタ・エピソード
- 父と弟がいることが、フジテレビの『トリビアの泉』で紹介された(2004年2月18日放送)。父親はそのまま「おやじ」、弟は「くいだおれ次郎」という。また「くいだおれ楽太郎」といういとこもいる。このトリビアは金の脳を獲得した。
- 太郎は、何か社会的に大きな出来事があった時、横にフキダシ看板が設置されてしゃべることがある。
- 先述の「おやじ」は息子達とは似ていないが盆を片手に持った鉢巻姿の「おやじ」。その盆にビールを載せてくるくる回る。「くいだおれ次郎」は兄とそっくりだが、彼はバンザイをするアクションをする。その為、日本全体におめでたいニュースが舞い込んだ等の特別な時だけ登場するという。
- コスチュームも時々変わる。「しかし、実際にくいだおれ太郎のコスチュームが着せかえられている瞬間を見た者は誰もいない…」というのが、大阪にまつわる都市伝説の一つとなっているほど。
- 1985年の阪神タイガースの日本一のとき、道頓堀のケンタッキーフライドチキン店頭のカーネル・サンダースがタイガースファンに略奪され道頓堀川に投げ込まれた事件は有名だが、実はこのときくいだおれ太郎も狙われていた。このときは店の営業部長が身体を張って太郎を死守したという。
- 1991年に発売されたゲーム「時空の覇者Sa·Ga3」にはくいだおれ太郎をモチーフにしたモンスターが登場している。衣装の模様は水玉だが、太鼓や眼鏡はそのままである。
- 海外版ではグラフィックが変更されている。更にリメイク版には登場せず、移植版のコレクション版では名称が「クラウン」に変更され(下位種の「チンドン」と上位種の「よしもと」はそのまま)、蝶ネクタイと太鼓とバチが削除されている。
- 2009年、くいだおれ太郎がルパン三世によって盗み出される事件が発生した。(これはもちろんそういう企画である。)
- 2011年にはファンタのCMに出演し、日頃から培った華麗なドラムテクニックを披露した。
- 2011年の夏、東日本大震災後の電力不足で全国的に節電が呼びかけられていた時は、太郎も動きを止めた。
- くいだおれ太郎をモチーフとした、くいしんぼう仮面という覆面レスラーが大阪を中心に活動している。
- 2021年夏に目の隈の除去し整形した宮迫博之がくいだおれ太郎にそっくりとの指摘がある。奇しくも宮迫も大阪府出身で、実際比較写真を見ても瓜二つのレベルで似ている。なお、元々宮迫はTV出演時代は公の場で眼鏡はかけていなかったが、YouTuberデビュー後、敬愛するヒカルのロコンドのコラボレーションモデルの眼鏡を身につけるようになった。大阪の象徴の一つである吉本興業解雇後に整形でこのような姿に変わるとはなんとも皮肉な話ではあるが…