ロゥリィ・マーキュリー
ろぅりぃまーきゅりー
特地における死と狂気と戦争と断罪の神「エムロイ」に仕える亜神(人の肉体を持ったまま、神としての力を得た存在)。その容姿通り、ヒト種の出身。
ヒトだった頃はエムロイ神教団の神官見習いであり「ロゥリィ・エム・マーキュリー」と名乗っていたが、修行中のある日に唐突かつアバウトなエムロイからの啓示(?)を受けてエムロイの亜神となったことで、特地において『信仰する神を示す』ミドルネームは名乗る必要がなくなったらしい。
外見は少女だが実年齢961歳(物語開始時点)であり、不老不死。日本の国会でロゥリィやテュカが年齢を告げた時には、周囲を驚愕させた。ゴスロリに似た黒い神官服を身にまとい、一般成人男性が数人で抱えないと運べないような巨大な斧槍(ハルバード)を武器として振り回し戦う。主人公の伊丹耀司には興味と好意を併せ持っており、彼を誘惑したりし、炎龍退治の際には彼に自分の噛み傷をつけて契約し、自分の眷属にしてしまった。
普段の言動はいわゆるギャルだが、自分の仕事や信条には非情なまでに忠実。
戦闘能力は非常に高く、身体能力は常人どころか並大抵の怪異すら凌駕し、武闘派と名高い戦神エムロイ教団の戦闘術を修めて長きに渡り戦ってきたこともあり、炎龍相手に『ちょっと強引だけど死ぬまでハルバードで殴ってみるか?』という選択肢を考えつけるレベル。ジゼル曰く『万全のロゥリィに挑む場合、竜人種の亜神であるジゼルですら一人で戦ったら精一杯善戦しても拮抗止まり、新生龍2匹を加勢させてようやく勝ち目が出る』とのこと。特地の兵士はもちろんのこと、日本にやって来た際は、ロウリィら特地から来た面々を攫おうとして宿を襲撃しようとしていた米・中・ロ三国の特殊工作員集団を、鉢合わせで混乱した三陣営の銃弾の乱れ飛ぶ中、笑いながら血祭りにあげていた。
(「石仮面でも被ったんじゃねえだろうな…?」…とは、この襲撃現場におけるロゥリィの無双っぷりを自衛隊基地の監視カメラで見ていた嘉納太郎防衛大臣の弁である)
と、ここまでならさすがファンタジー世界の住人、と言えるのだが、自衛隊側にもロゥリィと同レベルで肉弾無双ができる普通の人間(しかも女性)がいるのは本作最大の謎(まあ、ロゥリィと違い彼女には不死性や超再生能力はないが)。
栗林の暴れた跡がロゥリィのものと勘違いされることもしばしば。
挙句の果てに原作後半では、特地側では栗林の扱いはロゥリィと同じとなる。
戦と死と狂気を司る神の眷属としての特性か、大勢の人々が殺しあう戦場の近くに居るとエクスタシーにも似た血の興奮に駆られ、戦で発散しない限り際限なくその滾りに悶えることになるらしい。
また、戦闘の意思を持ったときには攻撃色として唇が黒っぽくなる。
その好戦的で、必要なときに殺す事をためらわない性格(作中も含め快楽殺人者と誤解されている面があるが、エムロイの教えを忠実に守る彼女は基本的に無益な殺生はしない)から、“死神”と呼ばれて恐れられている反面、直接のエムロイ信者(フォルマル伯爵家のメイド長とか)以外からも“神官様”“使徒様”“聖下”と呼ばれて慕われてもいる。
レレイやテュカ、自衛隊の面々からは個人的な信頼も取り付けている(但しレレイとテュカからは、恋のライバルとしての意識も向けられているが)。
で、そんな彼女が日本に来た結果は、そこは「クリスマスに騒いで初詣行きます葬式には坊さん呼びます」の日本人、たった1回国会中継でどこぞの第1ドールっぽい発言をしたところを全国ネットされただけで銀座を人で埋め尽くすほどのファンを獲得。さもありなん。
本編終盤以降の彼女は“特地”側への日本の文化侵食を防ごうと、アルヌスに神々の神殿を集めているが、多分逆効果。
