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概要編集

聖悠紀原作のSF漫画。永遠の命を持つ超能力者ロック宇宙を股にかけて活躍する物語である。


初出は1967年の作画グループ肉筆回覧同人誌に掲載されたもの。

商業誌掲載は1977年から始まり様々な雑誌を跨いで発表されたが、末期は作者のパーキンソン病のためたびたび休載し、2022年に作者が死去の為、絶筆となった。末期に連載されていたエピソードのひとつ「憧憬」は最終話のプロットと部分的なネームが残されており、それを元にアシスタントの佐々倉咲良が原稿を完成させた最終話が2023年に発表され完結したが、もうひとつのエピソード「カオスブリンガー」は未完のままとなっている。

1つの作品シリーズとして描き続けられた期間は同人誌時代から55年で、「碧南一家」(加藤まさみ村瀬範行)に次ぐ。

通常、ノミネート完結作品である事が前提である星雲賞で、50周年トリビュート企画(2017年)が自由部門にノミネートされた。


主人公のロックは不老不死であるため、宇宙の歴史のどの時代でも物語の舞台になりうる。エピソード1つが単行本数巻で完結する程度の長さで、それぞれの繋がりは薄く、どれからでも読めるようになっている。

ジャンルとしてはスペースオペラが意識され、人類が宇宙進出をするよりも前の時代を舞台にしたエピソードは作られていない。

単行本の巻末にはそれまでの超人ロックのエピソードが宇宙の歴史上でどのあたりになるかについて時間軸ごとに並べた宇宙年表が付属されることもある。


単行本は複数の出版社から発売され、権利関係はややこしい。絶版で今では読めなくなってしまったエピソードもあるため、全話読むのは至難の業である。アニメ化された際のオマケとして描かれた短編群は、その最たるものであろう。


単行本化により連載時との些末な変更が多い。

  • 「新世界戦隊」は同じ題名でストーリーが異なるものが存在する。本編世界内の歴史で大きな事件が起きたエピソードであり、これを読んでいないとそれより後の時代を舞台にしたエピソード全般で多少だが理解不能な部分がでてしまう。にもかかわらず、どちらも現在は(2014/3/17時点)絶版・入手困難であり、なぜか単行本が他社から再版されることもない。(2つの作品の内1つはアマゾンのKindleストアで購入できる電子書籍に収録された)
  • 同人誌時代の諸作品は近年リメイクされ、設定・ストーリー・登場人物などが変更された。(当然ながら一部のファンからは「変更前の方が良かった」という意見も・・・)これらの作品もKindleで購入できるようになった。
  • 長期間にわたって作られたシリーズのため、中には作風が異なる物がある。
  • 「探偵編」と呼ばれるシリーズ諸作品は、今後、他のストーリーと整合性を保つ事が難しくなる可能性が出てきた為、宇宙年表の記載からは外された。「パラレルワールドという設定に変更された」と、早合点するファンもいるが、作者はそのような事は一言も言及していない。

登場人物編集

ロック

超人ロック伝説超人

永遠の命を持つエスパー。不可能を可能にする強大な力を持っているため、絶えずその力を利用しようとする者との戦いを強いられている。性格は物静かで理知的。

相手の技や能力を自らの物とする「ラーニング」能力を持っている。

しかし実際のところどんな超能力を持っているかやスペックなどは詳細な設定はされていない。これは「超能力でできること」を明記してしまうと「できないこと」も同時に可視化されてしまうため、作者としてはそれを避けているのである。

ロックの強さはエピソードによってまちまちで、場合によってはあっさり他者の力の影響下に置かれる事もある。ロックは肉体の老化が超能力でも誤魔化しきれないようになった時、自分自身の時間を逆行させることで人生をリセットする(=赤ん坊に戻ってもう一度成長する)ことを繰り返している。なのでスペックがエピソード単位でコロコロ変わるのもある意味では当然である。


余談編集

超能力者像

1970年代から1990年代前半にかけて日本の創作物における超能力者像のテンプレートを確定した作品で、主人公・ロックはESP超感覚的知覚)とサイコキネシス物理的超能力)の区別がなく万能な超能力の持ち主である。この超能力者像を引き継いだ著名作品としては『エスパー魔美』などが挙げられる。

2000年代に入ると、より掘り下げた設定の超能力者が登場し始める。例として『ゼロの使い魔』、『とある魔術の禁書目録』シリーズ、など。ロックのような万能キャラも登場しているが、『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズの長門有希、『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』のロゥリィ・マーキュリーなど、主人公に寄り添いつつ導く存在が多くなっている。


掲載誌の休刊

「作品が掲載された雑誌は、ことごとく休刊する」「いや、出版社ごとつぶれる」というジンクスがあると言われる。

『超人ロック』は一般層への知名度や人気のある作品ではなく、マニア向け作品である。根強いファンがついており、ロックを掲載する雑誌は「手堅い固定ファン」を目当てにしているためメジャーな雑誌でない事が多く、長期シリーズの宿命ともいえる。ただし、末期は月刊ヤングキングアワーズ(少年画報社)と月刊コミックフラッパー(KADOKAWA・メディアファクトリー)という、出版社が異なる2誌での同時連載が10年以上続いており、いずれも連載が終了した2023年12月現在も刊行されている。


関連タグ編集

SF 漫画 聖悠紀 超能力

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