概要
東方Projectに登場する茨木華扇(茨華仙)の屋敷。『東方茨歌仙』に初登場した。
華扇曰く「 道場 」であり、修業の場であると語られている。
同作第二話にてその一部が会話中のイメージとして描かれた他、第三話にて名称と外観(庭先など含む)及び内装の一部が登場。複数の要素の織り交ざった、アジアンテイストな外観や内装である。エピソードのファクターともなることのある丸窓が特徴的(後述)。
第十話では外観の全体像が描かれた他、「 家庭の事情 」も絡み、その道中の経路がエピソードの要素ともなった。同話では、白い壁面に錆色または濃い朱色の屋根や欄干といった色彩コントラストの建築物として描かれている。
作中では主に華扇のプライベートルームと思われる場所で華扇が調べ物をしたり考えにふけったりする様子が描かれており、リラックスした華扇の一面を覗くことのできるものとなっている。
ここには丸窓に面したテーブルの他、ベッドや掛け軸などがみられる。
この他複数のエピソード中で屋根の上で瞑想する華扇の姿が描かれている。
なお、居住者としては華扇以外の人間は描かれていない(第二十話現在)が、華扇の生活を助けるなどする複数の動物達が屋敷の内外に登場している。
アクセス
屋敷は妖怪の山に所在するが「 方術 」によって隠されており、至るためには正確なルートを往くことが求められる。ただし屋敷そのものが「隠されている」ものであることもあってそのルートを正確にたどるのは容易ではない様子。目印となるものはあるものの、もちろん詳細な標識などがある訳ではない。
華扇はこの「正路」を「 パスワード 」とも称している。
屋敷と「華扇の仙界」
屋敷は単に隠されているだけでなく周辺の天候・気候環境にも手が加えられており、例えば屋敷がある山そのものが強力な吹雪と濃霧の気候条件下であっても、屋敷周辺は快晴かつ比較的温暖、といった具合である。
単に「隠されている」というだけではない模様である。
仙人たちは「仙界」と呼ばれる独自の空間をそれぞれ生み出し、そこに拠点を置くなどしているが、華扇もまたその住まいを自らが生み出した空間に置き、「茨華仙の屋敷」も独自の仙界に存在している。華扇によれば仙界は「 仙人の哲学で拓くことが出来る 」もので、それぞれのオリジナリティが表現される。
華扇の「仙界」には植物の成長を考慮して緩やかな四季がある。
屋敷の周りには竹林も広がり、豊かな実りもある。
仙界の外部との季節の違いの程度としては、上記のもの以外の具体例としては特に冬のシーンにみられており、霧雨魔理沙が迷い込んだ際(後述)にはその地に至るまでに魔理沙が直面していた死を覚悟するほどの吹雪もまったくみられない。華扇が霊夢に語ったところによれば華扇の仙界では冬場も「 雪がちょっとしか降らない 」ように調節されてもいる。
冬場に限らず、他の季節も温和で、災害からも独立している。
「 大雨 大雪 猛暑 寒波 何それって感じ 」(華扇、仙界について、『茨歌仙』)
ただし外部の季節と完全に分断されているわけではなく、特に何らかの理由、何らかの力が季節(「 季節が持つ生命力 」)に関与した際には華扇の仙界も影響を受ける。例えば作中では仙界内部で筍が異常に生長するなどの様子が見られる(『茨歌仙』)。
華扇による仙界は『東方憑依華』では作中にその風景が登場しており、この際のステージ名はそのまま「 華扇の仙界 」。『茨歌仙』で描かれる屋敷の周辺とはまた違った、水墨画に描かれるような切り立った山岳が特徴的。
なお同ステージで華扇が2P側、ストーリー中ではCPU側に立つと、片足立ちする華扇の足先に背景の山岳の一つがちょうど触れる位置となり、まるで華扇が険しい山岳の先端で片足立ちするかのような、修行中の華扇を彷彿とさせるような光景ともなる。
類似ケース
「茨華仙の屋敷」は上記のように一般的な三次元的延長ではなく特殊な処理によって空間的に別個されているが、同様に単純な物理的直結以外の通路をもつ建築として東方Projectには他のケースも見られる。
例えば豊聡耳神子は『東方神霊廟』以後、その居住または修業目的の空間である「神霊廟」を「 仙術 」によって別の空間に設置しており、その出入り口は特定の物理的環境に拘束されていない。これも先述のような「仙人が生み出す仙界」の一つといえるものである。
