概要
"The Backrooms"(ザ・バックルームズ)とは海外の都市伝説にあたるCreepypastaの一つであり、その中で登場する場所の呼び名である。
2019年に英語圏の掲示板サイト4chanに投稿された、メインイラストのような無人の部屋の画像に対する返信コメントによって創作された。
“Backrooms”を直訳すると「奥の部屋」となるが、この場合は3Dコンピューターゲームにおけるnocip(※ここでは「地形判定無効」というような意味)により入り込める、本来「ない」はずのエリア、プレイヤーが認識できないはずのエリアというような意味合いであり、現実世界において(意図しない)noclipにより「世界のBackrooms」に迷い込んでしまった…という設定である。
また、Backroomsに関連して、建物の内部の廊下やロビー、何もない部屋といった、人工的・閉鎖的でどこか懐かしさと同時に孤独と不気味さを感じさせる空間を表す『liminalspace』というmemeも流行している。
ちなみに、もととなる黄色い部屋の画像の元ネタは、2002年ごろにアメリカの大手おもちゃチェーン店“HobbyTown USA”のオシュコシュ店(ウィスコンシン州)のブログに投稿されていたもので、開店にあたり、いわゆる居抜き店舗を改装する様子を写した中の一枚である。
Backroomsが流行りだした2019年5月にはあるツイッターユーザーによってすでに特定されていたようだが当時はあまり話題にならず、2024年5月になってツイートが発見される形で広く知られるようになった。
内容
「もしあなたがうっかり間違った場所で現実から抜け出してしまうと、BackRoomsに落ちてしまうでしょう。」
「そこは、古いカーペットの匂いのする狂気的な黄色に彩られた空間で蛍光灯のノイズが響き、
約15億平方キロメートルに渡って何もない部屋が広がっています。」
「もしあなたが近くで何か物音を聞いたのなら、神に祈ってください。」
「その音は地獄があなたの存在を聞きつけた音でしょう。」
二次創作・派生作品
上記のオリジナルを元に、「複数のレベルの存在」や「部屋の中で遭遇する敵対する"エンティティ"(超常的存在)」などの様々な二次創作設定が作られている。また、この題材を元にゲームや短編映画など様々な形でこの異次元の迷宮が表現されている。
短編作品 "The Backrooms (Found Footage)"
2022年、当時16歳の"Kane Pixels"が制作した動画作品。
本作品を始めに、Backroomsを見つけた研究機関"Async"といった独自の要素を持つシリーズが続いている。
元ネタの都合上、動画作品として扱いやすいというメリットがあり、このシリーズ以外にも数多くの動画作品が日夜生み出されている。
The Backrooms Wiki (Fandom)
俗に言う「Fandom版Backrooms」。自由度の高い創作が成されているが、その分品質の悪い記事も少なくないとされる。
時系列的には後述のWikidot版より先に成立している。
The Backrooms Wiki (Wikidot)
俗に言う「Wikidot版Backrooms」。Fandom版より秩序立ったWikiの構築を掲げており、SCP Foundationばりの評価システムが導入されている。
Fandom版からWikidot版へ、又はWikidot版からFandom版へと逆輸入される要素も珍しくない。
日本語版Backrooms Wiki(Fandom/Wikidot)
2つは姉妹Wikiとなっている。全体的な概要は各英語版のWikiに準ずるものの、どちらも英語版以上にリミナル性を重視する方針で運営されている。
それに伴い下記のアイテムやエンティティが登場しない(というよりも存在がぼかされている)という特徴を持つ。…だが性質は違えどアーモンドウォーターだけはバッチリ登場している。
それぞれの空気感は英語版と多少似ており、FandomではWikidotに比べてある程度自由度の高い創作が許容されている。
但しそれはあくまで双方のルールや方針による線引きの箇所が違うだけで、単純に「Fandomは緩めでWikidotは厳しめ」という訳ではなく、それぞれの自由と縛りが存在する。
どちらも日々新たな著者・著作を増やしており、Wikidotは2023年、Fandomは2024年からコンテストも開催される様になる等、発展の様子を見せている。
Escape The Backrooms
動画作品と同じく、数多く生み出されているBackroomsのゲームの一つ。
ベースはFandom版だが、Level0の一部等にはKane Pixelsの要素も取り込まれている。
現在も開発中であり、登場レベルも着々と増えている。下記の動画は開発者の進捗報告。
Zundarooms
Youtube及びニコニコ動画に投稿されている、Backroomsを題材とした大長編VOICEROID劇場。
魔理沙はBackroomsに迷い込んでしまったようです
Zundaroomsと同様、Backroomsを題材とした物語。総集編も出されている。
共通用語
レベル(Level)
別名「階層」とも。Backrooms内の個々の空間で、広さや性質は千差万別である。
Kane PixelsのBackroomsでは、この概念は存在しないとされる。
日本語Fandom版では「η 階層」、日本語Wikidot版では「N 階層」がそれぞれ独自に創作されている(所謂SCP-xxx-JPのようなもの)。
エンティティ(Entity)
Backroomsに生息する怪物。多くは人間に敵対的で、迷い込んだ者達の脅威となっている。生息レベルも様々で、殆どのレベルで見られるものから、ごく限られたレベルにしか生息しないものまでいる。
アーモンドウォーター
Backrooms内での安全な物資。美味しく体力回復になる飲料だが、アーモンドウォーターとわざわざ明記されないため慎重に判別しなければならない。
一部作品では、正気を維持できたり傷を治したりといった万能アイテム扱いされたりもする。
サバイバル難易度(Survival difficulty)
そのレベルの環境がどの程度危険かを表す指標。
最も安全なクラス1から最も危険なクラス5に振り分けられる。
別に低レベルだからといって安全とは限らない。例としてはLevel8やLevel9がWikidot版では最高位のクラス5指定(Fandom版だとLevel9が5では無いがそれでも次点のクラス4)。
また「エンティティも危ない現象もないから安全」というだけで、行っても特に恩恵が無いレベルもある(逆に危険ではあるが、それに見合っただけの資源が存在するレベルもある)。
その他の用語
Frontrooms
Backroomsと対を成す空間。要するに今我々が居る「現実世界」。地球だけではなく、地球が存在する次元の事である。
関連イラスト
関連動画
THEつぶろによる考察
関連タグ
インザバックルーム:このコンテンツをモチーフにしたと思われる楽曲。
きさらぎ駅:こちらは日本で先に生まれた、ひょんな事から迷い込んでしまう異次元。Backroomsのことを「海外版きさらぎ駅」と紹介する記事がある他、日本語版Fandom Wikiでは日本製レベル(Level η)群の一つに組み込まれている。