サロ163
東海道新幹線開業後に関西地区で使用されていた153系の1等車連結列車を増発することになった。しかし、153系は既に製造終了となっていたため、1964年12月にサロ163-1~7の7両が新製され、153系に組み込まれた。
これらの車両は1983年まで運用された。
幻の163系
勾配・寒冷地線区向けの165系から耐寒耐雪設備・勾配抑速ブレーキを省略した形で計画された系列。東海道・山陽本線向け暖地仕様車として登場する予定だった。
しかし運転・保守の現場から無闇に派生系列を増やされても困るという声や、将来の広域転配に対する考慮すべきとの声が強かったことから、前述のサロ163を除き163系の製造は見送りとなり、代わりに耐寒耐雪構造を準備工事とした165系が製造されることになった。
仮に163系が導入されていた場合以下の様な問題点が首都圏では発生していた。
- 夏の海水浴シーズンには房総半島方面で列車を増発する必要があるのに対し、冬のスキー・スケートシーズンには中央本線・上越線で列車を多数増発する必要がある。平坦で温暖な房総地区では問題ないが、急勾配が連続し、冬場に大雪が降る中央・上越方面で163系を運用するのはいくらなんでも無謀。
- 複々線化前の総武線で101系の国電から逃げ切る必要があり、高加速性能が要求される。自動制御段戻しがないCS12を搭載予定で設計されていた163系だとダイヤ乱れの原因になる
なお、153系も165系も直流急行型は制御ジャンパ栓自体は同じであり、抑速ブレーキ用の回線が使用されているかだけの違いである。サロ・サハ・サハシなどの付随車は寒地対策以外差異がないともいえる。一時期誤解があったのは、交直切り替え機能などで制御回線に余裕がなく、抑速ブレーキ追加にジャンパ栓の追加が必要であった交直流急行型との混同があったためである。
上記のサロ163も制御回線自体はサロ165と変わらず、寒地対策を省略されたサロ152の増備的性格として製造されたといってよく実質的に寒冷地対策を省略されたことと形式以外ほとんど差異はないため、影の薄い車であった。