「あ…鬼龍(あのひと)は…あんたじゃなく俺を選んだ。"龍を継ぐ者"は俺なんだ」
「この力に一番戸惑っているのは俺なんだよね」
概要
宮沢鬼龍の息子の一人。
父親譲りの武術の才能と東大理科Ⅲ類に主席合格するほどの頭脳、そして潜在的な闘争本能の高さを持つ青年。
同時に、父が患っている心臓病「バースト・ハート」も遺伝してしまっており、いつ心臓が停止してしまうかわからない"爆弾"も持つ。
当初はストレートヘアーのイケメンだったが鬼塚姫次との死合いを前に髪を剃り坊主頭にする。さらに姫次との戦いで顔に傷が残り、血の謝肉祭において左目を失ったことで眼帯をつけるようになり、後に右目もガルシア28号のものを移植。結果、初期の彼とは風貌がまるっきり別人になった。
基本的に敬語を使う丁寧な性格で、事故に巻き込まれた親子をとっさに救おうとするなど正義感もある。が、自分の力を過信し相手にナメた態度を取りがちな父親に似た面もある。
静虎・鬼龍という真逆の思想を持つ両名を師に持ち、本人の不安定なメンタルもあって闇堕ちと反省・後悔を繰り返すなど、作中での立場がイマイチ一定しない。
経歴・活躍
TOUGHシリーズ第一部のラスボスである鬼龍の息子の一人であり、長岡家に養子に出されていたが、血を継いでないことから養父には見下され、義兄には虐げられる日々を送っており、自分が生きる意味を見いだせないでいた。
鬼龍の血を継いでいるためか優れた頭脳を持ち、東大理科Ⅲ類を首席で合格。しかし「学歴や家柄などにこだわるぬるい生き方はしたくない」と入学を取りやめ、義兄を殴り倒し長岡家から出奔する。
実父・鬼龍を倒すべく旅をしていたところ、鬼龍に恨みを持つ人物により彼をおびき出すための人質として誘拐される。宮沢静虎に救出され、彼の元で灘神影流を学びつつ父・鬼龍のことを知ろうとする。
その後鬼龍の子供たちや鬼龍に関わりを持つ人物と出会い、時には闘いを重ねていく中で、悪の道に走った宮沢熹一と邂逅。鬼龍の死を知り、熹一に指一本であしらわれ屈辱を与えられたことから、彼を倒すことを目標とするようになる。
静虎の紹介で宮沢尊鷹に教えを乞い、数々の武術大会に参加。血の謝肉祭(ブラッド・カーニバル)で熹一とガルシア28号の戦いの場に居合わせ、衝動的に乱入した結果、左目を失う。
己の弱さを痛感していた折に鬼龍が生きていたことを知り、彼のもとに降る。残された右目の視力も失いつつある中で戦い方と"悪"の心構えを教わり闇堕ち。かつての師である静虎を死ぬ寸前まで痛めつける。
米軍によって捕獲された手負いのガルシア28号と、暗闇の中という龍星に有利な状況下で対決。精神攻撃を駆使しガルシア28号を追い詰めるも、胸部に痛烈な打撃を受け逆転KO、さらにバースト・ハートの発作により心停止。
鬼龍の心ない言葉により自殺したガルシア28号の心臓と左目を移植されたことによって蘇生、さらに"突然変異の心臓"による超パワーを身につける。
心臓移植後は、彼の中に宿る突然変異の心臓を狙って裏社会の大物が次々と刺客を差し向ける。心臓を巡る死闘の中で、闇堕ち期の所業を深く悔いるようになった龍星は、「灘の人間になりたい」と思うようになる。
また、かつてガルシア28号の相棒だったサイボーグ犬・D-51(デゴイチ)とも絆を育む。
人間関係
実父である鬼龍のことは「病的なほど自己中心的でまわりにいる者に厄災と不幸をもたらす最低なクズ」と評しているが、一方で国家権力にすら媚びない姿勢は少しだけ尊敬している。
鬼龍は龍星のことを認めて修行をつけたり悪の心得を叩き込むなどといった教育を施しているが、一方で自分の遺伝子を後世に残す手段としか見てない節もある。
師であり、鬼龍の弟である静虎については深く尊敬しており、鬼龍のもとにいた時期に彼を痛めつけた件については後に深く後悔している。
静虎も龍星の才能を見込み、息子と変わらない愛情を注いでいるが、一方で鬼龍譲りの闘争本能からくる人格面での不安定さを憂慮しており、奥義を伝授することを渋ったりもしている。
前作主人公・熹一はライバルであると同時に目指すべき目標である。当初熹一は龍星を見下しており、後に共闘するようになった際にも度々嫌味を言っている。龍星も龍星で熹一に対して辛辣な言葉を投げかける場面もあるが、一緒に食卓を囲んだり喫茶店に入ったりしており、なんだかんだで仲は悪くないのかもしれない。
龍星と同じく鬼龍を父に持つ女性・小倉優希とは静虎に弟子入りして以来の関係。仲は良好なのだが、恋愛感情についてはぼかされている。
師の一人である尊鷹については尊敬していることについては間違いないのだが、龍星が師匠の名前を挙げる場面で彼の名だけ挙げられない場面があったほか、静虎や鬼龍に比べて彼の下で修行していた期間が短いこともあり、またその他諸々の描写が薄く、ハッキリしないところもある。
長岡家の養父・義兄との関係は最悪そのもので、危篤状態にあった龍星の実母(養父にとっては後妻)に関心も持たなかったことから彼らと龍星の関係は冷え切っていた。
余談
読者からは「ウンスタ」と呼ばれることが多い。
これはNEO熹一に指一本であしらわれた際に脱糞してしまったことに由来する「ウンコ」と、龍星(ドラゴン・スター)に由来する「スター」を合わせた「ウンコ・スター」を短縮したもの。
酷い時には単に「ウンコ」呼ばわりされることも。
脱糞した場面は1回だけなのだが、その後も事あるごとに熹一が蒸し返してくるため、嫌でも印象に残りやすい。
その他「ドラスタ」(ドラゴン・スターの短縮)、「ガルスタ」(ガルシア28号の心臓を移植された後の愛称)などのあだ名があるが、ウンスタに比べるとこれらの呼称を使用する読者は少なめ。
何より、上記のように(作者の思いつきに振り回されている部分が大きいが)立ち位置や強さがブレることがマネモブからの印象が悪いという部分がデカい(熹一が味方になった後に影が薄くなったのもある)。
闇堕ち後のガルシア28号の心臓移植によるパワーアップは、棚ぼたご都合パワーアップとまで称され、ぐろう系主人公とまで呼ばれたほどである。
一方で熹一と共闘後の仲のいいやり取りに和む読者もそこそこおり、「猿先生と猿展開に振り回された被害者」という擁護もある。
関連タグ
キャプテン・マッスル…龍星に宿る心臓を狙って野蛮人を扇動し差し向けた謎の怪人物
徳川家康…脱糞の件を引きずる龍星に対し、優希と静虎が引き合いに出した実在人物。「家康は恐怖を捨て去るために脱糞した」と解説された。余談だが現在ではこれは創作という説が強い。