ロゥリィに限らず亜神となった者全員に共通する特徴ではあるが、(亜神という『肉体のある状態』を卒業して本格的な神になる『陞神』までの期限付きではあるが)文字通りの不老不死であり、その身体は亜神化したときの肉体年齢から成長も老化もせず、全身を銃弾でハチの巣にされても、五体をバラバラに切り分けられても、灰にされても、生きたまま踊り食いにされて全身をぐちゃぐちゃに噛み潰され飲み下されて胃袋の消化液の中に落ちても死ぬことはなく、たちどころに元の健常な肉体にまで再生する。そうした不老不死の作用の一環なのか、亜神は情欲はおきても子供ができることはないらしい。
そのために毒にあたって死ぬこともない(ただ、酒や毒・薬物や異物が体から排除されるまでの間の刺激は受ける模様)が、体をブツ切りにされた場合、その体のパーツは破壊されない限りはそのまま(例:腕を切断された場合、それをくっつければ治るが、その『切り落とされた腕が破壊される』までは、新しい腕が生えてくることもない)らしく、その不死性を逆手に取られて体をバラバラにされ幽閉・封印されてしまうケースもある。実際ロゥリィも、亜神になりたてで神官戦士としても未熟だった頃、当時の腐敗しきったエムロイ教団の幹部の姦計に陥れられて、こうした形で封印されていた事もある。
また、上記のとおりどんなに肉体を破壊・毀損されてもたちどころに肉体が元通りに修復される不死身の体ではあるが、流石に体力までは回復してくれないし傷つけば痛みも感じるので、休まなければ普通に心身の疲労は蓄積されていく。原作2巻こと炎龍編でも、伊丹やテュカ、レレイらがヤオら現地のダークエルフとともに炎龍と死闘を繰り広げている間、ロゥリィを狙って襲ってきたジゼルと交戦していたのだが、炎龍と戦う前に伊丹を眷属化させたことで『伊丹の負傷がすべてロゥリィに転送される』状態になっていた(=炎龍戦真っ最中の伊丹の傷ができた端からロゥリィ側に飛んでいく)ためまともに戦闘できず、格下であるはずのジゼルにも追い詰められるハメになっていた。
そのほか、亜神は上述の理由で肉体的にはいくら壊れても元通りに治ってしまうが、精神や魂はその限りではなく好転も悪化も普通に発生し、精神的に老け込みもすれば若返りもし、良いことがあれば喜び、不快感に曝され続ければ荒み、心を病むこともある。
特地の神々には亜神時代に敵対者の奸計に陥れられ、陞神までの時期のほとんどを上述のような幽閉状態のままで過ごす事を強いられた神もおり、そうした目に遭った亜神はその理不尽に対する怨念から、悪疫や不幸をもたらす祟り神のような存在になることも少なくないとのこと。
ロゥリィ自身も、何度かそうした精神崩壊の危機に陥っており、そのうち上述の腐敗したエムロイ教団に封印された過去においては親友のメグルに、現代でのとある一件では伊丹とヤオによって救出されている。
主神エムロイの特性やその来歴・武勇伝、そしてかつてエムロイ教団が腐敗した際に大規模な粛清を行ったことなどから、世間からは文字通りに『死神』と呼ばれて畏怖されているが、
『死を司るという事は生の締めくくりを司る事。生を蔑ろにする者に尊い死は訪れない』
というのがロゥリィの神としてのスタンスであり、
生き足掻く為の闘いや意を決してそれに臨む者は肯定し祝福するが、それを見たいがために無分別に死や破滅や不幸をばら撒いて喜ぶような性格はしていないし、敵を道連れに自決するような行為も死後の魂がエムロイではなくハーディの管理になる(=自分自身で戦士としての自分を辱める行為)ため否定している。
また、特地の神の一柱として、特地の世界の理やバランス、命の尊厳などを著しく侵し、狂わし、乱すような因子(生命・魂の生々流転を狂わす不死者の発生や、地球の技術・価値観の危険なレベルでの流入など)はそれを許さず、それを発生ないし拡散する前に正し、摘み取る役目も担っている。