ただしこちらは神子と行動をともにする人々も出入りする他、『東方心綺楼』及び『茨歌仙』にて多数の弟子たちが登場しており、さらに『心綺楼』以降では決闘のステージの一つとして開放されてもいる。一方の「茨華仙の屋敷」は後述の博麗霊夢等の一部のケースを除き積極的に人を招き入れてはいない様子である。
なお、華扇も神子を訪ねて「神霊廟」を訪れている。
華扇は「仙人」として修業する者であるが、神子もまた「仙人」としてその道を追う者である。二人はその住まいを次元的に隔離しているという点でも共通している。
また、博麗神社は外の世界との境界に建つものであり、博麗大結界内部と外の世界の両者の属性をもつという、上記のケースとは異なるが通常の空間的概念以外の性質も備えている。
この他稗田阿求による伝聞的記述ではあるが、八雲紫の住まいもまた博麗神社同様に外の世界との境界上にあるのでは、とされている(「幻想郷縁起」、『東方求聞史紀』)。ただしこちらはその住まいを見た者がいないため正確性は保証されていない。
この他『東方求聞口授』における「おまけインタビュー」において、原作者ZUNによって東方Projectにおける「月の都」との類似性が語られている。
主にそこに入るための「手続き」についてであるが、同時に「 月の都に居る人間たち 」の性質についても語られているなど両者には質的な関連性がある。
ただしこの文脈においてはインタビュアーが月の都と「 茨華仙の家 」はそこへの入り方が似ている、と投げかけたのに対し、ZUNはこれに「 仙人の家 」という呼称で返しており、華扇邸に限らず先述の「神霊廟」のような仙人達によって形成される様々な空間についても行間を残したものとなっている。
屋敷を訪れた事のある人物
『茨歌仙』開始以前からの仲であるようで、『茨歌仙』作中でも屋敷を頻繁に訪れる。
来訪の理由は警告であったり連絡であったり雑談であったりと様々。
華扇からはサボりを疑われる一幕もある。
華扇の瞑想中に訪れたり、上記の私室でくつろいでいるところを訪れたりと、他のキャラクターたちも見る機会の少ないであろう華扇のリラックスした場面に幾度も行きあうことのできる人物である。
第二十話時点で、華扇や動物たちを除いて自らの意思で「茨華仙の屋敷」に自由に出入りすることが出来ている唯一の人物でもあり、同現在時点で最も頻繁に屋敷を訪れているキャラクターともいえる。屋敷に至るための複雑な「 パスワード 」も、小町の「距離を操る程度の能力」の前では意味を成さない模様である。
なお同作第五話において二人が「窓越し」に話す姿が印象的に描かれており、これまで緊張感のある様子であった二人の関係が、ここを境に緩やかな様子も描かれるようになるなど、屋敷の構造が作中での変化のポイントを魅せる要素ともなっている。
その「 堕落した性格 」に激怒した華扇によって修業のために連れてこられた。
華扇と動物たちの指導による数日間の修業が行われた模様であるが、霊夢が体験したであろう修行や屋敷の様子は語られていない他、後には霊夢が屋敷の事を思い出せない様子もみられる。
ただし「 修業 」の事は思い出せているようであるので、そちらの印象があまりに強すぎたのかもしれない。
第十話にて、とある理由から屋敷のある山に入山し、偶然屋敷へと辿り着いた。
この時の魔理沙は雪山での遭難状況にあり、倒れ込みながら屋敷のテリトリーに入り込んだところを華扇に保護された。
その後華扇の介抱で回復し、魔法の森まで送り届けられた模様であるが、続く第十一話にて魔理沙は再び山に入り、ある目的をもって今度は屋敷を目指している。
先述の山そのものの天候状況と屋敷周辺の環境の違いをまざまざと体験した人物であり、後に霊夢に語ったところによれば、屋敷周辺は「 楽園みたいな処 」。
この訪問で味をしめた魔理沙は以後も時には霊夢も誘って(屋敷周辺の仙界の実り目当てで)屋敷をこっそり訪ねようと企んだりもしている。
- その他
上記以外では『茨歌仙』第一話で東風谷早苗が華扇について「 大きな屋敷をもっている 」と語っており、早苗が訪れたことのある可能性が見て取れる。
関連イラスト
- 丸窓