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概要編集

2021年2月11日発売の天外魔境の新作小説。


正式名称は小説『天外魔境I・II架話 髑髏譚 -SKULL TALE-』

天外魔境』(1989年)と『天外魔境Ⅱ』(1992年)の間を描くストーリーが、当時の原作スタッフによって小説化した作品。

発売はAmazonエビテン(ebten)の通信販売のみである。



天外魔境ZIRIA』の幻王丸と『天外魔境Ⅱ』の吹雪御前ヨミを復活させるために奔走する道中を、「髑髏本尊」という「しゃべる骸骨」の視点から描いた物語。

作中では『根の一族』は『ネの一族』と表記されていて、ゲーム版と呼び方が違う描写が多々見られる。


設定や時間軸がゲーム本編と違っているところもあるため(酒呑童子や綾姫が殺された時期が絹が8歳の頃になっていたり、ペペとバーバラが結婚したのは数年前になっている、菊五郎が花火と知り合い等)、あくまで小説というゲームをベースにした別作品と割り切って読むのがいいと思われる。

辻野寅次郎氏のツイッターによると『あだちさん(あだちひろし氏)による小説なので、ゲームとは違った解釈の設定になってます。』とのこと。



登場人物編集

立川真言阿闍梨阿観→髑髏本尊阿観

立川真言の阿闍梨。精悍な雰囲気の屈強な男性。傲岸不遜でふてぶてしく、まさに『生臭坊主』といった性格。雪を「明妃(天竺の地母神)」とすべく身請けして弟子にするが、自身が食われて髑髏本尊とされてしまう。


姉小路雪→雪姫→吹雪御前

本作のヒロイン。姉小路家の姫だったが、落ちぶれて古市の女郎屋に売られていたところを、雪が持つ力を見込んだ阿観によって買われた。元名門の姫君だけあって態度は傲慢だが、梵天にひるまず立ち向かおうとするなど気丈な性格。



大門教編集

幻王丸

大門教の残党。イヒカの民(邪神斎)と夢魔(スキュブス)のハーフ。かつて地霊マサカドとバールを合体させようとしたが失敗し、傷ついた体にバールを抱えて、再起のきっかけを求めて坂東から大和へ逃げのびてきた。雪姫や阿観と出会い、自らの悲願成就のために行動を共にする。


邪神斎

名前のみ登場。大門教の教祖で幻王丸の父。イヒカの民で、本当の名前はトキ。


スキュブス

幻王丸の母。夢魔。幻を見せて相手を惑わすことができる。召喚されて供物を捧げられることで力を発揮する。幻王丸の願いを聞き入れて、梵天を足止めして、幻王丸たちが逃げる時間を与えた。



イヒカの民編集

デーロン

三博士の一人でイヒカの民。片目で義手の男。ヒの一族の文書研究や解読が専門。一族でははぐれ者であり、イヒカの里を出たいと騒いだために、デロレンやベーロンと三人で、人との取引と発電所の管理を任されていた。後に幻王丸から「バルタザール=デーロン」というフルネームを与えられる。


デロレン

三博士の一人でイヒカの民。口に袋をつけた男。薬作りや培養が得意。後に幻王丸から「メルヒオール=デロレン」というフルネームを与えられた。


ベーロン

三博士の一人でイヒカの民。髭面の男。機械造りが得意。後に幻王丸から「カスパール=ベーロン」というフルネームを与えられた。



ネの一族編集

菊五郎

エビ蔵の遊び仲間で凶状持ちの少年。正体はネの一族。肉助と共に暗黒蘭の封印を解くために暗躍してきた。千年前のネの将軍カズラ姫の子孫であり、草木を操ることができ、得意なのは茨のムチ(しかし菊五郎曰く「地味な技」なのであまり好きではない)。


角太郎

菊五郎の遊び仲間。


エビ蔵

御師見習いで阿観の世話係。


地獄釜の肉助

ネの一族。菊五郎の親方。普段は「多田満足(ただのみちたり)」という偽名で侍を装っている。隠し名はオオイカズチ。肉助とその主従はネの一族内で「イカズチ組」という組に分けられているが、末裔たちで組が出来ていることから、作中はっきりと明かされないが、肉助は千年前のネの将軍イカズチ王の子孫と思われる。


筋切(すじきり)

肉助の部下。隠し名はツチイカズチ。


腸洗い(わたあらい)

肉助の部下。隠し名はクロイカズチ。


血抜き(ちぬき)