自分の主神に似た神格の、冥府の神ハーディ(※女性)に求婚されているが、基本、自身のジェンダー的嗜好ではノンケであるロゥリィとしては迷惑に思っている。またその求愛がいささかストーキング級にしつこ過ぎた事もあったのか、ハーディに関しては嫌厭的レベルで嫌っており、ハーディが司るとされている洞窟や地中・地下を忌避する、梨紗の家に飾られていたフィギュアの群れにビビる(ハーディはお気に入りの魂をフィギュア化・陳列して眺めるのが趣味)など、ハーディを想起させる要素も苦手としている。
帝国と日本の終戦後は、レレイやテュカと同様にアルヌスの街の協同組合の最重役のひとりとして(主に街の祭事や信仰、他の神々の神殿絡みなどで)働いており、ロゥリィの主神であるエムロイの神殿から派遣された神官を従え、自分の神殿(ただ、他の神々に比べてかなり小さめ)を街に建設中である。
アニメ版では、原作小説及び漫画版とは異なり服装がロングスカートからミニスカートに変更されている。また酒には相当強いはずなのだが漫画版オマケ4コマでは日本酒の一升瓶を抱えて泥酔沈没していた(日本酒のような強い醸造酒は世界的にも珍しく、強い酒≒蒸留酒の西欧人を軽く潰すことがままある)。
本作では主に原作文庫版挿絵→アニメと、竿尾悟によるコミカライズ版でキャラクターデザイン及び衣装が大きく変わるキャラクターが多いが、ロゥリィは少し事情が異なり、コミカライズ版の方が文庫版に近く、アニメ版がその他と少しだが明らかに異なる。
ロゥリィのゴスロリ衣装はれっきとしたエムロイの神官服であり、公の場でも通用するものである。一方、彼女を“死神”と呼んで恐れる者にとっては恐怖の象徴でもある。なお、教団の奉っているエムロイ神は戦神であるため、れっきとした殺傷用の武器たるハルバードも神官の礼装の一部である(故にただ信仰しているだけの在家信者と違い、神殿に仕えている神官達は見習い時代からハルバードを得物とした戦闘術を厳しく叩き込まれる)。
なお、ただでさえ重い彼女らのハルバードだが、ロゥリィのそれは鍛冶を司る亜神モーター・マブチスの手による特別製で、地球の並みの成人男性一人ではとても持ち上げる事もできず、東京の地下鉄でロゥリィらを誘拐するスキを作ろうとした外国工作員と思しき男がこれをひったくろうとしたが、奪った瞬間そのハルバードの重量に押し潰されて身動きが取れなくなっていた。
各メディアでのデザインは各々のイラストレーター・デザイナーの特性を除けばほとんど差異がない。コミカライズ版でも基本的に文庫版挿絵のデザインを踏襲している。しかし、アニメではゴスロリ服の露出度がやや上がり、ヘッドドレスが明らかにネコミミを意識した形状をしているというあざとい変更が加えられている。(単行本版のデザイン(フリルの量)そのままで動画にするのは作業量的に厳しいのもまた確かである)
ロゥリィとテュカの年齢について。
961という数字からどこぞの芸能プロダクションもとい“黒い”と言う語呂合わせを想像されがちである。
しかしテュカの年齢が165歳であるという設定を考えると、おそらく由来は東北新幹線用の試験車両961形であろうと推測される。
この車両は1979年に東北新幹線の先行敷設区間である小山試験線で319km/hの当時の営業時の最低荷重のかかった状態としては世界最高速記録を打ち立て、1982年にTGVに更新されるまで「世界最速新幹線」の象徴だった。
ちなみにレレイの年齢15歳もこじつけようと思えば出来ないこともない。
またピニャの20歳もありきたりな数字だが、当てはめるなら日本国鉄史上の偉大な存在がいる。
ちなみにヤオの年齢315歳は、作品発表時点では、一応既存の番号として東海道新幹線300系のグリーン車315形が存在していた。後、2020年3月14日ダイヤ改正よりJR東海初の営業130km/h対応一般車として投入されることが決定した。
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