概要
ゲーム本編におけるハイラル王の詳細はこちらを参照。
主に漫画版について掲載。多くが古い作品のため現在では入手困難である。
物語の要点やネタバレまで含めて記載しているため、これから読みたいという方は閲覧注意。
いずれも作者なりの独自解釈によって描かれるため性格が異なる。
コミカライズ
乱丸著「リンクの冒険」
原作と同じだが王子ではなく若きハイラル王として語られている。
王位を継いだがトライフォースだけ継がなかったため躍起になって探していた。
そこで魔法使いから妹(初代ゼルダ姫)が在り処を知っているかもしれないとして拷問するように言われたが断っている。
しかし魔法使いは独断でゼルダ姫を尋問し、上手く行かなかったため魂を抜き取ってしまう。その現場を目撃した王は、魔法使いが妹を殺したと思い込み逆上して斬りかかり手傷を与え、撤退させた。
その後は天寿を全うし、墓地に王の墓が立てられている。
最終巻では、実はトライフォースを我が物にするという野心は、魔法使いに吹き込まれたものであることが判明する。
2巻の中盤では、リンクが剣の師であるガンプに裏切られ、やむを得ずに斬り殺してしまう。
王は、罪悪感から使命を投げ出したリンクに悪夢を見せて「自分自身に負けるな」ということを伝えた(内容はトライフォースを我が物にした邪悪なリンクがハイラルや仲間たちを蹂躙するというもの。王もこうなっていた可能性が十分にある。それ故にこのような悪夢を見せた可能性が高い)。
最終巻では目覚めた初代ゼルダ姫(妹)がリンクを見て「お兄様」と勘違いするなど、リンクと妙に似ている部分がある模様。
未将崎雄著「ゼルダの伝説(初代)」
「わしと我が騎士団は無敵だ!!」
17代目ゼルダ姫の父親として登場。原作には登場しないため実質的にオリジナルキャラクターである。
逆立った黒髪に髭を蓄えており、熊のような屈強な体格をしている。王というよりは騎士団長と言った方が相応しい風貌。ゼルダ姫の年齢も10歳前後くらいと思われるので、歴代のハイラル王たちの中でも若い方である。
なお、彼は婿養子のため王族の血は引いていない。
本作では率直に言ってかなり無能な王として描かれている。
ハイラルを狙う魔族たちをまったく警戒しない、ゼルダから母を殺したのはガノンだと訴えられても信じない、娘想いだが姫らしくすることを強要して無理やりドレスを着せる、自己過信からガノン陣営の実力を見誤るなどしている。
娘からはあまり好かれている様子がなく、魔族は危険だというインパの進言も「わしと我が騎士団は無敵だ!」と聞かないなど一貫して他者の話を聞かない独りよがりな王として描かれた。
ゼルダ姫がガノンに拉致されたと聞き騎士団を率いて救出に乗り出す。しかしガノン陣営の力によって騎士団と共に徐々に精気を吸い取られ、加えて度重なる魔族の襲撃によって騎士団は半壊。
王は別人のように痩せ細り廃人となってしまい、数名の騎士に連れられて帰還。療養のため寝室で寝かされるシーンが最後の登場となった。
次回作『リンクの冒険』でも治り切ってないためか名前すら登場しない。
先代のハイラル王(ゼルダ姫から見て祖父に当たる)の存在も語られており、こちらはエルフ / ハーフエルフに対する強い差別意識を持っている。
このため周囲はハーフエルフであるリンクの正体を隠すこととなった(くわしくはリンクの未将崎雄の項目を参照)。
オープニングストーリー(本多将)
「何をするアグニム!!」
「それがきさまの目的だったのか!!」
ファミコン&スーパーファミコンゲームマガジン スーパーファミコン20号付録『ザ レジェンド オブ ゼルダ パーフェクト ファン ブック』に掲載された読み切り漫画。
冒頭で兵士を率いたアグニムに謀反を起こされ、玉座にて殺されるシーンが描かれた。黒髪に黒髭と、原作よりも若い中年になっている。
かぢばあたる著「神々のトライフォース」
サブキャラクターとして登場。ゼルダ姫と同じく賢者の血を引いている。
穏やかな顔つきの細身のおじさんといった容姿で、ゼルダ姫とは似ていない。王という地位のためか賢者たちから敬語で接されている。
ただ賢者たちと比べると平和ボケした部分があり、どうにも頼りない感じである(後述)。