肉助の部下。隠し名はホノイカズチ。


皮洗い

肉助の部下。隠し名はナルイカズチ。


金時

腸洗いの飼い犬。シロの親。後に銀時と共に「犬追物(犬を馬で追いかけ回して弓で射る侍の競技)」の的にされて食われたことが血抜から語られている。


銀時

腸洗いの飼い犬。金時と同じく「犬追物(犬を馬で追いかけ回して弓で射る侍の競技)」の的にされて食われた。


ガーニン

ネの一族。蟹人。海賊であり、表向きは廻船商人をしている。人見知りの強い性格。


骨阿弥

ネの一族。菊五郎曰く「インチキ坊主」。ネの将軍マシャリ(死霊使い)の子孫。


剛天(鬼一)

ネの一族。ネの鬼衆「剛天兄弟」を率いる。


剛天兄弟

剛天(鬼一)の兄弟。十八人いたが、二、三、五、六、七、十は蛇光院攻めのときに死んだり、法水院に攻め込もうと試みたときに絹の力に殺され、十七は法水院破壊のときにヒルコ球に当たって亡くなった。人数が多いためか、菊五郎たちからは数字で呼ばれたり、「九郎」「十一郎」と呼ばれたりしている。


幸四郎

ネの一族。隠し名はワカイカズチ。


勘三郎

ネの一族。新入りの少年。幸四郎の従者見習い。


歌六

ネの一族。新入りの少年。肉助の従者見習い。


花梨

「醜女(しこめ)」と呼ばれるネの女衆の一人。匂いをかいで相手の居所を知ることができる能力を持つ「匂女(かぐめ)」であり、男衆と女衆の連絡役を務める。勝気な性格で、自分も戦いたいと常々思っているが、女であるという理由から戦いには参加させてもらえないことに不満を抱いている。女でありながら、梵天に立ち向かった雪姫を見て感動していた。


桐花

ネの女衆の一人。「育女(いくめ)」という年かさの子の教育係を務めていて、男の子の武技を鍛える役をしている。大柄な女性で厳しい性格。「地獄の女教師」のあだ名を持ち、菊五郎からは怖がられている。


牡丹

ネの女衆の一人。ふくよかな体格の女性。表向きは麹屋の女将をしている。


大姥

ネの女衆を率いる老女。


カゲロウ仙

陰陽師。正体はネの一族で蟻使い。蟻を使って鉱山を作って儲けていた。さらなる金儲けのためにネの一族から抜けようとしていて、そのことで肉助と争っていた。梵天によって殺害される。


常世蟻→マダム・バーバラ

カゲロウ仙が飼っている女王蟻。


闇垂

ネの一族。京にいる古い盗賊団の頭領。


ウムキ

名前のみ登場。蛤姫(はまぐり姫)と呼ばれた千年前のネの将軍。幻を使う姫で、越方面の担当。越の白山にあった夢の城の城主だった。


海牛法師

ネの一族。ウムキ(蛤姫)の眷属。肉助たちからは『ナマグサ』と呼ばれている。現在はある理由から他の法師たちと共に岩藤に従っている。


生子法師

ネの一族。蛤姫の眷属。


巻貝法師

ネの一族。蛤姫の眷属。


磯花法師

ネの一族。蛤姫の眷属。


毒針法師

ネの一族。蛤姫の眷属。


カズラ姫

名前のみ登場。千年前のネの将軍で菊五郎の先祖にあたる女性。樹の精だが、火の性のため水は苦手で、その性質は子孫の菊五郎にも受け継がれている。紀伊の熊野にあった木々の城の城主だった。


マシャリ

名前のみ登場。千年前のネの将軍で死霊使い。骨阿弥の先祖。尾張の熱田にあった骨の城の城主だった。


イカズチ王

名前のみ登場。千年前のネの将軍。穴戸の秋吉にあった闇の城の城主だった。


マジク

名前のみ登場。千年前のネの将軍。ヨミの師匠で虫使い。大姥の話では「少し狂ったお方」とのこと。因幡の気多にあった砂の城の城主だった。


オミツノ王(剛天)

名前のみ登場。千年前のネの将軍。鬼の将軍。播磨の伊和にあった塞の城の城主だった。「イスルギ」という技でヒの一族の聖地(越の琵琶湖にあった大霊院)を湖に沈めた。「剛天」とも呼ばれているが、剛天兄弟の剛天(鬼一)とは別人。


デデベ

名前のみ登場。千年前にいたイヒカ出身の天才科学者でネの一族の将軍。渦の城の城主。ネの王国のために人体改造や魔物の合成や機械造りなどやり過ぎたことをしたが、今でも密かに尊敬されている。


ヨミ

名前のみ登場。ネの一族の王。出雲の民で魔法使い。師匠マジクの影響で虫使いの気もある。暗黒蘭を咲かせる魔法を編み出して、自分が仕えていた王国を転覆させた後に出雲の王国を作り王となった。千年前の戦いの最終段階では、悪霊となって暴れたが、マリによって鎮められて封印された。



