概要
てんとう虫コミックス29巻及び、藤子・F・不二雄大全集11巻に収録。
見た目は普通の虫メガネだが、スイッチがあり、質問を投げてスイッチを押すと、レンズの中から言葉遊びのように連想されたイメージがメッセージとともに発され、そのときの状況に応じて、質問に答えることができる。
ただし、劇中にもあったように、あくまで質問した時点のことなので、その後のことまでは推理できない欠陥だらけの道具でもある。それ以上に、利用者に対しあからさまに喧嘩を売っているような連想が特徴でもある。
アニメ版でのCVは、1993年版が渡辺久美子(安雄と兼任)、2008年版がまるたまりとなっているが、2021年版では使用者が出て来たものを言っているため、CVはなくなっている。
ストーリー
部屋で昼寝をしていたのび太は、スネ夫から電話がかかっているとママに起こされ、出てみると面白い物があるからすぐに来るようにとのことだった。言われた通りのび太はスネ夫の家に向かうが、途中病院前の水たまりを踏み、犬に追いかけられたりしてしまった。息を切らしながらたどり着いたのび太をスネ夫はリビングに案内すると、先に来て待っていたしずかとジャイアンに、のび太が昼寝をしていたことや、ヤブイ医院の前で水たまりを踏んで、犬に追いかけられたことを言い当てた。
これに驚く一同だったが、スネ夫は昼寝はのび太の口周りによだれがついていたから、ヤブイ医院の前を通ったのは、その前が工事中で赤土が出ているから、息を弾ませていたのは、のび太が走るのは学校に遅れそうになった時か怖い物に負いかけられた時だからとのことだった。この推理にしずかは「天才だわ」と感心し、ジャイアンはどうやってそんな推理力を身に付けたか聞いてきて、スネ夫は本で勉強したことを明かし、この才能を世の中に役立てるため探偵事務所まで開き始めた。
最初はたんていごっこなんて強がっていたのび太だったが、ドラえもんに自分もやってみたいと言い、「シャーロック・ホームズセット」を出してと頼みだした。だがそれはとっくに壊れていたため、代わりにと「連想式推理虫メガネ」を取り出した。さっそくドラえもんはそばに置いてあったどら焼きを、のび太に隠すよう言って部屋を出て行き、隠し終わると虫眼鏡を使って隠し場所を探し始めた。
すると、どら焼きは丸い、丸いは月、月は0点、0点はのび太と連想され、どら焼きはのび太の腹の中であることが判明した。当たりはしたものの、食べられたことにドラえもんが怒ってしまったｔめ、のび太は１人でこれを持ち出して探偵事務所を開き始めた。するとその時しずかが慌てて走って来て、スネ夫に頼み行くと聞かされると、のび太も探偵になったと言い、あてにならない感じと言われたものの、試してみてと訳を聞こうとしたが、スネ夫に「客を取るな」と持っていかれてしまった。
そしてスネ夫は経緯を聞き出し、けさの9時ごろ家を出たこと、デパートの帰りにバスに乗ったこと、財布の中には560円ことを聞き出した。そこでのび太も虫眼鏡を使って、持ち主はしずか、しずかは風呂好き、風呂は英語でバス、バス停に財布が落ちていることを突き止めた。だがその時既に2人の姿はなく、のび太がバス停に行った頃には既に財布はなくなっていて、スネ夫の推理通り財布は、拾った男性によって交番に届けられていた。
安雄とはる夫からスネ夫の実績を聞いたのび太は、もう一度虫眼鏡を使って評判になろうとし、ジャイアンに用がないか尋ねたが、出て来たのは母ちゃんだった。そこでジャイアンの居場所を探すことにし、ジャイアンはデブ、デブは豚と連想したところ、それに怒ってジャイアンが出て来たため、見つけ出すことはできたが、怒りを買ってしまったため逃げ出す羽目になってしまった。
帰宅したのび太は仕方なくドラえもんに助けを求めることにし、本人はまだどら焼きの件を怒っていたが、お詫びのどら焼きを2つ渡すとすぐに許してもらえた。訳を聞いたドラえもんがモニターでスネ夫の様子を映し出したところ、スネ夫は男性から自分のコレクションの貴重なコインが煙のように消えてしまったことを依頼されていた。そしてスネ夫も家に案内されると、喧嘩しているような大声がしたこと、窓も締まっていたことなどから、犯人がどこでもドアを持っていることを推理した。
これに腹を立てどこでもドアで怒鳴り込んできたドラえもんとのび太は、男性にそんな推理を信じてはいけないと言い、虫眼鏡を使ったところ、金貨はお金、お金持ちはスネ夫、スネ夫は短足、もっと短足はドラえもん、つまりドラえもんが犯人となってしまった。これにより一時間以内に真犯人を見つけることになってしまった2人は、落とし物つりぼりを使用するが、全くヒットはなく、スネ夫から後10分だろ焦らされ、パニックになってしまう。