原作とは異なりアグニムに殺されておらず、信用していることからいい様に利用されている(アグニムも本性を隠しており、王にも利用価値があるため生かされていた)。
リンクがゼルダ姫を誘拐したというのを真に受け兵士たちに捜索を命じる。だが連日捜索に駆り出したことで兵士たちの間で「いくら娘だからって……」「俺たちをなんだと思ってるんだ」と不平不満が湧き起こってしまう。
それを術で読み取ったアグニムから「王も所詮は人の親か」と嘲笑された。
その後、アグニムはゼルダ姫を手中に収める。娘を取り返してくれたと感謝する王だったが、アグニムには「用済み」と判断され命を奪われそうになる。そこへ駆け付けたリンクによって助けられ、誰が本当の悪なのかついに気づく。
以後は生き残った神父や七賢者たち(拉致された娘たちの親や祖父)を集めて作戦会議を開き、後方支援を担う。その際に賢者たちから黒幕がかつて封印された魔王ガノンであること、祖先が闇の世界を封印したことで今の事態が起きたのならば、子孫として責任を取るべく進行軍を結成してガノンを討つべきと進言され、事態の重さを痛感する。
最終巻では賢者たちに転移術を行使させ、ゼルダたちを闇の世界から連れ戻すことに成功する。しかしリンクだけはガノンとの決着を付けるべく闇の世界に残ってしまう。マスターソードの使い手でも魔王に勝てるのかと不安だったが、リンクの幼馴染ラスカから「肩書ならリンクだって負けていない」と告げられ、納得した様子で表情を明るくさせた。
リルトの誓い(スピンオフ)
国王を蹴落として王位を奪おうとする悪役の話の中で登場したが出番自体はなかった。
(掲載の休刊が決まり、駆け足な終わり方をしている)。
姫川明著「神々のトライフォース」
国王が死亡するまでの過程が描かれている。
アグニムを信頼して城に迎え入れたところ、本性を現して権力を振りかざし始めたので退去を命じる。だがゼルダ姫の目の前で消滅させられてしまった。
原作とは違い復活はしていない。
小説・ノベライズ
黒き影の伯爵
「魔王が国に攻めてくる。トライフォースを守らねばならん。ゼルダはいずこじゃ?」
序盤のみ登場。砂漠にあるアッサムの街を統治する「国王ウイルヘルム三世」という設定。
未将崎版を意識したのか屈強な体格をした黒髪黒髭の中年でゼルダ姫(12歳)の父親となっている。
ルカ村からの使いにより、〈夜のものども〉と呼ばれる魔物を率いる魔王ガノンがアッサム城まで迫っていることを知る。
「<夜のものども>の軍勢が襲ってくる。一刻の猶予もないぞ!」
「――伝令を放って、街の民を非難させよ! 城門を開いて、なるべく多くの人間を城内へ避難させるのだ。城へ来られぬ者は、手近な家の地下室に隠れろと伝えよ。決して往来に出てはならん!」
ゼルダ姫や民を守ろうと指示を飛ばすが、アッサム城に攻め込んで来たガノンによって殺されてしまった。
その後、国王に化けたガノンはゼルダ姫に近づき、二つのトライフォースを騙し取ろうとしたがインパに見抜かれてしまった。知恵のトライフォースだけは死守出来たが、ゼルダ姫はガノンに連れ去られ、兵士や民もごくわずかな生き残りを除き、魔物たちに喰い殺されてしまった。
ゼルダの伝説②_神々のトライフォース
老齢の王という設定で登場。人々の信奉を集めるアグニムに王位を乗っ取られるのではないかと恐れを抱き、手なずけるつもりで高位司祭の地位を与えた。しかし半年の間に兵士や騎士をアグニムの配下にされて行き、内部から崩壊させられる形で牢獄送りとなった(ちなみに兵士たちがアグニムに寝返った理由は「地位を約束された」ため。自分がアグニムにやった手段で王位を奪われるのは皮肉としか言いようがない)。
幸いにも放っておけば老衰で死ぬだろうということで処刑はされなかった。
ゲームブック
蜃気楼城の戦い
「そう。わしはゼルダの父、国王グレアムⅡ世」
ゼルダ姫の父である「国王グレアムII世」なるオリジナルキャラクターが登場。長く白い髭を伸ばした小柄な老人で、性格はかなり陽気でお茶目。電球頭で頭髪はない好々爺然とした容姿。父親というよりは祖父といった方がいい見た目。
オリンポスの神々が着るような片側の肩を露出させた衣装を着ている。ゼウス辺りがモチーフだろうか?
