「わしはガノン! 魔族最強の王だっ」
概要
未将崎雄によるコミカライズ版『ゼルダの伝説』『リンクの冒険』における魔王ガノン。
当時はまだガノンの設定が明確化されておらず、独自設定の塊となっている。それ故に逆輸入された要素も多い。
かなりアグレッシブに動いており、ラスボスでありながら準主人公と言っても過言ではないくらい視点主となっている。ぶっちゃけコミカライズ版のガノンの中でも出番の多さはダントツを誇る。
最終目的は力と知恵のトライフォースを揃えることで魔界の封印を完全に解き、軍団を送り込んでハイラルそのものを新たな魔界にすること。そのためトライフォースに対する執着心が強い。
原作ではトライフォースを手に入れるために小国に攻め込んで来たが、今作ではハイラル全土を手に入れるためにトライフォースを求めるという逆の設定になっている。
魔族たちはハイラルの征服を目論んでいたが、力と知恵のトライフォースによって魔界の扉を閉ざされ身動きが取れなくなっていた。しかし封印が弱まったことで一部の魔族たちがハイラルに現れ始める(トライフォースを継承した16代ゼルダ――「ゼルダ姫の母親」の心の弱さが影響したとのこと)。
性格
かなりの短気だが八つ当たりで部下を殺すようなことはせず、手柄を立てれば「よくやった」とねぎらったり、リンクへの刺客にした部下が討ち死にしたと知ると激怒して全魔軍を動員してまで仇討ちをしようとしていた(恨み骨髄であるゼルダの一族の末裔に部下を殺されて怒ったとも取れる)。
ゼルダ一族のことはかなり警戒しており、リンクがその末裔だと知ると直ちに部下たちに抹殺を指示した。(この作品のリンクはゼルダ姫と異父兄妹という設定)。
逆に人間に対しては冷酷そのもの。命乞いされても笑って殺そうとするほど。
人肉を好むらしく、人間を襲う時はよく腹を空かせている。
能力
- 魔気(まき)
全身から邪悪な霧を放つ能力。ガノンの代表的な技。
霧を浴びた生物は精気を抜き取られる。人間の場合は別人のように痩せ細り廃人同然と化し、植物の場合は干からびてしまう。
雑魚魔族も同じ能力を持つがガノンのは格別に強い。
- 生命力吸収
接触した生命体から生命力を奪い取る。雑魚魔族ですら馬に触れた瞬間にミイラにしてしまった。
- 水晶に幽閉
後述の“魔族の王ガノン”形態の時に使用。
額にある水晶のような球体に対象を閉じ込める能力。蜃気楼城の戦いに登場するクリスタルムーンと似ているが、こちらは破壊しても閉じ込められた者は死亡しない。
- 水晶からのビーム
後述の“魔族の王ガノン”形態の時に使用。両肩に埋め込んだ水晶から太めのビームを放つ。
ゼルダの伝説におけるリンクとのラストバトルではこの攻撃で防戦一方に追い込んだ。
- バリア展開
後述の“魔族の王ガノン”形態の時に使用。力のトライフォースを利用した防御技。
額にある力のトライフォースからバリアを張ることで攻撃を無効化する。しかし知恵のトライフォースとの相乗効果でパワーアップしたマジカルソードの攻撃は防ぐことは出来なかった。
続編ではゼルダ姫も同様の能力に目覚めている。
- エネルギー吸収
力のトライフォースを利用してトライフォースのエネルギーを吸収する。
続編ではゼルダ姫も同様の能力に目覚めている。
- 同化・吸収
リンクの冒険から使い始めた新能力。
接触した物体を溶解させて取り込み自身の一部にしてしまう。溶解させずに取り込むことも可能。
剣で攻撃しても剣そのものを吸収するためダメージを与えられず、攻守においても完璧と言える性能を誇る。破る方法は単純で、吸収出来ないほどの威力の攻撃を放つしかない。
- 魔力供給
リンクの冒険で使用。上記の同化・吸収との合わせ技。
