概要
元ヤクザが率いる草野球のメンバー達がとあるきっかけで地元ヤクザと喧嘩となり、その抗争を描いた物語である。
本作の特徴はbgmや効果音が一切無く、具体的な説明もなく淡々と物語が進む為、セリフも極端に少ない。
そもそも、タイトルの3-4X10月というのは前半の「3-4X」は劇中の草野球の試合で、"3-4x"と表示されたスコアボードに由来する。「10月」は本来10月に公開予定だったために付加されたが、諸事情で公開が伸び実際の公開が9月になったため、実質的に意味がなくなってしまった。
前作の「その男、凶暴につき」に続いて監督北野武として二作目の映画で脚本も本作からたけしが手がけるようになりその後に至る。
前作で主演を務めたビートたけしは今作では脇役で出演し、代わりに主演はたけしの弟子でもあるたけし軍団メンバーの一人の柳憂怜が起用された。その理由はたけし曰く柳はメンバーの中でもあまり目立たず、キャラも薄かった為、本作のテーマにピッタリだからだったとのこと。その為、メインキャスティングにおいては、元プロボクサーチャンピオンの渡嘉敷勝男やたけし軍団をメインに据えている。
後に柳自身はこの映画がきっかけで俳優としての才能が芽生え、芸人よりも役者としての活動が増えていった。
興行的には、邦画系100館以上という規模で公開したものの、前作には遠く及ばずその年の映画ランキングにもノミネートされない程まで惨敗した。
ストーリー
草野球チームに所属しているガソリンスタンド店員・雅樹は、ふとしたことから大友組のチンピラと職場で衝突する。チームの監督で元大友組幹部の井口が事態の収拾に動くが、井口の行き過ぎた行動が故に幹部の武藤が重症を負い、その報復として井口は大友組から襲撃されてしまう。やがてチームと大友組との本格的な抗争に発展し、雅樹はチームメイトとともに沖縄へ拳銃を入手するため旅立つ。沖縄にたどり着いた雅樹と和男はヤクザの上原と玉城と出会う。上原達は組の金を使い込んでしまい組員全員から敵視されており、上原自身も組に反感を抱いていた。翌日、雅樹と和男は上原達と共に駐屯していたアメリカ兵から銃を購入する。上原は銃の半分を雅樹達に残し、去っていった。そして上原達は組の事務所に乗り込み、組員全員一人残らず射殺した。一方、雅樹達は空港で銃を隠しながら帰りの便を待っていた。そこへ玉城が現れ、世話になった礼として大量の金が入ったカバンを渡し帰っていった。だが、そこへ生き残った組員に捕まり、報復として上原と玉城は殺されてしまう。何とか空港の警備を潜り抜き、東京に戻った雅樹達はその足で大友組の事務所へ殴り込むが、拳銃の使い方が分からなかった為、襲撃に失敗し逆に返り討ちに遭いボロボロにされてしまう。その夜、雅樹は彼女のサヤカと共にガソリンスタンドのタンクローリーを奪い、再び事務所へ向かう。そして、タンクローリーごと事務所に突っ込み、事務所は大爆発する。
…という想像を抱きながら、今日も草野球に励む雅樹の姿があった。
評価
結果的には興行に失敗はしたものの批評家の評価は高く、批評家の森直人は「目に激しく焼きつく構図が頻出する映像にはドラッギーな幻覚性が満ち、批評家はゴダールや大島渚と頻繁に比較し後に訪れるフランスでの熱狂的評価につながった」という見解を示し、絶賛していた。
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