この力が将門公相手にも通じる力かどうか
その眼(まなこ)と体で
とく御覧(ごろう)じろ
概要ノ金棒
小雨大豆の妖怪漫画「月歌の始まり」に登場する武器。刀身が十手状になった刀(金棒)。
素材は主人公の坊主・桃(もも)が所持していた錫杖。これは将門と彼の幹部たちと交戦し損壊した錫杖から、浅右衛門が「物に込められた思い=桃(もも)の心情」を感じ取り顕現した一振り。
不殺ノ金棒
日の本一と言われる桃(もも)が握り続けた錫杖に、異才の鍛人(かねち)・浅右衛門が「良く分かんねがビビビッときた」と興奮しただけあり、洗練された刀の形と鬼技(おにわざ:超能力)を宿す逸品として誕生した。
形状
一見は刀の形(なり)をしていながら、刀身は鉄心(てっしん)と鈎棒(かぎぼう)になっている。鍔は波紋が重なったような芸術的な造形、持ち手は小太刀柄に誂(あつら)っている。
この酔狂な刀の形になったのは、まだ無名の刀工・浅右衛門が素材となった錫杖を通して使い手・桃(もも)に在る「命の形=物に込められた持ち主の思いや願い」を映し取った心象(イメージ)と、これに見合う形象として百済(くだら)の王より賜った七支(しちし)の刀にあやかり鍛刀されたから。
新たな相 ”棒“
平小次郎将門と彼の幹部「坂東火雷十天衆」との交戦で、酷く折れ曲がってしまった桃(もも)の錫杖を、将門と対立する軍団の大将・平太郎貞盛から錫杖を修復する提案により生まれ変わった新たな相 ”棒“。
修復を担当した刀工・浅右衛門は、鬼技(おにわざ:超能力)「万物鍛刀」によって認知した素材《万物》を刀へ鍛造できる男。彼が行う特殊鍛刀は「式神降ろし」に近い領分で、刀を作るというより式神(しきがみ:従属関係を結んだ妖怪で多くは姿形だけの即席妖怪)を作ることに近い異能。式神づくりは『物に込められた思い』と『(物に含まれる)質の良い魂魄(こんぱく:万物構成の一つであり、汎用性に優れた元素および活動力の一種)』が重要な技術。
この工程により錫杖の生まれ変わった形「二支ノ金棒(にしのかなぼう)」は、洗練された武器の形(なり)をしていながら鬼技(おにわざ:超能力)を宿す一振りとして新造された。
新たな相 ”棒“を初めて手にした桃(もも)は、元が今まで共に戦いを駆け抜けた錫杖に在る『誰も斬らぬ形』をした刀から、まるで体の一部かのような一体感を自覚した。
手にした得物から伝わる重さが、重心が、握り心地が、手の吸い付き様が、その殺さずの形が自分の全てにはまる事へ歓喜した。
更に「二支ノ金棒(にしのかなぼう)」を手にした時の桃(もも)は、将門の策略により自身の鬼技(おにわざ:超能力)が封じられており、大きく戦闘力を欠いていた。これを補う力を錫杖の新たな姿から感じ取っており、新たな相 ”棒“を使った初戦闘で十全に扱える事ができた。
その描写から推測するに、桃(もも)の心像が「二支ノ金棒(にしのかなぼう)」を介して高性能に発現できる鬼技と思われる。例として桃(もも)の式神(しきがみ:従属関係を結んだ妖怪で多くは姿形だけの即席妖怪)を高性能(コンパクト)に召喚し攻防の戦略を広げている。
余談ノ金棒
「二支ノ金棒」が初登場した時に作中で読み仮名(ルビ)は振られておらず、単行本11巻のあらすじに「にしのかなぼう」と表記されている。自然と日本の有名女性歌手を連想しちゃう名称である。
関連ノ金棒
九十九の満月:本作から数百年くらい後のお話が描かれる妖怪漫画
鬼の金棒(九十九の満月)・・・九十九の満月に登場する同形の金棒。