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黒き影の伯爵

くろきかげのはくしゃく

『黒き影の伯爵』とは、初代『ゼルダの伝説』の設定を組み込んだオリジナル小説作品。全1巻。1992年1月1日発売。著作は樋口明雄。カバーイラストは藤原カムイ。挿絵・口絵は伊藤伸平。
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概要編集

ガノンが王国に攻め込んで力のトライフォースを奪い取る」「ゼルダ姫が知恵のトライフォースを分割して各地に隠し、それをリンクが集める」という初代『ゼルダの伝説』の設定こそ踏襲しているが、それ以外はオリジナルストーリーとなっている。

初代『ゼルダの伝説』はゲームブック小説こそ出ているが、通常形式のノベライズは本作のみとなっている。


あらすじ編集

1000年前のハイラル地方は、3つの国が鎬を削る三国志さながらの時代であった。

やがて1つの国が滅び、もう1つの国が平定され、3つの国は1つになって戦争は終わりを迎えた。こうして生まれたのがハイラルの王国である。


だが平和は長く続かなかった。

かつて世界を支配していた魔王ガノンが魔界より現れ、〈夜のものども〉と名乗る魔物たちが人々を蹂躙し始めたのだ。魔物の襲来を恐れた人々は堅牢な掘りを築き、村や町に閉じこもるようになってしまった。

けれどガノンの支配もまた長くは続かなかった。ある時、光の剣を携えた勇者(リンクの先祖)が現れガノンを打ち倒したのだ。


そして1000年後。

倒されたはずのガノンは復活を果たし〈夜のものども〉を率いて再び支配者に返り咲こうとする。

手始めに村を滅ぼし、続けて砂漠の街アッサムに攻め込み、国王ウイルヘルム3世のいるアッサム城まで侵攻する。その狙いはアッサム王家に伝わる力と知恵のトライフォースにあった。


登場キャラクター編集

パーティーメンバー編集

 ホビット族の村で狩人として生計を立てる人間の少年。12歳。

 幼少の頃、父親と共に生き倒れになったところをホビット族に保護される。父親は助からなかったが、現在はホビット族のおじじ(長老)と一緒に暮らしている。

 実は1000年前にガノンを倒した勇者の末裔(生まれ変わり)。父親は旅の商人だったがその血脈は今でも受け継がれている。

 

 リンクのお供になる小さな妖精の女の子。気が強く明るい性格。

 魔王の呪いによって湖に閉じ込められていたが、リンクに助けられたことで仲間になる。

 魔物の弱点を教えてくれたりと小さな体を活かしてリンクをサポートしてくれる。

 ゲームブック『蜃気楼城の戦い』にも同名の妖精が登場するが、名前だけ借りた別人とのこと。


  • グレッグ

 漁師の中年大男。思慮深く不愛想な性格。しかし一度信じた人物はとことん信じ抜く漢でもある。

 ゾーラたちに海を荒らされて出航が出来なくなっていたところ、リンクが舩を出してほしい訪ねて来る。リンクの瞳に強い決意を感じ「将来大物になる」として仲間となる。ただし海の男のため地上の冒険には着いて来ない(見た目に反して非戦闘員である)。

 後にゾーラに襲われた際に、リンクに助けられたことで“相棒”とまで呼ぶようになる。

 終盤ではリンク、ファニーと分断されてしまい、グレッグはインパとマイアを仲間に加えて別行動となる。ラストバトルにはグレッグのみ駆け付け、リンクに最後の知恵のトライフォースの欠片を投げ渡した。


 ゼルダ姫の乳母を務める老婆。ガノンが国王に化けていることを見抜くなど確かな目の持ち主。

 アッサム城がガノンによって攻め落とされる中、ゼルダ姫から知恵のトライフォースを託され隠し通路から脱出。知恵のトライフォースを4つに分けて各地に隠した。

 その後は追っ手に捕まりそうになったところをリンクに助けられ、ホビット族の村で保護されることに。この縁からリンクたちは、アッサム城がガノンによって落とされたことを知る。

 終盤ではガノンの配下たちにホビット族の村を焼き払われてしまい、マイアに連れられて脱出した後グレッグと合流する。


  • マイア

 リンクの幼馴染。ホビット族の少女で村医者の娘。ホビット族といっても耳が尖っているだけで、容姿は人間の女の子と変わらない。黒髪おさげ(二つ結び)でやはり胸が大きい

 リンクと異種族であるものの両想いのような関係になっている。リンクがガノン討伐のため村を旅立つと聞いてから登場したので、暗い面が強く出ている。

 終盤ではモリブリンたちによって村が焼き払われる中、長老の最期を看取りインパを連れて脱出した。その際にモリブリンたちを数匹まとめて倒している。


メインキャラクター編集

 もう一人の視点主。アッサム王家の一人娘。12歳。まだ幼いながらも芯の強い性格をしている。12歳とは思えないくらい胸が大きい

 母親のヨハンナは既に故人であり、トライフォースを守る力を持っているのはゼルダ姫しかいないという。そのこともあり現在は、ゼルダ姫が2つのトライフォースを所持している。