そこでタイムマシンで金貨がなくなる前に戻ってみることにし、しばらくそこで見張ることにしたが、一向に犯人は現れず、眠気や寒気に耐えられなくなった2人は、互いに言いがかりをつけあって取っ組み合いの喧嘩になったが、その騒ぎで男性が起きて来たため、慌ててタイムホールへと避難。その後も犯人が現れないので、せめて金貨だけでも持っていくことにしたが、これにより金貨が消えた原因が自分たちであることになってしまい、「こんなややこしいばからしい話を、どう説明したら分かってもらえるかなあ」と頭を悩ませるのだった。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1993年6月11日に、水田版は2008年6月6日及び、2021年4月17日にそれぞれ放送している。
1993年版
- 冒頭にママが電話に出る場面が追加されている。
- のび太を追いかけたのは茶色い犬だった。
- スネ夫の推理の中で、のび太が走る理由に学校に遅れそうになった時は入っていなかった。
- のび太は探偵ごっこをやりたいと頼んだ際、シャーロック・ホームズセットのことは言っていなかった。
- スネ夫がしずかから経緯を聞いた際、バスで帰ったや、いくら財布に入っていたかは聞いていなかった。
- 母ちゃんはのび太と話した際は怒りを収めていた。
- のび太は泣きながらスネ夫の探偵が大評判だと言っていた。
- 金貨は丸い、丸いはドラえもんということでドラえもんは犯人になってしまった。
- 依頼人の男性が犯人よりも金貨を取り返してくれと言ったり、スネ夫が一時間以内だぞをくぎを打つ場面は描かれていない。また、落とし物つりぼりを使用したり、スネ夫が様子をうかがいに来きたり、ドラえもんとのび太が取っ組み合いの喧嘩をしたりする下りは皆カットされている。
2008年版
- サブタイトルが「迷探偵のび太」に変更
- のび太が犬に追いかけられたのは、尻尾を踏んでしまったからだった。
- 虫眼鏡に映った時、しずかは既に浴槽に入っていた。
- ジャイアンはゴリラだと連想され、怒って出て来た。
- 依頼人の男性の家は洋館だった。
- 金貨から連想され虫眼鏡に写しだされたお金は札束だった。
- スネ夫の「一時間以内にだぞ」のセリフは「頑張ってくれたまえ。虫眼鏡探偵くん」に変更されている。このため、2人の様子をうかがいに来た際は単に早くしろよとだけ言っていて、しずかもその場に通りかかっていた。
- ドラえもんの寒いはお腹が減ったに変更。またドラえもんとのび太は机の下に隠れていて、2人は帰しに行く途中で自分達が犯人であることに気付いている。ちなみに落とし物つりぼりでも見つけられなかったのは、時空間を移動していたためと説明もされている。
2021年版
- 冒頭にはシャーロックホームズ風の名探偵になりきったスネ夫が、どんな依頼でも解決して見せると豪語し、受話器を取って、それが野比家の電話へとつながった。またのび太はママに起こされることなく自分で電話に出ていたが、寝起きではあった。
- のび太を追いかけた犬には手綱月の首輪がはめられていた。
- スネ夫はよだれが横に垂れていることから昼寝を推理し、泥が靴下についていたことから、ヤブイ医院の前を通ったことを推理した。またジャイアンから推理力のタネを聞かれた際は、本のことは言わず「才能さ」と答えていた。
- どら焼きの次に連想されたのは、0点だった。またのび太は、パパから帽子とコートを借りて探偵になりきっている。
- しずかの「あんまり頼りにならない感じ」のセリフはカットされ、出掛けたのはおばさんの家に行くためで、虫眼鏡に映し出されたのはバスタブ単体で、端にすこししずかの顔が映っている程度だったため、彼女が横から口をはさむ描写も無くなっている。ちなみにスネ夫もシャーロックホームズ風の服を着ていた。
- 安雄とはる夫はのび太にスネ夫の実績を話している。
- 2008年版と同じく、ジャイアンから連想されたのはゴリラで、本人もドラミングをしながら怒って出て来た。
- 最初ドラえもんはどら焼きを買って来た件を言われても許す気にならなかったが、2つ買って来たと聞かされ許すことにした。またのび太は、スネ夫に依頼人が来たのを見て本物の探偵気取りだと、悔しさからドラえもんを揺さぶっている。
- 今回はスネ夫→チルチル→猫→ドラえもんと連想され、ドラえもんが犯人になってしまった。
- 今回もドラえもんの寒いのセルフはお腹が減ったの変更。
- ラストでは、もう一度スネ夫が釘を刺しに来ていて、ドラえもん達は部屋で頭を悩ませていた。
