概要
アイテム番号:SCP-516
オブジェクトクラス:Safe
SCP財団が管理するSCPオブジェクトの一つ。通称「利口戦車」。
異常性を秘めたT-55主力戦車。かつては実戦にも投入されていたため、当時の生々しい傷跡が至る所に見られる。元々はスクラップ廃棄の運命にあったが、確認ミスでたまたま砲塔に弾薬が残っていたために解体直前に後述する異常性を発揮して窮地を逃れ、その後財団に確保された。
この戦車の持つ異常性は、射程範囲内に存在する自分の脅威となる可能性を持つものを自分で判断し、自動的に砲撃するというもの。明らかに旧式の戦車なのに、近代のハイテク軍用機でもなかなか難しい機能を実装してしまっている。解体寸前に異常性を発揮したのは、その解体作業を自身への脅威として認識したためと思われる。
ただし、「砲撃」を行うためには「砲弾」が必要。汎用性のある100mm砲弾が装填されていない場合は異常性が発揮されない。
非常に面白い事に、「脅威」が比較的近くに存在しても「合理的に効果が無い」もしくは「砲撃する必要は無い」と判断すると砲撃を中断する。例えば戦闘機が飛行していたとしても、射程範囲外を横切る程度であれば全く反応しない。
人間が徒手空拳で挑んできても、SCP-516にとっては脅威にはならないので基本的には無反応である。しかし、武装した人間が射程内で攻撃の意思を見せた場合は話が別。たとえ戦車相手には効果が薄いであろう武装であっても見逃してはくれない。隠し持っている武器にもしっかり反応するため、防衛システムの一種としての利用も検討されている。また、武装した人間と非武装の人間が隣接していた場合は、SCP-516は明後日の方向へ向けて砲撃を行い、爆裂した砲弾の破片や爆風などを利用するなどして非武装の人間への被害を最低限に抑えた上で武装した人間に致命傷を与えられる攻撃を行う。
さらに、手動操作であれば自由に砲撃対象を選べるが、それでも無防備な人間を傷付ける事だけは「嫌う」。非武装員に向けて砲塔を向けると、たとえ直前の整備では異常が見られなかったとしても必ず弾詰まりを起こす。戦車でありながら結構平和主義なヤツなのだ(仮にも「兵器」なので性格があるわけではないはずだが)。ちなみにSCP-978で撮影してみたところ、出力された写真では草原の木陰に佇み、砲塔は小鳥の休憩所と化し、車体の上には様々な花が咲き乱れていたという。
ただし、非武装であっても軍事経験がある人間に対しては攻撃性を見せるケースがあり、その判断基準にはまだ不明な点が見られる。このような点から一部ではクラス:Euclidへの引き上げを検討する声も上がっている。また、財団の実験にてとある博士が指示を出した際に書面では書き記せないような事態を引き起こしたケースもあるらしい。
なお、上述した砲撃が最大にして唯一の異常性であり、その他の武装については一切異常性が確認されていない。また、砲塔部分は現役時代のメンテナンスなどで何度か交換されているが、その度に異常性を再発させているため、異常性の根源は砲塔ではなくSCP-516本体にあると考えられている。