概要
AthlonはAMDが開発したCPUで、IntelのPentiumに対抗するために1999年から投入され、2007年のPhenom登場までAMDの看板商品であり続けた。
また、ブランド自体が廃止されていた時期もあったが、現在は復活している。
一口に「Athlon」といっても時期によって設計が全く異なるので、何を指しているか注意が必要である。自作PCユーザーなどは、コードネームやブランド名(『Athlon XP』や『Athlon 64』など)で世代を呼び分けている。
K7マイクロアーキテクチャ
Athlon
コードネームK7(Argon)/K75(Pluto/Orion)/K76/Thunderbird。初代。
IntelのPentiumとクロック競争を演じ、こちらが先に1GHzに到達することで勝利した。しかし、晩年に発売された高クロック製品は消費電力と発熱が酷く、注意して取り扱わないとCPUにダメージを与えてしまうため、日本では「焼き鳥」などと揶揄された。
Athlon XP
コードネームCorvette/Palomino/Mustang/Thoroughbred/Barton/Thorton。
新たにQuantiSpeedアーキテクチャを採用し、性能を大幅に向上させたAthlon。
日本での発表会にて、「Athlon XPの“XP”は eXtreme Performance の略だ。Windows XP とも親和性が高い。」と述べられたため、名称はWindowsXPを意識していると思われる。
それまで主流であった動作クロック周波数の表記を止め、モデルナンバーという性能指標での表記を導入した。
Athlon MP
SMP対応版のAthlon XP。Smart MPを搭載する点以外の製品仕様は、Athlon XPとほぼ同仕様。
K8マイクロアーキテクチャ
Athlon 64
コードネームClawhammer/Newcastle/Winchester/Venice/San Diego/Orleans/Lima。
新たにK8アーキテクチャを採用したAthlon。64ビット命令対応のAMD64を搭載した。
クロック数の向上は最小限に留め、クロックあたりの性能向上を重視した。その結果、とにかくクロック数の上昇を目指して爆熱になったPentium4からシェアを獲得することに成功した。
上位製品の販売開始後は『Athlon』に改称して販売を継続した。AMD64が非搭載になったわけではない。
Athlon 64 X2
コードネームToledo/Manchester/Windsor/Brisbane。Athlon 64のデュアルコア版として2005年に誕生。
低発熱・低消費電力・高性能といったAthlon 64の長所を受け継いだことで発売当初は高い評価を得ることに成功し、PentiumDとの競合で優位に立った。しかし、2006年にCore2が発売されると立場が逆転し、値下げも遅れたためCore2にシェアを奪われてしまった。
上位製品の販売開始後は『Athlon X2』に改称して販売を継続した。AMD64が非搭載になったわけではない。
K10マイクロアーキテクチャ
Athlon X2
コードネームKuma。元々は『Phenom X2』が発売される予定だったが、出荷直前に開発中止となり、代わりに本製品が発表された。
Athlon II
Phenom IIの廉価版であり、Athlonで初めてクアッドコア・トリプルコア製品が発売された。
Athlon(2013年以降)
Phenom II・Athlon IIの出荷終了後は新たに『FX』がメインストリーム製品となり、Athlonは一度廃止された。しかし、2013年に『Athlon X4』を発売したことで、ブランドが復活した。
2017年にRyzenが発売されると、『Athlon』に改称され、現在はRyzenの廉価版となっている。