作品解説
「伝説巨神イデオン」放送終了後、1982年7月10日に公開された劇場版『THE IDEON/接触篇』『THE IDEON/発動篇』の2作の事。
『イデオン』が打ち切り終了したことで唐突にイデが発動し、登場人物が全員死亡する形で完結してしまったことで、スタッフや視聴者の間でも本当の結末を何らかの形で発表することを望まれた為製作が決定した。
テレビシリーズの総集編である「接触篇」と最終回の完全版「発動篇」の二部作からなり、双方合わせて3時間越えの超大作となる。
当初は『機動戦士ガンダム』の劇場版と同様に複数に分けての公開も考えられていたが、興行不振で「発動編」を制作できない事態になる恐れを考慮し、一本にまとめられた。
『発動篇』の製作を優先したため、『接触篇』はストーリーの流れよりも作画クオリティを重視して主にキャラクターデザインの湖川友謙が担当した回を中心にセレクトされている。総監督の富野由悠季はこれについて「起承転結の“承”の部分がないので、劇作としては0点」と評している(しかし、後に「こんなすごい映画とは思わなかった!」とも)。
「皆殺しの富野」と呼ばれる監督の作品らしく、各種キャラクターはテレビシリーズとは異なる凄惨な死を迎え、老若男女問わず徹底した人体破壊描写が行われた。
宇宙に転生する霊的な大団円では、キャラ達を服を着た状態ではなくオールヌードで演出されたことが話題となった。
富野監督はこれほど作り手がやりたい放題できたのは、打ち切りが逆に良い踏み台となって映画として完結させることができた作品的な幸運に恵まれたからだと述懐している。しかし、ファン達や周囲の後押しもあったとはいえ、自分たちの創作欲求を満たすために、半ば作品を利用する形になってしまったことには思うところはあったようで、「怪作であることは間違いなく、あのような映画作りこそ、僕も湖川ももうやってはいけないことだ」と自戒の意を述べている。
全人類が滅亡するラストについて富野は「『禁じ手』を使ってしまったのかもしれない」と語っている。