取り込んだ物質に大ガノンの肉体から送られる魔力を注ぎ込むことで邪悪なものに変異させてしまう。劇中ではホワイトソードを暗黒の剣(ダークソード)へとパワーアップさせた。
- ガノン版剣ビーム
リンクの冒険で使用。暗黒の剣から周囲を吹き飛ばすほどの威力の光線を放つ。
リンクとの戦闘では、リンクを吸収するのが目的のためか使用しなかった(リンクの血肉を喰らえなくなるため)。
- 分離・合体
リンクの冒険で使用。大ガノンの肉体から意思を持った心臓(本体)を切り離す能力。
パワーは大幅に下がってしまうが心臓の状態でも圧倒的な強さを誇る。
形態
魔族の王ガノン
ゼルダの伝説における形態。ゲームとは異なる巨体を持つ化け物であり、あまりにも禍々しい姿のため全容が把握できないほど。頭部の造形は水牛に近い。
この形態の時は老人風の口調が強く出ている。
リンクに化けたガノン
リンクの冒険における第一形態。前作で負傷したためパワーダウンしており、他者から生命力を奪って回っている。
シャドウリンクの役回りを担っておりショタのリンクそっくりの見た目をしている。声までショタにして似せるという徹底ぶり。
ただし両手は触手のように伸縮自在であり、顔はカマキリを思わせる造形になっているなど完全な化け物。
リンクに化けた理由は不明だが、近親者を騙して襲っているのでそのためと思われる。
一人称は「わし」のままだが老人っぽさが抜けた高圧的な口調である。
大ガノン
ガノン本来の姿にしてリンクの冒険における最終形態。山のような巨体の狼を思わせる姿をしている。体格は本家・メディアミックスを含めた“ガノン”の中でも間違いなく最大サイズ。
あまりにも巨大過ぎるため全容が把握できないが、狼のような頭部と身体付きと体毛を持つことが窺える。四足移動するタイプと思われるが下半身の描写がないため不明(ズシーン、ズシーンという効果音があるため脚はあると思われる。また足か手の爪をピンセットのように使ってリンクを捕まえている)。
必殺技は、大口を開けて放つ超巨大エネルギー弾。この他、咆哮と共に魔気を放つ。
なお、ブレスオブザワイルドのラスボス戦は大ガノンを意識したのかシチュエーションがよく似ている。近年では知恵のかりもののラストバトルにもオマージュされている。
過去
400年前、ガノン本体(大ガノン)は初代ゼルダの術によって魔力を封じられ、魔界の大神殿にて眠りについてしまう。
その後、初代は魔力封印の維持のために肉体を魔界に残し、魂を分離させた(初代はクリスタルで全身をガードしているため魔族たちも手が出せず、強い光のため近づくこともできない)。
分離した魂は二つのトライフォースに宿った後、魔界の扉を閉ざしてしまう。そしてトライフォースを子孫たちに託し、扉の封印の維持を任せたのだった。
つまり「ガノンの肉体と魔力の封印(初代ゼルダの術)」と「魔界の扉の封印(力と知恵のトライフォースの効果)」の二つのロックが掛けられたことになる。
16代の件(ゼルダの伝説)で弱った封印は、魔界の扉の方となる。
……と思われた。
活躍
ゼルダの伝説
「これで二つとも封印が揃った! もはや地上は我ら魔族のものだ!」
物語の冒頭にて16代ゼルダ(17代ゼルダの母親)を襲撃。いきなり背後から襲い掛かり、防戦一方の彼女から命と共に力のトライフォースを奪い取る。しかしその様を見ていた17代ゼルダ(以下ゼルダ姫)が知恵のトライフォースを用いたことで撃退された。
力のトライフォースを奪ってから3年後。ハイラル辺境にて軍団を率いて陣取っていたところ、偵察にやって来たゼルダ姫に気づき、自ら姿を現し対決する。
ガノン「クックック、久しぶりだのう小娘!」
ガノン「まったくあのひ弱なゼルダには感謝しておるよ。封印を弱め、我らを解放してくれたのだからな!」
