概要
初代『ゼルダの伝説』を元にストーリーを再構築したコミカライズ作品。ほぼオリジナルストーリーであり独自設定の塊となっている。
完結編に当たる続編も刊行されている。
トライフォースの力によって魔界の扉を閉ざし、邪悪な存在であるガノンら魔族を封印する使命を持ったゼルダの一族(ハイラル王家)。
しかし16代ゼルダは心身ともに弱かったため魔界の封印が弱まるという事態を引き起こしてしまう。その間隙を突いてガノン率いる一部の魔族がハイラルに現れ、二つのトライフォースを手にすることで魔界の封印を完全に解き、ハイラルに軍団を送り込んで支配を目論む。
トライフォースやホワイトソード(マジカルソード)といった設定が特になかった物を掘り下げている他、リンクとゼルダ姫の関係がとんでもないものになっている。
非力でビビリだが知恵と勇気で武具を使って戦うリンク。
高い身体能力を誇り強力な光線も使えるが力押しでの戦いしか出来ないゼルダ姫。
という全く対照的なキャラ付けがされている。リンクより強いゼルダ姫などどこを探してもこの漫画くらいしかいないだろう。
著者はグロテスクな描写に定評があり、ガノンを始めとする魔族の造形がかなり禍々しいものになっているのが特徴。
一方で成年漫画家ということもあり、ある場面では幼女の水浴びシーンやパンチラが描かれている。ただしサービスシーンはここくらいしかない。多少のラブコメ要素はあるがシリアスなストーリーが大半を占める。
登場キャラクター
パーティーメンバー
城の庭を手入れする庭師見習い。人間とエルフのハーフエルフ。ショタ。
捨て子だったところをジジとインパに引き取られているが、実は……。
小国の姫君。リンクより年下のロリ。序盤のみリンクと行動を共にする。幼少期に目の前で母をガノンに殺されたことで復讐を誓う。
口調も性格も男勝りで「~だな」「~だぞ」という女騎士風の口調で話す。
母親から知恵のトライフォースを継承しており、母親と同じく強力な光の力を行使出来る。
基本的には高い身体能力と刀や短剣を武器に戦う。本気を出す際は額に装着した知恵のトライフォースを用いた光線を使う。
魔法で戦うイメージが強いゼルダ姫だが、この漫画ではバリバリの武闘派である。敢えて近い戦闘スタイルのゼルダ姫を挙げるなら『厄災の黙示録』のゼルダ姫だろうか。
エルフの少女。終盤で仲間になるが最終決戦には同行しない。
リンクの叔母(父の妹)に当たるが正体を隠している。
初登場時は“カンナ”と誤記されていた。
- フィー&エル
小さな妖精の二人組。カナンの友達で、口は悪いが根は優しい。
簡単な傷を治したり、テレポートや透明化などの力が使える。最終決戦の舞台であるデスマウンテンまでリンクに同行したが、ガノンの放つ魔気に耐えられずラストバトル直前に離脱する。
サブキャラクター
- 16代ゼルダ
ゼルダの母親。精神的に弱く体も病弱だったため、魔界の封印が弱まるという事態を引き起こしてしまう。
力のトライフォースを継承していたが背後から襲って来たガノンに殺され奪われてしまった。
少女の頃はルーンという少年と逢瀬を重ねていた。護衛を振り切っては城から抜け出しており、このお転婆な気質は娘にも受け継がれている。
実は“ゼルダ姫の母親”というのは『風のタクト』や『ブレスオブザワイルド』で存在が語られたくらいである。本作と共通点がある『黒き影の伯爵』では、ヨハンナという妃の名前が語られている(既に故人)。
- ルーン
リンクの父親。エルフの青年。
2年前、魔族の脅威に対抗するためゼルダの一族が鍛えた古代遺物ホワイトソードを探し出し、どこかにいる息子に託そうとしたが、長旅で限界を迎え返らぬ人となった。
少年の頃は16代ゼルダと逢瀬を重ねていた。
17代ゼルダの父親。婿養子のため王族の血は引いていない。騎士団長を思わせる黒髪黒ひげの大男。
娘を溺愛しているが独りよがりに過ぎず、姫らしくすることを強要しているため嫌われているが本人は気づいていない。また母がガノンに殺されたという話を頭ごなしに否定して信じようとしなかった。
短気で思慮が浅く、力押しでの解決方法を取る傾向にある。この悪い面は娘にも受け継がれている。
- 先代ハイラル王
16代ゼルダの父親。名前のみで直接の登場はない。3年後には上記のハイラル王に代替わりしている。
エルフに対して差別意識を持っている。このため16代ゼルダは、ルーンと付き合っていることを隠していた(バレたら二度と城の外に出してもらえないと危惧していた)。
王家に仕える使用人。本作では若い女性になっている。
捨て子だったリンクを引き取って育てており、お母さんと呼び慕われている。