本編開始前に魔将軍(ゼネラル)ガイアがグレアムII世のもとに謁見にやって来ていた。
ガイアは世界一の魔導士を名乗ってゼルダ姫を妻にと口にしたが、先代ハイラル王(ゼルダの祖父)は「ゼルダ姫はハイラル一番の剣士に娶らせる」と遺言を残していた。そのためグレアムは拒否したのだが、これに怒ったガイアはリンクとゼルダに呪いを掛けてしまい、それを解くために冒険が始まることとなった。
これを逆手に取ったグレアムは、強い男に娘を娶ってもらいたいという希望もありリンクの成長を促そうとしていた。また先代との約束も果たそうとしていた(もちろん二人が両思いなのも察していた)。
エピローグでは数々の変装によって正体を隠し、リンクとゼルダを導いていたことが判明する。ボッタクリ商人に化けたこともあり、選択肢次第ではゼルダ姫からゲンコツをお見舞いされる。
「花婿も決まり、トライフォースも取り返し、国には平和が戻ってきた。これ以上のハッピーエンドはないよのゥ。満足満足」
という台詞をヌケヌケと言い放ったため、リンク、ゼルダ、ファニーには呆れられていた。
新・ゼルダの伝説
『リンクの冒険』が発売されてから約二か月後に刊行された漫画作品。
『ゼルダの伝説』より大昔の時代のハイラル王として登場。一人娘にはゼルダI世がいる。
この頃はまだトライフォースが見つかっておらず、いくつかの小国がまとまって大ハイラル王国を築いていた時代となる。
ゼルダ姫の本名からして彼こそがリンクの冒険の説明書に紹介されている“トライフォースを使って繁栄をもたらした偉大な王”と思われる。
大魔王ガノスの魔物たちから侵略を受けたことで国中が荒れ果ててしまう。やがてガノスはゼルダ姫を花嫁にと持ち掛けて来たが、拒否したため怒りを買い、娘をクリスタルに閉じ込められてしまう。嘆き悲しんでいたところ、武者修行中の若者リンクが名乗りを上げる。
リンクにお金を渡して支援したが金貨3ルピーという酷い有様だった。しかしリンクは特に不満はなく、それよりガノスの所為で国中が廃れ、店すらない状態をボヤいていた。
ハイラル英雄伝説
「リンク、今度のそなたの旅はつらいものになるだろう。それでも引き受けてくれるかね?」
冒頭にのみ登場。後姿の実が描写されており、長い白髪から年老いた老人のようである。
旅立つリンクにマジカルソードとマジカルシールドを授けて見送った。
魔界からの逆襲
「必ず生きて帰ってこい。わしに言えるのはそれだけじゃ……」
『リンクの冒険』のストーリーをモチーフにした小説作品。
数百年前のハイラル王という設定で登場。初代ゼルダ姫の兄だが既に老齢になっているようで、老人風の話し方をする。
未来からやって来たリンクが謁見に現れ「ガノンの怨念によって自分と現代のゼルダ姫(5代目)はこの時代へ転移させられた」「ゼルダ姫はガノンに捕まり、死の谷の大神殿に幽閉されている」という話を聞かされる。当初はその話を信じようとしなかったが、リンクの左手にある王国の紋章を見て信用し、マジカルソードとマジカルシールドを与え支援した。
