鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝から第6代将軍・宗尊親王までの6代の将軍の年代記という構成で、治承・寿永の乱と平氏政権の滅亡、鎌倉幕府の成立、承久の乱、執権政治の始まり、1246年の宮騒動と翌年の宝治合戦、得宗支配の確立など、1180年から1266年までの幕府の起こった出来事を年代順に記してゆく編年体、及び日記風の文体で描かれている。
成立時期は鎌倉時代末期、「平禅門の乱 ※1」が発生した1293年から「嘉元の乱 ※2」を起きた1305年の間と推察されている。
※2:北条貞時・北条師時・大仏宗宣・北条宗方・北条時村の項目参照
編纂者は当時の幕府中枢の複数の者と見られている。その編纂における参考文献の非同時代性から、記述には編纂者の主観に基づく部分が多いと考えられ以下の項目では明らかに編纂当時の曲筆と見られる部分がある。
また誤記の多さも指摘され、以下のように吾妻鏡に記載されている没年に疑義を呈されている人物も少なくない。
源頼朝・頼家・実朝の源氏三代将軍に対する評価は手厳しい反面、北条家の活躍(特に牧氏事件で失脚する前の北条時政に義時・泰時・時頼)は強調され、読むには描かれた時代と同時期の史料である九条兼実の「玉葉」や慈円の「愚管抄」に藤原定家の「明月記」などと比較するのが良いとされる。
編纂当時の書名は不明だが、室町時代には『吾妻鏡』と呼ばれ、『東鑑』とよぶのは江戸時代初期の古活字本から。
源頼朝を尊敬する江戸幕府初代将軍・徳川家康は熱心な愛読者だったという。
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