本当の“死”は、すべてが止まる。
概要
アイテム番号:SCP-2935
メタタイトル:あゝ死よ(O, Death)
収容クラス:Keter
撹乱クラス:5/Amida
リスククラス:2/Caution
SCP-2935とは、シェアード・ワールド「SCP_Foundation」に登場するオブジェクトの一つであり、一応収容されている状態にある。
アメリカのインディアナ州にある鍾乳洞に発生している時空間異常。
こういった時空間異常のSCPはマジの異世界が広がっていることが多いものの、SCP-2935はある一つの点を除けば我々のいる地球とまったく同じ世界である。
そしてその異なる点というのが、全ての生命が死亡していること。
この現象は生物だけに留まらず、コンピューターなどの電子機器、果てにはSCPまでも当てはまる。
経緯
このオブジェクトが(一応)収容に至った経緯については、2016年に財団の職員が謎の無線信号を探知し、調査を行ったところSCP-2935が発見された。当初はSCPと認識されていなかったもののSCP-2935内の財団からのメッセージによりSCP認定された。
財団は調査のために機動部隊を派遣。以降探索任務が行われることとなった。
調査任務1
最初の任務はSCP-2935の周りの環境の調査及びサンプルの入手。
近くの家に入った彼らが見たものは、一切腐敗していない死体だった。また、サンプルを入手したところ、微生物さえも死亡していることが明らかとなった。
調査任務2
次に調査班はこちらの世界にある財団のサイト-81の調査を行った。
この時暗号化された警報が発生から5日後に手動で入力されていたことから、こちらに送られてきた通信も生き延びた誰かが送ってきたものだということが判明した。
その後調査を続けているとエージェント・ケラーが別世界の自分の死体を発見した。ただし不可解なことにこの死体のみ腐敗が進んでいたという。
そしてこの際に、エージェントの一人があるSCPがこの施設に収容されていることを思い出し、そのSCPがいるであろう収容棟に飛び込んだ。
ドアの奥にあったのは、酸のタンクが入った鋼鉄のコンテナ。
そしてその奥には――――
SCP-682「不死身の爬虫類」の死体が、そこにはあった。
調査任務3
その後調査班はサイト-19に移動したが、やはりサイト-81と同様に全てのものが死に絶えていた。SCP-173は目を離しても襲ってくることはなく、SCP-079も完全に沈黙していた。
そして財団きっての問題児、ブライト博士ことSCP-963も反応が無かった。もっとも本人にとって望んでいたことではあったが。
しかしその後調査班は電力コアルームに閉じ込められ、その後緊急違反プロトコルの作動により核弾頭が起爆。以降調査班との通信が途絶えてしまう。
この任務と並行して行われた自動ドローンの飛行では、エージェント・ケラーがサンプル等をドローンに積み込んだ後に懺悔と取れる言葉を残し、サイトに戻っていく様子がカメラに映っていた。
真相
回収したサンプルによると、どうやらこの不可解な現象は全世界で同時に起こったことだということが明らかとなった。
また、サイト-81で見つかった警報を調べたところ、この謎の現象に関する重要な証拠となる音声記録が発見された。
それによると記録を残した「彼」はこちらの世界の財団と同じく突如届いた謎の無線信号を調査するために、鍾乳洞にできた謎の空間に入り、全てが死に絶えた世界を調査していた。
だが、彼が元の世界に戻ったときに悲劇は起こった。
彼を除いた全ての生命が死んでしまったのである。
彼はこれを向こうの世界にいた「死」そのものを連れ込んでしまったと考えており、唯一「死」を連れてきたキャリア(保菌者)となり、生き残った彼も音声記録を残して自殺した。
その「彼」こそが、死体が腐敗していない世界において、唯一体内の微生物が生きていたことで死体が腐敗していたエージェント・ケラーだったのだ。
SCP-2935の正体は言うなれば「平行世界を何かを媒体に移動する死の概念」である。
あちらの世界のエージェント・ケラーは自分の世界にSCP-2935の恐ろしさについて伝えようとしたのだろう。しかし逆にそれが自分の世界を滅ぼすことにつながってしまった。
おそらく調査班のメンバーはこのことを知り、自分たちがこのまま戻ればこの世界と同じように全てが死に絶えてしまうことに気づいたのだろう。
だからこそ核弾頭を起爆させ、これ以上被害が広がらないように全員命を絶ったのである。
記事の最後にある、エージェント・ケラーがサイト-81で発見した、暗号化済の保安警報。復号化によって、音声記録ファイルが隠されていた事が判明する。
そこに残されていたのは……
多分、俺です。俺が原因です。俺は多分…“死”になった。もし、それがあの洞窟の中にいて、俺がそいつを持ち帰ってしまったのなら、もう俺は死です。
俺は…収容室に立て籠もって、このクソ忌々しいドアを目詰まりさせました。今から眉間に銃弾をブチ込むつもりです。他の皆が死んでしまったんだ、一つぐらい増えたってどうってことないでしょう?
ただね、ふと思ったんです…もし誰かがこれを聞いているのなら…
貴方もきっと、死になってます。