注意
本記事は東方Projectに関連して、
特定のキャラクター・特定の作品のストーリー・エピソードについて
ネタバレを含む内容も記載されています。
関連する書籍を手に取っていない場合や
手に取っている場合でもネタバレを望まれない場合などは
この記事のこれ以降の内容を読み進めることなく、
ページから移動してください。
また内容に関しても進行中の事象であることから、
情報の公開に伴って特に流動的に変化していく可能性があります。
原作の記述の記載を長期にわたって安定的に保証できるものではなく、
また、ミスリードを充分に回避できない危険性があります。
概要
「茨木童子の腕」とは、東方Projectの書籍作品である『東方茨歌仙』に登場する何者かである。作中で示される二つ名は「 断善修悪の怪腕 」。茨歌仙コミックス10巻の設定資料ページでは「影華扇」と表記されている。
自らを「 鬼 」と称し、無間地獄に閉じ込められた博麗霊夢の前に姿を現した。
その姿は茨木華扇に酷似するが、明確な有角・有腕(右)、足首の鎖やその先の錘など異なる部分ももつ。髪質や「瞳」の描かれ方なども異なる。爪も長い。濃い色の「 タイツ 」を着用している(『茨歌仙』単行本第十巻設定資料より)のも、冬服のものを含め華扇と異なる。
東方Projectにおける「鬼」である伊吹萃香や星熊勇儀を彷彿とさせる怪力をもち、万全の状態ではないとはいえ霊夢に対して精神的にも身体的にも怯ませるほどの圧倒的な力を示している。
一方で「腕」の言う「 (霊夢には) 私の存在しない本体が見えている 」や霊夢の言う「 腕しかない癖に(実際「腕」は攻めも守りも右手しか使っていない) 」などそれぞれの言葉の中には各々の存在性を実際にはどのように感じているのかについて不明な点もあり、これらの要素は物語の最終盤に至るまで不詳の状態であった。
霊夢と対峙して直接示すこととなるその力の程は、右拳一つで地割れを起こす、右手で軽々と石柱を放る、右拳を地面に打ち付けつつ地中から無数の「 僕 」(しもべ)を召喚するなど、霊夢をして「 出鱈目 」な力を持つものばかり。
「 美しさもへったくれもない 」というその力も前に、霊夢も苦戦を強いられることとなる。
なお、その名称は「茨木華扇の腕」ではなく「茨木童子の腕」であることに注意。
華扇はこれまで『茨歌仙』をはじめ東方Projectの各作品作中で何かの「腕」を度々求めている様子が描かれてきていた。
ファンの間では主に「腕」や「茨木童子の腕ちゃん」、「腕ちゃん」などとしてその存在についての話題が共有されている。後者のものは「腕」がその姿かたちをとった華扇がファンの間で「華扇ちゃん」と呼ばれることがあり、また華扇がそう呼ばれ得るような愛嬌なども持ち合わせるパーソナリティであることとも関係するか。
なお、華扇については作中ではとある人物から「カセンちゃん」との愛称で呼ばれたりもしている(『東方香霖堂』)。
容姿
先述の通りその姿は華扇に似るが、角を持つ(有角)ことや義腕でない右腕を持つことを大きな特徴として、華扇は身に着けていない先端に鉄球のついた鎖を両足首に備えているなど違いもある。
右手の爪だけが長いのも「腕」ならではである。
先述のあずまあやの設定資料によれば、さらに詳細として、
・「 髪の分け目が (華扇と) 逆 」
・「 スカートのすそボロボロ(ワイルド) 」
・「 タイツ 」
・「 (左手首、または両手首の枷の) くさり ちょっと長い 」
・「 目のまわり 赤い アイシャドー 」
などの特徴を持つ。
このうち「 アイシャドー 」については「 敵キャラによくある 」との脚注が強調つきで追記されている。
髪型・髪質については「 ざんばらの毛 というかストレートヘア 」としており、これも華扇と異なる点である。
口を開くと八重歯のような、牙のようなものも見え、これも華扇にはない特徴である。
また両足の装飾品については「 枷や鉄球をふやしても~、と頂いた 」としており、これについては原作者のZUNのアイデアをあずまあやが拡張して結実したものとの可能性をみてとることができる。