ガノン「もはやこのトライフォースは完全にわしの支配下にある。精神の闇の部分をエネルギーとする暗黒のトライフォースよ!」
ゼルダ「ガノンッ。今ここでお前を倒す!」
ガノン「三年前と同じだと思うなよ小娘!!」
ゼルダ「母さまの仇! 消えろガノンっ」
ゼルダは極光を宿した短剣をガノンの額に突き立てるが、既にガノンは力のトライフォースを暗黒に染めており、バリアを展開して攻撃を防いでいた。
「バカめっ。暗黒のトライフォースは人の心の闇を喰らうのよっ」
「復讐! 憎悪! 大好物よっ!!」
「貴様が怒るほど光のトライフォースは力を失い、わしはより強大になる!」
ゼルダを捕まえたガノンはそのまま知恵のトライフォースの力を喰らい、一気に優位に立つ。復讐心から行使された光の力では、邪悪な力に取り込まれ増大させるだけだったのだ。
続けてその場に居合わせたリンクを喰らおうとする。しかしゼルダは「リンクを守る」という想いから知恵のトライフォースの力を引き出し、ガノンは両目を潰される。しかも知恵のトライフォースを分散して各地へ飛ばされてしまう。
更に城を抜け出したゼルダを連れ戻すべく騎士団が駆け付け、形勢不利と見たガノンは、
「小僧っ、ゼルダはあずかった」
「返して欲しくばトライフォースを残らず集めてさし出せ!」
「デスマウンテンだ! わしはそこにおる! もちろんゼルダもなっ」
とリンクに言い残して姿を消した。そのままゼルダは眠らせた状態で額にある水晶の中に幽閉する。
その後、取引に応じなかったハイラル王率いる騎士団がデスマウンテンに向けて進軍。しかしガノンは「そんなの放っておけ!」と言い捨てて相手にしなかった。
だが配下たちが勝手に出撃して迎え撃ち、魔気によって徐々に精気を奪い、幾度も攻め込んで壊滅させた。その結果、精気を失ったハイラル王は廃人同然となり、わずかに生き残った騎士たちも帰還を余儀なくされた(ハイラル王は再起不能ないし死亡したようである)。
やがてリンクがゼルダ一族の血を引くと気づくと刺客としてゴーリア兄弟を差し向け、一方で各地に配下を遣わせてトライフォースの回収に向かわせる(ゴーリア自体は原作にも登場する小鬼だが、本作では筋骨隆々になっており兄者・弟者的なキャラになっている)。
だがリンクはホワイト・ソード(古の時代にゼルダ一族が生み出した魔を討ち破る剣)の使い手となりゴーリア兄弟は返り討ちに。全魔軍を動員してリンクの抹殺を指示するが、ホワイト・ソードと知恵のトライフォースの聖なる力によって精鋭たちは次々と敗死する。しかもリンクの叔母カナンが協力したことで素早くトライフォースを揃えられてしまう。
これらを知ったガノンは激怒し、それに呼応するように視力も回復する。そしてリンクを確実に抹殺するべく一計を案じた。
ガノンは配下に命じて町を襲わせ、リンクを誘き出しに掛かる。
目論み通り現れたリンクに配下たちは倒されたが、その死体から眼球を生えさせて交信を行い「デスマウンテンに1人で来い。さもなくばゼルダ姫を殺す」と伝える(しかもこの時、ゼルダ姫を処刑する幻影まで見せている)。
だがハイラル王の時のようには行かず、リンクは妖精たちの助力によって姿を消し、ガノンの間まで乗り込んで来る。しかし決戦直前、妖精たちはガノンの魔気に耐えられず離脱する。これにより両者は一対一で勝負を繰り広げることとなる。
リンクとの直接対決では文字通り圧倒。剣ビームも力のトライフォースのバリアによって無効化した。
ガノンは額の水晶にゼルダの姿を映し、リンクに人質の存在を見せつける。攻撃できないリンクに対して一気呵成に攻め立て追い詰めていった。
かつての16代目を殺した時のように勝利は目前となる……はずだった。
ガノン「おとなしくトライフォースを渡せ! そうすればゼルダは返してやる!」
リンク「だめだっ、反撃できないっ。姫がっ…! どうすればっ!」
