概要
小雨大豆の妖怪漫画「月歌の始まり」に登場する主人公の坊主・桃(もも)が召喚する式神の一体で、攻防など利便性に秀でている事から他の式神よりも使役回数は多い。
巨大な女侍風の姿をしており、殆どの式神は姿形だけの即席妖怪を指すが、黄桃御膳(おうとうごぜん)はある程度の自由意志を持つようで、場面により表情豊かで可愛らしい仕草をして愛嬌がある。
なお、物語の途中からは同音異字「黄桃御前」で表記されている。
姿形
端正な顔立ちをした女型巨人。
腹部が肋骨のような部位と勾玉で出来た上半身のみで浮遊している。
上品な桃型の装飾がある頭飾り、髪の末端を結んだ垂髪(すべらかし)、手甲・日本刀を装備した和装姿。
更に巨大化形態や、武器を介して召喚される妖精のような姿も存在する。
式神像
小雨大豆の妖怪漫画「月歌の始まり」(および「九十九の満月」)に登場する式神で姿形だけの即席妖怪は、契約主の魂魄(こんぱく:万物構成の一つであり、汎用性に優れた元素および活動力の一種)で体を構成される。
黄桃御膳(おうとうごぜん)も、主人・桃(もも)の魂魄で瞬時に召喚⇔還元される。つまり身体・防具・武器を構成する組織・素材が彼の魂魄を基にするから、たとえ刀を破損とかされても、再召喚の際に復元される。しかし桃(もも)の魂魄が消耗した状態で召喚されると、体などが不完全の状態で出現する。
黄桃御膳(おうとうごぜん)は巨大な物の怪などに対抗して実体化され、装備した日本刀で斬る他、上半身だけの女巨人型を活かした抑え込みや足場の代用といった、状況へ応じた活躍をしてくれる。
前述で触れたように、ある程度の自由意志を持っており、攻撃を防がれてプクッと頬を膨らませて不愉快を露にしたり、防御の痛みからピエンと涙目になったり、思わぬ強敵を前にアワアワと狼狽えたり、言葉を発せずとも表情・仕草で多彩に愛嬌ある自己表現をしている。更に味覚も有しているようで、妖怪の料理人が調理した好物を食べた際は、その美味にウ~ン(>ヘ<)と舌鼓を打っていた。
うん。実に可愛い御膳さんである。
余談
黄桃御膳(おうとうごぜん)の名前は「桃(果物)」と「上品」に因んだ構成がされている。
- 黄桃(おうとう)は、黄肉種とも呼ばれる黄色い桃で、やや固くて実の締まりがいい本品種は加工食品へ利用されやすい。また黄桃の仲間で、マンゴーのような甘い香り・鮮やかな黄色い色・ツルリとした食感のある種類は「黄金桃(おうごんとう)」と言われる。黄桃御膳(おうとうごぜん)にある装飾の質感は、どちらかというと黄色より黄金寄りに感じれる。
- 御膳(ごぜん・おぜん)とは、食膳・食事を丁寧に言い表す他、貴人や高位の人に対した敬称へも使われる言葉。黄桃御膳(おうとうごぜん)も気品ある女武人の姿をした式神から、格式高い意味合いもある「御膳(ごぜん)」を用いて呼称しているのだろう。
そして、物語の途中からは「御膳」よりも敬称として普及している同音異字「御前」の名称“黄桃御前”が用いられている。
関連話(リンク)
関連項目
黄桃御前・・・物語途中からの表記。