『茨歌仙』四十九話扉絵や最終話扉絵などでは足部分は隠れているものの上半身やスカートなどのカラーの姿も描かれている。
嘲笑を湛えた目つきの鋭さや悪い笑みを隠すこともない口元をはじめ、弾幕アクションで見られるような華扇とはまた異なる大振りで豪快なアクションなど、姿こそ華扇の姿は模しつつも、表情や動作や所作からにじみ出る性格は華扇とは全く異なるもので、力を振るい相手を追い立てつつ戦うことを楽しむ「腕」の性格が如実に表れている。
茨木童子と「腕」
実際の伝承にある茨木童子とは、平安時代に京都で暴虐の限りを尽くした「鬼」である。
その伝承や詳細については「茨木童子」記事を参照。
茨木童子は源頼光とその配下である頼光四天王、特に頼光四天王の一人である渡辺綱と深い因縁を持ち、大江山の鬼退治の一件で頼光らを迎え撃った際には茨木童子は綱と決着をつけることができず、その後の奇襲ではこれに失敗して綱に「腕」を切り落とされている。
後世の創作ではこの「綱が茨木童子の腕を切り落とし、その腕を茨木童子が奪還すべく動く」というストーリーを軸として様々な物語が作られた。
例えば道に困った美女に化けて綱の前に現れ、隙を見て綱を連れ去ろうとするも返り討ちにあい、髭切によって片腕を切り落とされそのまま渡辺綱に腕を持ち帰られるという物語がある(一条戻橋)。
その後腕を奪還すべく茨木童子は綱の元へ赴くが頼光を通して陰陽師の知恵を受けていた綱は、術の力の結界と、人との交流を一時的にすべて断つことを通してその侵入を防いでいた。
茨木童子は攻めあぐねるが、最終的には綱の情に取り入るように綱の伯母または養母に化けることで
結界の内側に入り込むことに成功し、この護りの綻びを最大限に活用して腕の奪還に成功している(変装したまま腕を見せるよう綱に頼み込み、情にほだされた綱が腕を持ち出したところそれをつかんで空に逃亡した)。
茨木童子についてはその出自をはじめ、生来の鬼であったのか後天的に鬼となったのかや、性別、あるいは酒呑童子との人間関係、あるいはその後などにおいて諸説があり、後世の様々な創作にもつながっている。
『茨歌仙』作中では華扇と茨木童子の関連については具体的には語られてこなかったが、華扇が「右腕が通常の状態でないこと」(『茨歌仙』をはじめ『東方三月精』、各種弾幕アクション作品他)や「右腕を探していること」(『茨歌仙』や『東方深秘録』他)など、「切り落とされた腕を求める茨木童子」を彷彿とさせる描写も見られており、また先述の萃香や勇儀と既知の間柄であることや鬼が持つような特殊な酒器をもつこと、時には八雲紫から「 こちら側 」と呼びかけられたり博麗大結界に穴をあけて外の世界と行き来するなどファンの間でも「仙人」を名乗る華扇の謎の部分や特異な行動について様々な想像や考察がなされていた。
作中に登場した「茨木童子の腕」がどのような存在であり、霊夢の力の向こうに何を求めるものであるのか、その姿が似る華扇との関わりはどのようなものであるのか、ファンの間でも想像や考察は新たなステージをみることとなった。
果たしてそれは『茨歌仙』終盤で語られることとなり、「腕」の物語も通しながら、『茨歌仙』連載の九年の間に展開されていた謎や議論の一部に一つの決着を与えることともなった。
「腕」にも関連したファンフィクションではそれをうけてさらなる創作の可能性も広がりつづけている。
関連イラスト
関連タグ
真相と誤算
第49話にて、茨木華扇を本体と呼び、そして合体したことから茨木童子の腕は"茨木華扇が失った右腕"であることが確定し、同時に華扇が茨木童子その人(鬼)であることも確定した。
だが茨木童子の腕にとって誤算だったのは、鬼の邪気が右腕に全て籠められてから封印されていた(=本体は邪気を失ってしまった)事と、千年という長い刻が本体と右腕、二者の在り方を大きく変えていた事である。
右腕はあくまで鬼として復活したかったのに対し、邪気を失った本体は元に戻る事を捨てて仙道を究める決意を固めていた。
詳細は本体の記事に譲るが、それ故に右腕は本体の"裏切り"に気付くのが遅れてしまい、再封印の準備が出来るのを許してしまった。