人間編集

安倍平明→蟻世→デューク・ペペ

陰陽師。蟻のようにちょこまかしているので「蟻世」というあだ名がつけられている。安倍晴明の血を引いていることを自慢しているため、陰では「ペーペー」とも呼ばれている。後に常世蟻の婿としてネの一族に加わる。


忌之介

本名は愛洲小四郎。北畠家の被官。山田奉行の任務につき、伊勢に入ってくる怪しい者を調べて「アマテラスに仇なすものは斬る」と公言しているため、皆からは忌み嫌われている。


雲海

立川真言の僧。


岩藤

幕府で権勢を振るう局。加賀の金釼宮の祀官家の娘で、神宝「蛤石」を持ち出して、海牛法師たちを操っている。


お初

富樫家の上臈・尾上に仕えていた女性。尾上の仇である岩藤を探している。


布袋丸

大門教を追ってジパングに来た宣教師。幻王丸曰く「ちょっと因縁がある相手」だが、「ザコだから誰も信用しない」と軽く見られている。


高間良覚

奈良の医師。幕府奥医師も務めている人物。



花守編集

対ネの一族掃討の組織。上層は僧侶で構成され、実動員は古代のヒの勇者の末裔と言われる。


梵天堂司

花守の一人で護国僧。ちなみに「堂司」とは花守の平衆の頭領のことである。雪姫や菊五郎の攻撃技を一蹴する実力者。終盤、菊五郎の後をつけて再び雪姫を見つけて対峙するが、阿観の自爆攻撃で死亡。


卍之介

花守の一人。酒呑童子とは知り合い。雪姫から想いを寄せられていたが、卍之介が別の女性(小春)と結婚したことで、雪姫から恨まれている。綾姫に化けた雪姫によって殺害される。


花火太夫

百地の三太夫の一人。お初の敵討ちを手伝っている。火薬使い。菊五郎とは知り合いだが、菊五郎の正体がネの一族とは気づいていない。



その他編集

団十郎

会話の中でのみ登場。花火がくっついていた男。借金まみれで大道芸や便利屋ことみたいなことをしている。菊五郎とは知り合いで、菊五郎曰く「お調子者のアホやが、気前はいい奴」。


酒呑童子

鬼族の長。唯一現存している聖剣の鍛冶場(法水院)を守っている鬼。花守とも通じていて、卍之介とは知り合い。家族思いの優しい人物。綾姫に化けた雪姫によって殺害される。


綾姫

酒呑童子の妻で池田公の娘。ゲームでは酒呑童子と駆け落ち結婚したが、本作では池田公と鬼族は商売仲間であり、その縁で酒呑童子と結婚したと思われる。幻王丸の策で誘拐されたあげく、雪姫に命を吸いとられて殺され、顔の皮を肉助に剥がされるなど悲惨な目にあう。


酒呑童子と綾姫の一人娘。鬼と人間のハーフ。年齢は8歳。生まれながらにして持つ力が無意識に発動して法水院を守っていた。


シロ

大江山に迷い込んだところを綾姫に拾われて、絹が飼うことになった白い子犬。実は幻王丸が法水院の鍛冶場を破壊するための謀略で絹の元に送り込んだ。


マリ

千年前に火多から現れた巫女。悪霊となって暴れたヨミを静めて、現在も封じている謎の存在。


霊鑑(姉小路宰相入道霊鑑)

火多国司。雪姫の祖父。現在は故人で霊魂のみが存在している。「中有(ちゅうゆう)」と呼ばれる魂の世界で、怨霊となって迷っていて、生前の恨みを晴らすために卍丸の心の空洞に入り込もうと狙っている。


卍丸

阿観が「中有」で出会った少年。心に大きな空洞があり、そこに入り込もうとする霊鑑に幼少の頃から狙われていた。


松虫

千年前に活躍したヒの勇者。現在は聖剣に宿っている。卍丸の体に入り込もうとした阿観たちから卍丸を守り、卍丸と共に阿観たちを消滅させた。



余談編集

2021年4月2日に『髑髏譚』発売を記念した『あだちひろし・辻野芳輝 奇想天外話』が配信開始。天外魔境関連の丸秘話や設定や裏話等が聞くことができる。今後、各回に分けて定期的に配信予定とのこと。



関連リンク編集



関連タグ編集

天外魔境 天外魔境ZIRIA 天外魔境Ⅱ あだちひろし 辻野寅次郎

幻王丸(天外魔境) 吹雪御前 三博士(天外魔境)

ヨミ(天外魔境) 根の一族

菊五郎 地獄釜の肉助 右のガーニン 名無しの十八番

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