リンク「そうだ!」
リンク「トライフォースだっ。受けとれっ、ガノンッ」
ガノン「これさえあれば! 魔界の封印は完全に解け、このハイラルは全てわしのものになるっ!」
ガノンは知恵のトライフォースを投げ渡された際に攻撃の手を緩めて歓喜。一瞬の油断が命取りとなり、リンクが張った煙幕に視界を遮られてしまう。
その間隙を突いたリンクに額の水晶を貫かれ、ゼルダ姫を救出される。
そして――
リンク「この距離だとバリアーも関係ないっ。いっけえっ」
ガノン「こっ、小僧~~~っ」
額を貫いた状態で剣ビームを撃ち込まれてしまい、こうなっては防ぐこともできず頭部を破壊されて敗北した。
リンクの冒険
「あいたかったぞリンク。わしはこの時を待っていた」
「貴様の血肉を喰らえるこの時をな!」
続編「リンクの冒険」にも登場。リンクに倒されたと思われていたが密かに生き延びていたことが判明する。しかも上記のガノンは魔界で眠る本体の一部(分身)に過ぎなかった。
しかしガノン本体から分離した一部(分身)は初代との交戦を得て逃げ延び、封印が弱まったのを機に「ガノン」としてハイラルに侵攻していた。これが前作に登場したガノンの正体である……ということになっている。
前作では16代のせいで封印が弱まって魔界から魔族がハイラルにやって来ていたが、魔界の扉はまだ開き切っていなかった。
しかし魔界の扉が完全に開けば、魔界そのものがハイラル上空に姿を露わし、魔気を振り撒いて地上を蝕むこととなる。
現在のガノンはリンクそっくりの姿となって魔族を率い、人々を襲って復活のためにエネルギーを奪っていた(なぜリンクに化けたのかは不明だが、近親者たちを油断させているのでそれが狙いと思われる)。
この形態になったことで接触した者を取り込むという能力を披露するようになった。
力を付けた暁には真のゼルダの血を引くリンクの血肉も喰らい、復讐と復活を同時に果たそうとしている(真のゼルダの血を引くリンクは非常に高いエネルギーを持っているとのこと)。
リンクそっくりと言っても顔だけはカマキリを思わせる容貌であり、牙だらけの大口を開けたり、触手のように両腕を伸ばしたりと完全な化け物である。
前作ではトライフォースに対する強い執着心を抱いていたが、今作ではそんなことは忘れたかのようにリンクへの復讐心で凝り固まっている。まさに憎悪と怨念の権化である。
随所で高笑いをするなど狂気性に拍車がかかっており、復讐の過程を楽しんでいる節すらあった。それでいて最終目的である「ハイラルの支配」は忘れていない徹底ぶり。
力を付けたガノンは、ゼルダ一族が鍛えた古代の武器ホワイトソードを取り込むべくリンクの叔母カナンを襲撃。その容姿を活かしてリンクに惚れている女の子ペルを騙し、小屋の扉を破壊して内部に侵入する。
カナンを喰らって飢えを満たそうとしたが、ハイラル忍軍と妖精たちの助力によって取り逃してしまう。しかしホワイトソードを吸収することには成功し、本体から送られる魔力によって暗黒の剣(ダークソード)へと変貌させた(封印されていたはずの魔力をなぜ送れたかについては後述)。
「逃がしたか」
「だが目的は果した。これでまた復活に一歩近づいた」
「もうすぐだ」
「あとは奴…ゼルダの血をもっとも濃く受け継ぎ、我が復活の最大のエネルギーとなる」
「リンク」
「奴を喰らい復讐と復活を同時に果たした後!」
「このハイラルを魔界と化してやる!」
そしてすぐさまリンクの前に現れるとその力を以て圧倒。ダークソードは本体から魔力を受けたことで格段にパワーアップしており、リンクが持つハイパーマジカルソードとタメを張るほどだった。
ガノンはハイパーマジカルソードの刃を取り込むことで剣ビームに必要なエネルギーを吸収して封殺。そのまま剣ごとリンクを吸収しようとする。