- ジジ
王家に仕える庭師の老人。常に怒ったような顔をしており短気。仕事に失敗するリンクを良く怒鳴っている。
リンクと一緒に暮らしており祖父のような存在でもある。
- 悪ガキ3人組
城下町に住む不良たち。リンクの耳の形が「みんなとは違う」という理由だけで暴力を振るって虐めていた。
しかし終盤では、リンクが1人でガノンを倒しにデスマウンテンへ向かったと聞いて「あいつ、弱いくせに……」と言いながらも見直しており、エンディングでは改心したのか笑顔を見せている。
とある町の宿屋の看板娘。若い女性だが正義感も気も強い。
父親(店主)が夜遅くに泊まりに来たリンクに対し、面倒事はごめんだと追い返してしまったのを知りどやしつけている。その後、リンクに声を掛けて宿泊させた。
ストーリーには関わって来ないが、彼女の振る舞いは差別されていたリンクを元気付けるのに十分であった。終盤では後述の精鋭魔族に街を襲われてしまうが、成長したリンクに助けられる。
かつて16代ゼルダの護衛隊長を務めていた老人。大柄な体格で顔も一見怖そうに見えるが、実際は気さくで面倒見が良い。隠居後は都市から離れた森の中の小屋で孫たちと暮らしている。
魔族に襲われていた孫たちを助けてくれたリンクを歓待する。
経歴や孫娘と暮らしているという設定は、『ブレスオブザワイルド』のインパが近い。
- グレイ
ジェナードの孫。ペルの兄。気さくでヤンチャな少年。リンクと仲良くなる。
次回作には未登場。
ジェナードの孫娘。グレイの妹。弱虫で泣き虫な幼女。
魔族から助けてくれたリンクに一目惚れをする。
過去、目の前で両親を魔族に喰い殺されており、それもあって誰かの命を守ることに必死になる。
数あるゼルダのコミカライズでも水浴びシーンやパンチラをする(スカートがめくれて尻を見られる)という偉業を成し得ている。
なお、本家においてリンクに一目惚れをした孫娘というポジションのキャラは、『ブレスオブザワイルド』のパーヤがいる。
魔族
本作のラスボス。魔族最強の王。
自分たちを魔界に閉じ込めたゼルダの一族を非常に憎んでいる。魔界の封印が緩んだのを機に地上に現れ暗躍を開始。二つのトライフォースを奪うことで魔界の封印を完全に解き、ハイラルに軍団を送り込んで支配を目論む。
触れた者の精気を奪い取る魔気という黒い霧を放てる(性質的には『ティアーズオブザキングダム』のガノンドロフが使う瘴気に近い)。また額の水晶に対象を閉じ込めることも出来る。
水牛を思わせる頭部をしており、シルエットは『時のオカリナ』のガノンと似ている。
卑怯にも16代ゼルダの背後から襲い掛かり力のトライフォースを奪い取る。
常に怒鳴るような老人口調で話すが、八つ当たりで部下を殺すような真似はせず、この手の悪役としては部下想い。
- ゴーリア兄弟
リンクを始末するために送り込まれた最初の刺客。兄は1本角、弟は2本角。円月輪のような2つの投擲武器を用いる。嬲り殺しを好む下劣な性格をしているが任務はしっかり果たそうとするなどガノンには忠実。
ジェナードを圧倒してリンクを殺そうとしたが、ホワイトソードから放たれた剣ビームでまとめて倒された。
原作ではブーメランを投げて攻撃して来る小鬼だが、本作ではマッチョな8頭身で「兄者、弟者」的なキャラになっている。
ガノンと同じ種族かつ兄弟で仕えているという点は、後に登場したツインローバが近い。
ユニコーンのような姿をした精鋭魔族。リンクに送り込まれた最後の刺客。
とある町を襲ってリンクを誘き出す作戦を行った。ホワイトソードの剣ビームを防ぐなどかなりの力を持っていたが、マジカルソードの剣ビームには敵わず撃破された。
ストーリー
余談
リンクはホワイトソードと知恵のトライフォースの相乗効果でパワーアップを果たしているが、このネタは姫川明の『トワイライトプリンセス』でも使用された。こちらではリンクがマスターソードと勇気のトライフォースの相乗効果で超人レベルの強さを得ている。
関連タグ
神々のトライフォース:直近の作品ということでオマージュされた部分が多い。
大地の汽笛:リンクとゼルダ姫のラブコメ。
ブレスオブザワイルド:王家の女性が不思議な力の使い手、ゼルダ姫が幼少期に母親と死別する、ゼルダ姫が父親から教育方針を決められて話を聞いてもらえないなどが共通。またリンクを慕う孫娘ポジションのサブヒロインが登場する。
ティアーズオブザキングダム:王家に伝わる伝説のアイテムを狙ったガノンドロフが、ゼルダの見ている前で王家の女性を背後から殺害して奪い取り、アイテムを暗黒に染めたという流れが完全に本作と一致。