概要
動物は捕食や縄張り争い等で激しい闘争を行うことが珍しくない。
そのような死闘の果てに相討ちとなり、どんな奇跡かそのまま化石化してしまうことがある。
これが闘争化石であり、世界的に非常に珍しい化石状態とされている。格闘化石とも呼ばれる。
なお、専門的な用語ではなく、あくまで化石の状態を示した呼称に過ぎないので注意。
具体例
本項では化石の状態について記述する。
メイン画像のモデルである闘争化石。
1971年モンゴルのゴビ砂漠はジャドフタ層にてポーランドとモンゴルの共同発掘チームによって発掘された化石。
世界で最も有名な闘争化石と呼ばれる。
ヴェロキラプトルは首をもたげながら横たわり左前脚でプロトケラトプスのフリルを掴み、左後ろ脚のシックルクローをプロトケラトプスの首に叩き込んでいる。
プロトケラトプスは中ば立ち上がりながらうずくまり、首にシックルクローが食い込みながらもヴェロキラプトルの右前脚に食らいついている。
なお、プロトケラトプスは脚や頭骨に外的要因による破損が見受けられている。このことから、第三者が死亡した本種を引きづろうとした可能性が示唆されている。
あまりにも奇跡的な状態の化石のためか「闘争などしておらずたまたまこのような姿となっただけ」ともされていたが、お互いの武器を最大限に使いながら果てたであろうこの化石は現在では「偶然では説明つかない」と結論付けられており、少なくとも両者が何らかの理由で争い、相討ちになったものと見られている。
- モンタナ・デュエリング・ダイナソーズ
モンタナ州のヘルクリーク層で牧場主によって発見された若いティラノサウルス(ナノティラヌスとも)とトリケラトプスの闘争化石。
2頭が並んだ状態で化石化しており、肉食恐竜の方はデスポーズを取りながらトリケラトプスに背を向けた状態、トリケラトプスは体軸を真っ直ぐにした状態で横たわっている。
お互い組み合うことはなく、ただ横たわっているだけであるため、闘争化石を否定する説も根強い。
しかしティラノサウルスは歯がいくつか脱落し、トリケラトプスの化石には若いティラノサウルスの歯が刺さっているなど単なる偶然にしては不自然な点も多く見られている。
また、2頭の保存状態は凄まじく、ティラノサウルスは普通は残りづらい腹肋骨まで綺麗に残っていたほか、トリケラトプスは尻尾の先までほぼ完全に保存されていた。