しかし初代ゼルダ(の魂が宿った子犬)によって阻まれ隙を晒し、その間隙を突いたゼルダ姫が知恵のトライフォースのエネルギーをリンクに送る。結果、至近距離から極大の剣ビームをブチ込まれて大ダメージを受ける(上半身がズタボロになり、下半身が消し飛んだ)。ダークソードも消滅してしまい、ガノンはパワーダウンを余儀なくされる。
「おのれえリンク! だが、このままではすまさぬ」
「魔界への扉を開けた時が貴様の最後だ! 覚悟して来い!!」
「貴様だけは必ずこの手で殺してやるぞ」
ガノンは姿を消したが、リンクが魔界の扉を開けて魔界へと乗り込んだ際に再び登場。
自身の正体がガノンの心臓であり本体と一つになることで復活させられることを明かす。つまり一部だと思っていたのが真の本体だったのだ。
この辺りについては説明がないため推測になるが、初代の封印から逃れるために心臓を切り離したと思われる(恐らく初代は、ガノンの一部が真の本体だということを知らなかったのだろう。そもそも“ガノン”=本体の分身と称したのも初代である)。
しかもガノンの肉体は、既に初代の肉体を取り込んで一部にしていた。
初代によれば、彼女の肉体も封印術の影響を受けてガノンと縛り付けられてしまい、いつしか取り込まれてしまったとのこと。
これまた推測になるが、封じられた本体の魔力を心臓に送ることができたのは、初代の術が破られてしまったからだと思われる。
そして、初代の術が破られたということは――
「オレは大ガノンの心臓だっ」
「オレが合体することによって大ガノンは蘇る」
「いよいよ貴様の最後だ。リンク!」
こうして復活したガノンの本体――大ガノンは復讐を果たすべくリンクに襲い掛かる。
リンクは草原に立っていたと思っていたが、実は山のような巨体を持つ大ガノンの背中に過ぎなかった(そこから表出していたのが取り込まれた初代ゼルダである)。
かつてのガノンとは比べ物にならない力でリンクを疲弊させ、その身を喰らうところまで追い詰める。
「やった! ついに宿敵リンクを倒したぞ!!」
「貴様の血肉を味わえる日を心待ちにしていたぞ」
「さぞやうまいだろうな。真のゼルダは!」
リンクの体を噛み砕くことで完全な勝利を得ようとする大ガノン。
しかし初代の幽体から弱点(心臓)の位置を教えられたことでリンクは立ち直り、激しく抵抗されて口から体内へ入り込まれてしまう。
しかも本体の動きが遅いことからリンクに「この前の戦いで心臓が負傷したまま」と見抜かれてしまい、あろうことかリンクは剣ビームで体内を破壊して道を切り開き、ついに心臓の前に現れる。
この心臓こそが大ガノンの本体であり、今までリンクが戦っていた“ガノン”であった。
リンク「や、やっとたどり着いた。ガノン覚悟!!」
リンクはトドメの剣ビームを放とうとするが、ハイパーマジカルソードはその輝きを失わせてしまう。
「このわしの体内でトライフォースの力がいつまでも長続きするものか」
「このままわしの養分にしてやるわっ」
勝ち誇ったガノンは再びリンクを吸収するべく触手を伸ばす。しかし、触手はリンクに触れることなく切り裂かれる。
リンクはハイパーマジカルソードを投げ捨て、ゼルダ姫からもらっていた短剣に持ち替えたのだ。
かつてはガノンの額を貫くことができなかった武器だが、その刃はリンクの勇気に呼応するように光り輝いていた。
ガノン「なにっ」
リンク「ハイパーがなくったって!」
ガノン「うおお」
リンク「最後だ! ガノンッ」
ガノン「ガアアアアー!!」
虚を突かれたことで怯んだガノンはリンクの一撃によって心臓を斬り裂かれ、今度こそ塵一つ残すことなく消滅したのだった。
そして主を失った魔界は、リンクの勇気から生み出した勇気のトライフォースを用いた初代よって再び封印された。
