概要
鎌倉時代初期の女性。鎌倉幕府の御家人比企能員の娘。二代目鎌倉殿・頼家の妻妾。頼家の庶子一幡の母。
頼家が病で危篤状態に陥ったことで、家督相続を巡って、若狭局の一族比企氏と、頼家の母方の外戚北条氏との対立による比企の乱が起こる。やがて父能員が北条時政によって謀殺された際に他の一族と共に一幡を擁し小御所に立て籠る。しかし北条義時率いる大軍に攻められ亡くなった(小御所合戦)。
『吾妻鏡』と『愚管抄』では最期の描写が違い前者では小御所で一幡共々焼死したことになっているが、後者では小御所を脱出したが義時の配下に母子共々討たれている。
NHK大河ドラマでの演者
- 『草燃える』(1979年)
演:白都真理
頼家の妾で一幡の母だが、身分の低さから正室になれないのを不満に思っている。頼家を自らの美貌と身体で誘惑して妾となった性的に奔放な女性で、そのことから評判はよくなく、姑の政子からも嫌われていた。
やがて北条一族と比企一族の争いに巻き込まれた結果、北条一族に館に攻め込まれて、一幡と共に殺された。
性格的に難のある女性で世間受けもよくない人物だが、頼家からは寵愛されていて、若狭局と一幡の死を察した頼家は政子に怒りをぶつけていた。
- 『鎌倉殿の13人』(1979年)
演:山谷花純
「せつ」という名前で登場。比企能員と道の娘。2代目鎌倉殿である源頼家の長男・一幡の母。だが大叔父である源為朝の孫娘・つつじを正妻にしたいという頼家の思惑で(父の頼朝も頼家の気持ちに同意したために)、側女とされてしまう。
とても気が強い性格で自分が正室になれなかったことへの恨みもあり、子供を産んでいないつつじに嫌味を言うなどしていた。だが後に政子に頼家について相談したところ「自分の思いをぶつければいい」とアドバイスを受け、それを実行。頼家はせつを信頼するようになる。また、つつじとは悪阻で苦しむ彼女に対処法を教えるなど仲は良好とまでは行かずとも険悪なムードからは抜け出した。
だが頼家が病で昏睡状態になった時、阿野全成・頼全父子を殺害されたことなどもあり比企氏の横暴に堪えかねた北条時政・義時らが比企氏粛清を決行。能員を騙し討ちにし比企館を攻撃し比企一族は滅ぼされる。しかし、義時の真の目的は「生きてるだけで災いの種になる」せつと一幡の殺害であり義時の命で二人してトウに殺された。