SIG P250は、Sauer & Sohnが2004年に発表した公的機関向けの自動式拳銃。
製造・販売は同社の米国法人である。
概要
SIG P220から長らく続いたダブルアクション/シングルアクション兼用のコンベンショナルアクションを廃止して、完全なダブアクションオンリー(DAO)とした銃である。
このため、ハンマーをコックした状態で保つ事が出来なくなり、これまでの SIG Sauer&Sohnの自動式拳銃にあったデコッキングレバーが無くなった。
部品数は50点を下回ると云われ、撃発機構がユニット化されるなど、全体的に設計は簡素を旨としながらも、部品類の仕上げや性能は良好と評されている。
弾薬は、9mmパラベラム弾(9×19mm弾)、.40S&W弾、.357SIG弾、.45ACP弾など。部品の組み換えで1丁の銃で複数の弾薬が使用できる。
フレーム
フレームはGlock やSIG Proシリーズと同様にポリマー製のフレームである。
トリガー及びハンマーとその他撃発機構関連の部品を纏めたトリガーメカニズムは、『ファイアー・コントロール・ユニット』(以下トリガーユニット)と呼ばれてユニット化がなされており、フレームやスライド、使用する弾薬の変更に関わらず同じトリガーユニットが使用できる。
米国での販売登録はトリガーユニットで行われるため、フレームや使用する弾薬を追加・変更しても、基本的に手続きや届け出は不要である。(メーカーでは公的手続きの際には、トリガーユニットを「フレーム」。一般的な拳銃のフレームに当たる部分を「グリップ・モジュール」と呼んでいるが、本項ではこの限りでは無い)
バリエーション
基本的なサイズであるP250フルサイズと、やや小型化されたP250コンパクト、最も小型のP250サブコンパクトの3種類。
装弾数は次のとおり。
- P250 フルサイズ
9x19mm弾 - 17+1発
.45ACP弾 - 10+1発
.357SIG弾・.40S&W弾 - 14+1発
- P250 コンパクト
9x19mm弾 - 15+1発
.45ACP弾 - 9+1発
.380ACP弾 - 15+1発
.357SIG弾・.40S&W弾 - 13+1発
- P250 サブコンパクト
9x19mm弾 - 12+1発
.45ACP弾 - 6+1発
.357SIG弾・.40S&W弾 - 10+1発
表にある弾薬はすべて、部品の組み換えのみで同じ銃から発砲できるほか、トリガーユニット以外の殆どの部品を組み替えれば、例えばP250フルサイズからP250サブコンパクト仕様とすることも可能である。
但し、.45ACP弾を使用する場合のみ、それぞれ専用のフレーム(グリップ・モジュール)が必要。他の3種類は共通である。
ユーザー
オランダ及び香港の警察で使用されているほか、アメリカでは連邦航空保安局で制式となっている。
一方で、アメリカの他の機関や陸軍では、更に後にデビューしたP320を採用したり、或いはそれに近い要求仕様が公開されているとか。