 ガノン率いる〈夜のものども〉によってアッサム城が滅ぼされる中、知恵のトライフォースをインパに託して隠し通路から逃がさせた。

 その後、ゼルダ姫はガノンに捕まってしまうが気がついた時はリュグエル伯爵なる人物に保護されていた。


 1000年の時を得て復活した魔王。〈夜のものども〉と呼ばれる魔物たちを率いる。二つのトライフォースを手にすることで絶大なパワーを得て世界の支配者にならんとする。

 厳かな振る舞いとは裏腹に頭髪がモヒカンという奇抜な見た目をしている。体型は、例えるなら肥満なガーゴイル

 他者に変身する能力を持っており、頭もかなりキレる知性派。

 1000年前にある場所に安置されていた二つのトライフォースを手にしようとしたが、すんでのところで当時の勇者によって撃破されている。


  • リュグエル伯爵

 ガノンに拉致されたゼルダ姫を保護した男性。ドラキュラ伯爵をモチーフにしたような初老の男。

 ゼルダ姫に対して「自分は人間ではなくガノンに反旗を翻した者」「美しいあなたを守るのに理由などいらない」と優しい言葉を掛け、ゼルダ姫も徐々に信頼するのだが……。


サブキャラクター編集

 砂漠の街アッサムを統治する国王。本作におけるゼルダ姫の父親となる。

 未将崎ゼルダを意識したのか屈強な体格をした黒髪黒髭の中年。

 序盤にて〈夜のものども〉と呼ばれる魔物を率いる魔王ガノンにアッサム城まで攻め込まれ、ガノンによって殺されてしまう。


  • ジュゼッペ

 アッサム城の近衛兵長。年老いているが実力は今でも健在。

 国王に化けたガノンから知恵のトライフォースを取り戻すなど善戦するが、インパを庇ったことで焼き殺されてしまう。


  • おじじ

 ホビット族の長老。12年前、孤児となったリンクを引き取って育てて来た。

 実はリンクの父親の遺言を聞いており、リンクが勇者の末裔だと知っていた。

 後にガノンの復活をインパの口から聞いたことで、リンクに父親の遺言を告げる。そしてホビットからの使者としてアッサム城へと向かわせた(ホビット族は人間の里に行っては行けないという決まりがあるため)。

 リンクは村から出たくないと及び腰だったが、いずれ巣立たないといけないと考えていたため半ば強引に旅立たせた。

 終盤ではガノンからの報復としてモリブリンの軍勢に村を焼き払われ、長老も村人たちも殺されてしまう。


  • カシム

 仙人。老齢だが本人曰く「神々がこの世を作った時と同じくらいリンクを待っていた」と語る。

 かつてガノンにテリトリーを荒らされたことから恨みを持っており、このことからハイラル仙人共済組合――略してハイ仙共組(ハイせんきょうそ)はリンクを全面的にバックアップするとした。

 態度は大きいがノリが軽く、どこか憎めない感じである。例えるなら傲慢な性格の亀仙人

 千里眼という能力を持っており、遠くの風景を見るだけではなく遠い未来を見ることも出来る。この能力でリンクがガノンと戦う運命にあることを知っていた。ただし都合良く未来を見れないとのことで“結末”までは知らないという。

 手始めに自分を訪ねて来たリンクへホワイトソードを授けた。やはり未将崎ゼルダを意識したのか「魔を討つ剣」と紹介されている。

 後にカジム、ガシムという親族が登場した。名前が違うだけで性格はほぼ同じ。ガシムは勇者に相応しい剣であるマジカルソードをリンクに授けた。


  • ムルチ

 リュグエル伯爵の使用人を務める魔物で〈夜のものども〉の1人。普段は黒いフードを被った老人に扮している。

 保護したゼルダ姫の世話係に任命されるが……。


  • ラウル

 アッサム城に仕えていた兵士。インパから知恵のトライフォースの欠片を渡され、他の兵士たちと共に各地の迷宮に隠す任を与えられた。

 しかし化け物で溢れるダンジョンに行く気になれず、かと言ってトライフォースの欠片を売る悪人にもなれず、とある街で酒に溺れる日々を過ごしていた。

 終盤ではグレッグからアッサムの兵士であることを見抜かれ、居合わせたインパに気づき泣きながら謝罪した。しかし欠片を守っていたのは事実であり、裏切りについては責められずむしろねぎらわれた。こうして最後のトライフォースの欠片はグレッグの手に渡り、最終決戦に挑むリンクの下へ届けられることとなった。


ストーリー編集

詳細はを。他作品のネタバレも含むので閲覧注意。


関連タグ編集

ゼルダの伝説 ゼルダの伝説シリーズ 初代ゼルダの伝説

ゼルダの伝説シリーズ(書籍作品版) ノベライズ


時のオカリナ:本作の後に発売された本家作品。

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