概要
2010年代初頭のAMDはIntelのCoreシリーズに大苦戦しており、Phenomシリーズで何とか食いついていたものの、決定力に欠ける状態であった。
そこで打倒Intelを掲げて送り込まれた刺客がこのFXである。
特徴
打倒Intelのため、様々な新機構を導入している。
- 32nmプロセスを採用
- 新たに設計されたBulldozerアーキテクチャを採用
- 2基の整数演算ユニットが1基のFPUを共有する構成
- 最大8コア搭載(ライバルのIntelのメインストリーム製品は最大4コア)
- Maxターボで4.5GHz、第2世代製品では5.0GHzまでクロックアップ
しかし…
こうしてIntel絶対殺すマンとして誕生したFXシリーズだが、8コアも搭載しといてIntel4コアに敗北したり、5.0GHzも出るくせに3.9GHz動作のIntelにシングル性能で大差つけられたり、IntelはTDP(PL1の数値であり、ターボ動作時はもっと上昇)が100W以下なのにFXは最大で220Wも消費する等、とても完成度が高いとは言えないものであった。
当時のベンチマーク
初期製品はTDP125Wと比較的良心的(?)だがIntelの同時期製品にシングル・マルチ共に敗北している。最終製品はTDP220WのバケモノだがIntelの同時期製品はもちろん、1年前の製品にもシングル・マルチ共に敗北している。
何なら同一コア・同一クロックで比較した場合、前世代のPhenom Ⅱにも負けるという有様であった。
その後
この敗北によってAMDはしばらくの間自作PC界隈での競争力を失い、2017年にRyzenを発売するまでの間、最大4コアの下位製品であるAPUを細々と出すに留まった。