概要
この呼びかけ方は宇佐見菫子からのもので、『東方香霖堂』以降の華扇と菫子との間柄において用いられている。「 カセン 」の部分がカタカナ表記となるのが特徴。
『香霖堂』以後も菫子が華扇を呼びかける際には「カセンちゃん」の呼称を用いており、例えば『東方文果真報』や『東方憑依華』(自由対戦モード)など書籍作品・ゲーム作品を問わず、菫子は機会がある際には華扇を「 カセンちゃん 」と呼びかけている。
華扇に対する複数の称
華扇は原作中において複数の呼び掛けられ方を持つキャラクターである。
例えば博麗霊夢や霧雨魔理沙からは華扇の仙人としての号である「 茨華仙 」(『東方茨歌仙』)や「 華仙 」(『東方三月精』他)などを通してその存在が示されている。セリフ部分では「 あいつ 」などの呼称となっていてもルビ部分では「 茨華仙 」となっているなど、普段から仙人の号を通して認識されている様子が描かれている。
他方で菫子による「 カセンちゃん 」の呼称では菫子が華扇を呼びかけるにあたって華扇の本名を意図しているのか仙人号を意図しているのかを読み取ることは出来ないため、仮に本名を意図している場合は先の霊夢や魔理沙とはまた違った華扇に対するアプローチがあることが示されるものともなるなど特別な意味も持ち得る。
「華仙」での呼び方の場合についても実際の発音としては本名の「華扇」もまた「 ka-sen 」であろうことから、原作中に特別なイントネーションの違いなどが無い限りは文字表記の無い実際の会話上では両者を区別することはできないものであるが、菫子の呼び方の場合は呼称の上だけでなく文面の上でも区別が出来ないものとなっているとうう特徴がある。
華扇に対するこの他の呼びかけられ方としては「 山の仙人様 」(東風谷早苗・『茨歌仙』、豊聡耳神子・『茨歌仙』、物部布都・『東方深秘録』等)などがある。
仙人と「カセンちゃん」
東方Projectにおける仙人
東方Projectにおける仙人とは、稗田阿求によれば妖怪にも死神にもそれぞれの理由で狙われる立場の危うい存在ながらそれらに対抗する力も持ち、特に人間に危機が迫った事態などでは一般に「 すぐに助けてくれる親切な面 」ももつという人間の味方である。
また阿求は「 妖怪退治を生業とする者がそのまま仙人となる場合も多い 」ともしており、元々人間側に立つ存在が仙人となるケースについても示している(「幻想郷縁起」、『東方求聞史紀』)。
妖怪による脅威が現実である幻想郷にあって人間にとって自らの味方にして特別な力を得た仙人たちは尊敬と信頼を集める存在である。
森近霖之助の驚愕
森近霖之助もまた人間と仙人の関係について理解しており、華扇が仙人であることも理解している。
霖之助は菫子が外の世界の人間で、幻想郷とは異なる価値観を持つことも知ってはいたものの、実際に菫子が語る価値観を前に何度も驚愕を得ることとなっており、菫子が華扇に呼びかける際の「 カセンちゃん 」もまたそんな驚きの一つでもある。
霖之助はこれに先立って、それが成されたとするならば幻想郷と外の世界の両者に大きな影響をもたらしたであろう深秘異変の首謀者が菫子であったことにも、実際に接触をもっている本人のイメージとの違いに驚きを得ており、さらには人間と「 大きな隔たりのある 」、「 ある程度敬われるもの 」である仙人を友達のように呼び、対等に交渉まで行ってしまう菫子についてさらに衝撃を受けている。
菫子による愛称の色々
菫子は華扇以外にも親しくなった様々な面々に対して愛称で呼びかけている。
例えば『深秘録』では華扇とも組み、菫子と対峙することとなった二ッ岩マミゾウについては縁を結んで以降「 マミさん 」としている(『文果真報』)。
また霊夢や魔理沙についてはしばらくは両者に対していずれも「~さん」で呼びかけていたが『憑依華』ではそれぞれ名前だけで呼びかけたり時には「 レイムっち 」や「 マリサっち 」ともしているなど、呼び方も変化している。
文面上ではいずれも相手の名前部分はカタカナ表記となることが共通している。
二次創作における「華扇ちゃん」
ファンの間や二次創作においても元々華扇は「華扇ちゃん」の呼び方で呼ばれる機会も少なくないキャラクターであった。本人の明るさをはじめ、真面目さや表情の豊かさなどが作中で描かれ、時には胡散臭さも醸す華扇は先のように仙人という存在ながら愛嬌もたっぷりであり、そんな人間らしさはファンの間でも華扇に対して親愛を感じさせるものでもあった。
仙人ながらお説教が通用しなかったり特定の知識に疎かったりといったスキの多さや、食をこよなく愛したりといった姿もまた距離の近さを感じさせる魅力の一つといえるだろう。
原作では鈴仙・優曇華院・イナバは華扇の心の内について「波長」という形で上記のようなものではない別の一面も覗き込んでいる(PS4版『深秘録』)が、当の本人の他者との接し方は相手に身近さを感じさせるものでもある。
例えばpixivでも「華扇ちゃん」またはそれに通じる表記によるタグも使用されており、例えば「華扇ちゃんに説教され隊」はその想像の基盤には華扇への身近さや親愛も内包したものともいえるものである。
華扇にまつわる「東方キャラの日」の一つである「3時から華仙ちゃn祭り」や華扇のカリスマタグの一つである「かっこいい華扇ちゃん」、華扇の衣装チェンジに関連したタグである「きせかえ華扇ちゃん」、華扇の右腕に対する論陣の立場である「華扇ちゃnの包帯の下は空っぽだよ派」・「華扇ちゃnの包帯の下は生腕があるよ派」、原作のポーズに関するタグである「華扇ちゃんノリツッコミポーズ」などにも「華扇ちゃん」・「華扇ちゃn」などによる表記が見られている。
原作における、先の菫子の「 カセンちゃん 」とファン界隈における「華扇ちゃん」のニュアンスの違いについてはまだまだ原作における展開が待たれるところではあるが、いずれの場合でもこの呼称を通しては華扇はその存在がどこか遠いものではなく、距離近く感じることのできるキャラクター性をもつものであることの証左であるといえるだろう。
また、東方ロストワードではイベントストーリーにて、とあるキャラに対し「カセンちゃん」という愛称が付けられていた。恐らくこちらは本物との比較のためであろう。