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概要

仙人たちが活躍する『封神演義封神演义)』には、道教における三柱の最高存在である三清道祖のうち、元始天尊太上老君道徳天尊)が登場する。もう一人の太上道君(霊宝天尊)のかわりに通天教主という高位の仙人が登場しており、彼は作中における仙人の勢力の一つ「截教(さいきょう、人間以外の動植物、無生物、森羅万象出身者による仙道集団)」の長となっている。

作中で人間出身の仙人たちからなる「闡教(せんきょう)」の長とされる元始天尊、そして二人の兄弟子であり、闡教側についている太上老君の師匠として鴻鈞道人は登場する。

紫霄宫(しあいきゅう)を住居とし、全ての道教の師と呼ばれる。物語中盤で趙公明が語るところによれば、元始天尊も太上老君も通天教主も彼の弟子である以上、闡教も截教ももともと一つのものと言える。

鴻鈞道人は作中で印象的な宝貝を披露はしていない。が、終盤のシーンによって、他の仙人たちとは桁違いの存在であることを強烈に印象づけることになる。

作中終盤で起こる万仙陣の戦いにおいて、截教教主・通天教主がしいた万仙陣は破られ、闡教の勝利という形で幕を閉じる。が、大きな犠牲を強いられた通天教主は怒り心頭のまま他の仙人たちと逆転のための策を練る。が、そこで鴻鈞道人が降臨する。

彼は通天教主がしいた万仙陣のために世に苦しみがまき散らされた事を批難した。そして、もう二人の弟子たちの勢力との復讐合戦を止めるために来たといい、通天教主が弟子づてに呼び出した截教教主・元始天尊と太上老君に対しても叱責し、今回だけは通天教主のことを許すように言う。

が、それだけに終わらず、鴻鈞道人は三人の弟子に丸薬を呑ませる。これは、もし再度、三人が争うことがあれば彼等を死に至らしめる力を持つ薬である。

鴻鈞道人は三人の最上位級の仙人から畏れられ、彼等を罰することができる存在として描写される。それだけでなく、その生殺与奪を握ることもできるチート級の存在である。

そのうち二人は道教神話の創世神話において始源の高仙として登場することを踏まえれば、まさに「ありえない」存在である。

道教における受容

『封神演義』は人気を博し、道教の仙人観、世界観そのものにも影響を与えるほどになった。人々に受容されるにあたり、鴻鈞道人は他の『封神演義』オリジナル仙人たちと共に信仰対象として取り入れられることになる。

鴻鈞道人は、「鴻鈞老祖」「鴻鈞道祖」「鴻元老祖」「混元老祖」とも呼ばれ、三清よりも上位の存在にして、混沌を司るとされた。

ここでの「混沌」とは万物に先立つカオスとしてのそれであり、四凶の一体としての渾沌とは別存在である。

創作における登場

相州戦神館學園万仙陣百神のように四凶と結びつけた作品も存在する。

安能務版とこれを原作とした藤崎竜版『封神演義』には登場していない。

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