リンクとゼルダの両親を殺し、ハイラルの侵略という野望を達成しかけたガノン。
確かに彼は圧倒的な体躯と絶大な力を誇っていた。ガノンからすればリンクなど小さな身体をした弱者に過ぎなかっただろう。
だがしかし、リンクもまたガノンにはない力を持っていた。
初代ゼルダの幽体による援護。
16代ゼルダから受け継がれた真のゼルダの血(力、才能)。
17代ゼルダが託した一振りの短剣。
そして、リンクのために力を貸してくれた仲間たち。
さしも大ガノンであってもこの絆には及ばず、最後までリンクに勝つことはできなかったのだ。
原作ゲームにおいて
上記のコミカライズ版発表後の原作ゲーム『ゼルダの伝説』シリーズにおいて、本作のガノンと似たような特徴を持つガノンもしくはガノンドロフ、もしくはそれに類するキャラクターが幾つか登場している。
本作は独自設定の塊なので逆輸入しやすかったのもあるのだろう。
- ガノンドロフ(時のオカリナ):ゼルダ姫を人質に取り「返してほしければ~」というやり方でリンクを誘き出したことがある。また決戦前には邪気に堪えられなかった妖精が離脱する。
- 厄災ガノン:割と露骨にオマージュされており、最終形態が本家では最大サイズ。取り込んでいたゼルダから援護を受けたことでリンクに敗れる。
- 憑依ガノン:本体から分離したガノンの怨念が他者を吸収して力を付けた姿。元々は白かったが憑依された影響で黒になっており、この辺りは上記のホワイトソードと暗黒の剣に近い。最後の戦いでは本体と合体する。
- ガノンドロフ(ティアーズオブザキングダム):ゼルダの目の前である女性を背後から襲い掛かって殺害し、王家に伝わるアイテムを奪い取り暗黒に染めた。また魔気とよく似た性質の瘴気を操る。こちらも最終形態が最大サイズ。
- 偽ゼルダ:ガノンドロフの分身がゼルダに化けた姿。各地で悪事を働いていた。声も本人を模している。
- ヌゥル:無の世界にて封印術で肉体を動けなくされていたが、内部に潜んでいる本体が動いて活動するなど本作のオマージュが窺える。
余談
大ガノンとの戦いは、かぢば版神々のトライフォースが出るまでコミカライズ版の中でも最長のラスボス戦だった。
剣を手にしたガノンドロフが描かれたのは姫川明のコミカライズ版時のオカリナであるが、“人の形をしたガノン”が剣を手にしたのは本作が初出。
ホワイトソード(暗黒の剣)を手にリンクと打ち合っている。
関連タグ
ゼルダの伝説 初代ゼルダの伝説 リンクの冒険 コミカライズ 未将崎雄
ガノン(コミックス版ゼルダの伝説) シャドウリンク(コミックス版ゼルダの伝説)
ガノン/マラドー:前述の通り容姿の点で共通点がある原作ゲームキャラクター。
厄災ガノン:ブレスオブザワイルドではゼルダを取り込んだ凄まじい巨体となりリンクと対決。ゼルダに弱点の位置を伝えらた上に、ゼルダから授かった武器で弱点を攻撃され敗北する。
憑依ガノン:厄災の黙示録では封印された厄災ガノンから分離した分身として登場。主要人物とそっくりな姿で活動したため本物が誤解を受けたり、最後の戦いでは本体と合体して最終形態となる。
偽ゼルダ:本作のガノンと上記の憑依ガノンのオマージュ要素が含まれた敵女。こちらは正真正銘ガノンドロフの分身だが、実は喋っているのはガノンドロフ自身。
終焉の者:魔族の王であり、ゼルダ姫の始祖とも言える人物によって封印され、その維持のために彼女の肉体が利用されるなど本作のオマージュが含まれている。
ヌゥル:無の世界で肉体に封印術が掛けられ動けなくなる、そこから真の本体が分離して活動するなど、未将崎ガノンそのものの設定である。
大魔王バーン、ハドラー:連載時期が89年と同じで共通点が非常に多い。上記の能力を見てバーンを連想した人も少なくないだろう。