魔将軍ガイア
ぜねらるがいあ
『蜃気楼城の戦い』のラスボスにしてガノンの弟。ゼルダ姫に惚れている。
物語開始前、世界一の魔道士を名乗って国王グレアムII世と謁見。「ゼルダ姫を花嫁に」と頼み込む。
しかしゼルダ姫の祖父(先代国王)の遺言では「ハイラル1の剣士でなければ結婚は認めない」とあったため拒否される。
「断るならリンクとゼルダ姫に呪いを掛ける」と脅したが、それでもダメだったため宣言通り二人に呪いを掛けてしまった。
その呪いとは、リンクは昼にしか動けず、ゼルダは夜にしか動けなくなるというものだった。普段はクリスタルムーンという水晶に閉じ込められてしまうため、片方が動ける間はもう片方が動けなくなってしまうのだ。
更に力と知恵のトライフォースまで奪い取り、それぞれ2つに分割して隠してしまった(自分では聖なる力を持つ秘宝を所持できないため)。
ハイラルからトライフォースが失われた影響で土地が枯れ始め、しかも王のいた宮殿を破壊するという置き土産まで残していった。
終盤ではまんまとゼルダ姫を捕らえ、催眠術を掛けて側に置いてしまう。このまま妃にするつもりだったが、根城である蜃気楼城(ミラージュキャッスル)までリンクに乗り込まれ対決となる。
ラスボスであるがなんと台詞は3つしかない。上記の台詞に加えて「ムダだ!」というのがある。
見た目通り優雅かつ典雅に振る舞っているが本性は激情的。リンクとゼルダ姫が恋人同士だと知りながら横恋慕するなどかなり大人げない。
ゼルダ姫を捕らえた後は催眠術で自我を封じて言いなりにするが、そこは紳士らしく側に置くだけに留めていた。しかし「“いずれ”自分の妃になる身」という発言から、“今は”手を出していないだけなのかもしれない。
騒動の動機が横恋慕と嫉妬なので小者臭いが、後述のようにリンクとゼルダ姫が力を合わせないと勝てないことを考えるとかなりの強敵である。
ガノンの弟と聞くとどんな化け物かと想像するかもしれないが、意外にも外見は黒髪オールバックで黒い口髭を蓄えた細身の紳士だったりする。服装もすべて黒一色で統一され、耳が尖っていることを除けば人間と変わらない見た目をしている。むしろイケオジである。
後に登場したガノンドロフとは、方向性の違うナイスミドルと言える。
が、その正体は巨大な鴉(カラス)。
魔術師を名乗るだけあって超能力でリンクを壁に叩きつけたり、マジカルロッドの呪文をコウモリに変えるなどして寄せ付けない実力を披露。更には指先から迸る炎の帯でリンクを翻弄する。
大技として、大広間を火炎地獄にする魔法がある。バッドエンドルートではこの魔法でリンクを灰にしてしまった。
ガノンを倒したリンクでもゼルダ姫の協力がなければ敗北する辺りかなりの実力者と思われる。一方で聖なる力には弱いようで、ガノンが所持出来たトライフォースを所持出来ない。
根城である蜃気楼城(ミラージュキャッスル)までリンクに乗り込まれ対決となる。
選択肢では「ガイアと戦う」か「ゼルダ姫を救出する」かの二つが発生。前者を選ぶとバトルポイントで勝敗の判定が行われる。
勝利しても「バトルポイントでは勝ちだが、魔将軍ともなればそう簡単に倒せはしないのです。喜ぶのはまだ早い。努力しなさい!」と地の文で注意される。
敗北ルートでは、ガイアは両手を天にかざし、大広間全体を火炎地獄に変えてリンクを焼き尽くし灰にする(ゼルダ姫は無傷)。
バトルポイントで勝ってもまたもや選択肢が発生し、ガイアと戦うかゼルダ姫を救出するかを選ぶことになる。ここでゼルダ姫を助けるを選ばないと上記の敗北ルートに直行する(実は最初の選択肢でゼルダ姫を助けるを選んでいれば、これらの展開をカット出来る)。
正しい選択肢を選べばリンクの笛の音によってゼルダ姫が正気を取り戻す。激怒したガイアは大鴉としての正体を現すが、ここでまたしても分岐が発生する。
ゼルダ編でバイブルを手に入れていない場合、リンクたちはガイアには勝てず爪によってズタズタに斬り裂かれゲームオーバーとなる。
バイブルがあればリンクのマジカルロッドが合わさったことで炎の矢が放たれ、ガイアの全身を燃やす。
ここで最後の選択肢が発生。「マジカルソードで倒す」か「銀の矢で倒す」か。
「マジカルソードで倒す」を選択した場合、胸を貫かれて倒されたはずのガイアが復活して不意打ちを仕掛けるイベントが発生する。
ライフが3以上無いとリンク、ファニー、ゼルダの3人ともムシャムシャと食べられてゲームオーバーとなる(既に理性を失っているため花嫁にするはずだったゼルダまで食べてしまった)。
条件を満たせばリンクが銀の矢をガイアの胸に突き刺して逆転勝利となる。
実は最初から「銀の矢で倒す」を選べばライフ云々の条件が出ないため、そもそもゲームオーバーにならない。最後は剣で倒したいというプレイヤーの心理を逆手に取った罠である。
鴉がモデルの為かアメリカ合衆国の作家エドガー・アラン・ポーのヒット作『大鴉』の一説を引用している(前述の爪でズタズタに切り裂かれるルートより)。
数ある悪役の中でゼルダ姫に恋愛感情を抱いていたという初の例である。
原作シリーズでは意外にもこういった悪役は殆ど登場していない。
この作品のガノンは闇の世界からハイラル地方に侵略して来たという設定。ゼルダ姫を拉致するも旅人の剣士リンクに敗れている。兄のことはどうとも思っていないのかまったく触れて来ず、リンクたちに手を出した動機もただの横恋慕のため、ガノンの弟というのは死に設定気味である。
さすがに“ガノンの弟”という設定は本家には反映されていないが、『神々のトライフォース』に登場するガノンドロフは「魔〇〇という肩書きを持つ」「闇の世界からハイラルへの侵略を目論む」「ゼルダ姫をクリスタルに幽閉する」などの設定があり、本作のオマージュが窺える。