初代ゼルダ姫にまつわる話は言いにくかったらしく、エンディングでは「妹は事情があって出て来れない」と非礼をリンクに詫びた。直後、リンクから「初代ゼルダ姫はいずれ目を覚ます」ことを告げられ、きょとんとしていた。
暗黒トライフォース伝承
「世のものはみなおそれおののいておる。このわしとてじつを言えばそうなのだ。魔物がよみがえったと? おまえ(リンク)が滅ぼしたはずではなかったか? やつはなにが狙いじゃ? なぜゼルダをあのような魔の眠りに閉じこめる…」
選択肢によって結末が変わる小説作品。
冒頭と終盤に登場。賢者ハルデナーハ、予言者ジハド、勇剣士ダヌークの3人を側近としている。
ある日、ゼルダ姫が原因不明の昏睡状態に陥り、王は嘆き悲しむ。そこでかつてリンクに倒されたガノンが復活したのではと考える。
その後、予言者ジハドの強い進言を受けてリンクを呼び出しガノン討伐を頼み込む。
ガノンは闇の司祭によってゾンビとして復活していたが、リンクの奮闘によって再討伐される。だがこれこそ黒幕である司祭が仕掛けた罠であった。
ガノンは死に際にリンクの動きを封じ、そこへ現れた司祭――予言者ジハドが邪のトライフォースに吸い込んで封印してしまう。そしてリンクの命と負の感情からブラック・リンクを生み出し、ハイラル侵略の駒とした。
結果、ハイラルはジハドの手に落ち、城も乗っ取られてしまった。王と賢者は幽閉されて人質にされ、ダヌークは従わざるを得ない状況にされた。
ガノンは初めからリンクを誘き出すための餌に過ぎず、ゼルダ姫を眠らせたのもジハドの仕業であった。
ハイラル王を救出するルートではジハドの正体が判明する。
かつて王家と対立する一族がいた。彼の一族は闇の力を崇めていたが、人々には受け入れられなかったため継承者争いに敗れ、滅亡という形で歴史から姿を消した。
しかし密かに血脈を残しており、一族に伝わる邪のトライフォースと邪力の杖(邪のトライフォースを起動させるアイテム)を継承していた。
そしてその末裔は予言者を名乗って王に近づき、策謀の末にハイラルを支配したのだった。
ハイラル王は、ジハドが邪のトライフォースを持っていたことからこれらの歴史を思い出し正体を見抜いたのだった。
ジハドの態度からして一族の復讐というよりは、強大な力を悪用して支配者になりたかっただけのようである。そのためか王も賢者も幽閉されるだけで済んでいた。
リンクにこれらの真実を話す際、王は「わしはジハドの正体を見抜けなかった…」と後悔を口にしていた。
リンクの大冒険
「ゆうしゃの くせに、リンクは はずかしがりやの ようじゃの」
小学一年生で連載されていた絵本。穏やかな顔立ちの老人として描写された。
エンディングでハイラルの子供たちと一緒に登場し、ガノンを倒したリンクを出迎えた。ゼルダ姫がリンクの頬にキスをしており、その時の台詞が上記の物。
ちなみにこの作品のリンクはショタで、ゼルダ姫は原作通りの外見なのでおねショタである。
関連タグ
ゼルダの伝説 ゼルダの伝説のキャラクター一覧 ゼルダの伝説シリーズ(書籍作品版) ハイラル王