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概要編集

肝練りとは、薩摩で行われていた風習である!


肝試しと言えば、何を想像するだろうか。

暗い夜道を少ない人数で歩いたりする、そんなのを想像するだろう。


だが、薩摩武士はそんな程度の事で恐れを抱かない。

薩摩の肝試しとは、現実の生死を分かつ程の状況に置かれる事を言うのだ!


語源としては肝を鍛える鍛錬=肝を練る と言う事で、「肝練り」と言う言葉になったと思われる。


以下やり方を記す。


  1. 宴の用意をする。
  2. 中央に天井から吊り下げられた縄に弾を込めた火縄銃を取り付ける。この時、「ヨリ」をかける為、精いっぱい縄をねじっておくこと。また、火縄銃の銃口は皆の胸のあたりの高さに調整するのが望ましい。
  3. 火縄銃を囲むように皆で座る。出来る限り詰めて隙間が出来ないようにする。
  4. 火縄に火を点け、手を放し宴スタート。
  5. ぐるぐる回る火縄を平然と眺めながら、普段と同じように飯を食う。

その火縄がついた銃が誰かを撃つかもしれない、撃たないかもしれない。

誰かに当たるかもしれないし、当たらないかもしれない。

ある種、ロシアンルーレットが行われてる中で飯を平然と食う事こそが、薩摩の「肝練り」である。


平然と、と言う事は仮に誰かが死んでも気にしてはいけないし、悲しんでもいけない。

弾丸に当たっても悲鳴一つ上げずに、黙々と食べなければならない。

当たった奴は運が悪いと笑う位でなくては、ぼっけもんは勤まらないのである!


ネット上では編集

とみ新蔵の描いた漫画「薩南示現流」(原作:津本陽)の1シーンが有名。

出てくるのは第五話「雲耀の太刀」である。

ちなみに、「薩摩義士伝」と誤解する人も多いが、絵柄が似ているので仕方ない所。

(とみ新蔵は薩摩義士伝作者の平田弘史の実弟で、元アシスタント。ちなみに「ひえもんとり」は薩摩義士伝の方である。)


上に説明した様な光景の中、冷や汗を流しながら飯を食い、自分に言い聞かせるように

「避けてはならん!」「逃げてはならん!」「死ぬ者は運が悪い!」と言いながら、酒を飲みつつ「ああ、よか酒じゃ!」と酒宴を行うシーンが有名。

最後に血飛沫が描かれ、誰かに当たったと想起させるコマが描かれるが、誰に当たったか、はたして死んだのか、はたまた生きているのかは不明。


インパクトも強く、ぶっ飛んだ宴の様子がネットミームとして広がり、そのシーンを描いたパロディイラストもある。


そもそもこれは組頭(ようは上司)に強要されて行っているもので、彼らも好き好んでこんな事をしているのでは無い。

その表情を良く見れば、やりたくないが、やら無いと殺されるので、自棄になって飲み食いしているのがわかる。

余談だが、女性に見とれてたと言う理由で、この宴の前に若侍が2人程殺されてたりする。


実際にそんな風習あったの?編集

わからない

としか言いようが無い。


何しろ物的な証明はほぼ無い。

肝練り用の火縄銃や、行われた痕跡等が発見されている訳でも無いのだ。


だが、平戸藩の藩主「松浦静山」の随筆集である「甲子夜話」には、円陣を組んで座り、ヨリをかけた縄に火縄銃を吊るす……と言った上記の光景が説明されており、ほぼそのままと言って良い。

ただし、これは「そんな話を聞いた」と言うものであり、静山が目撃したり、行った事では無い。

その為、実際にあった証明にはならない事には注意が必要だろう。

(そもそ近い時代で甲子夜話以外に肝練りの光景を説明するような書物、書簡が他に発見されていない)

噂が伝わる間に話が変化する、または誰かが尾ひれをつけるのは十分に考えられる話である。

もしかすると風習と言うより、一部の者が始めた「危険な宴」の噂話が広まって静山の耳に届いたのかもしれないが、これも所詮は推測である。

なお、甲子夜話によれば、その後は島津重豪の命によって禁止令が出されたとの事。


その後は、時が流れて、司馬遼太郎の「薩摩浄福寺党」にて「胆(きも)を練る」と言う言葉が登場。

「胆練り」の言葉として発祥となった可能性がある。

この時の「胆を練る」行為も天井から吊り下げた火縄銃を使用していた光景が書かれており、「肝練り」の光景と一致する。


なお、津本陽の小説でも「胆練り」と書かれており、とみ新蔵の漫画版で「肝練り」に変化した可能性がある。


肝練りとは、そんな噂話を聞いた人々が、狂気に足を踏み入れる程に精強で頑固な薩摩武士に幻想(ユメ)を見たのかもしれない…。


関連タグ編集

薩摩ホグワーツ:火縄銃どころか許されざる呪文にして死の呪文であるアバダケダブラを使って肝練りするという…

ロシアンルーレット

薩摩藩


外部リンク編集

『肝練り』とか最初に言い出したのは誰なのかしら ~薩摩藩の火縄銃ロシアンルーレット宴会行為『肝練り』の起源を辿る~…参考元

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