※この記事は呪術廻戦16巻部分に関するネタバレを含みます。
概要
2021年1月4日発売の週刊少年ジャンプ2021年5・6号合併号及び、単行本16巻に掲載された『呪術廻戦』第134話「渋谷事変(51)」で脹相が発した迷台詞。
この台詞に至る経緯
第106話「渋谷事変(24)」で虎杖悠仁を殺そうとした脹相は、その瞬間に『虎杖が自分の大事な弟である』という存在しない記憶が脳内に溢れ出し、混乱したままその場を立ち去る。
そして、この台詞が登場する前の回である第133話「渋谷事変(50)」で駅のホームで引き続き存在しない記憶に襲われていた脹相は「虎杖悠仁。オマエは・・・何者だ」とシリアスムーブでその場を去った。
それからしばし一人問答していた脹相は、自分達呪胎九相図の「血の繋がった弟達の異変は、どれほど遠くにいようと感じ取れる」という特性を思い出し、
「この記憶は虎杖の「異変」(今際の際)を自身が間近で強烈に感じ取ってしまったことによるもので、それが起こったということはつまり虎杖は血の繋がった『弟』なのだ」と考えるに至る。
そして第134話。
虎杖たちの前に現れた脹相は偽夏油を改めて目視し、結果として虎杖が自分の血縁関係、それも事実上兄弟同然の存在であること、偽夏油が全てを知った上で黙っていた事、その正体を確信する。
「よくも……よくも俺に!!虎杖を!!弟を!!殺させようとしたな!!」と偽夏油に詰め寄ろうとする脹相だが、割って入ってきた裏梅に「引っ込め三下」と阻まれる。それに対して激高した彼が発した台詞がこれである。
反響
この台詞自体は、数多くのネタ台詞がそうであるように、時と場合がかみ合えばそこまでおかしいものではない。
実際、脹相の身に立って考えてみれば、呪霊とも人間ともつかない存在として生まれ、下手をすれば呪術師からは生まれた時から存在するだけで命を狙われる立場にあり、血のつながった兄弟だけが唯一のよりどころであった。
しかしそれを裏切るように、偽夏油の正体がかつて自身の母を弄び、自分やその弟たちを生み出した仇同然の存在だったこと、唯一のよりどころであるはずの兄弟同士で殺し合いを強いられていたことが同時に発覚したのである。
その上で「仇敵が弟を窮地に追いやっているのを黙って見ていることはできない」という焦りから放った言葉としてみれば、文脈としては何のおかしさもない。
問題は、この台詞が発されている時と場合がかみ合っていないことにある。
まず、脹相自身は確かな(そして、正しい)根拠をもって虎杖のことを弟として認識している。一方で虎杖からすれば、つい先ほどまで殺し合いをしていた相手がいきなり「自身の兄」を名乗って仲間割れを始めたのである。
加えて、これを言われた裏梅は「脹相がたった今虎杖との兄弟関係に気づいた」ということを知らない。彼女からすれば、脹相が虎杖の兄であったとして、それを根拠に自分の前に立ちはだかられても「だからどうした」としか言いようがない(元々、虎杖と敵対することは脹相含め陣営全員が事前に知っているはずである)。
つまり脹相以外の人間にしてみれば、話に必要な段階を二、三段階すっ飛ばされて訳のわからないことを言われているのである。
さらに、読者からすれば脹相は「主人公と敵対しつつも精神的な負荷により戦線を離脱し、ようやく戦線に復帰した強敵」でしかない。
そんな中「いきなり主人公の『お兄ちゃん』を名乗って味方として戦い、しかも善戦する」という王道の熱い展開の様でありながら、何かが致命的にズレたよくわからない展開を見せられることになっている。どけ!!!
上記の要因に加えて更に、
- これを発した脹相の表情があまりにもヤバかったこと(アニメでは脹相役の浪川氏の迫真の演技と細かなアクションが追加された結果、脹相のブチギレ具合が増している)
- 台詞がよりにもよって「兄」ではなくて「お兄ちゃん」であること
- 一話前まで存在しない記憶に抵抗していたのに今回完落ちしていたこと
- あろうことかこの台詞が134話の締めとなったこと
ーーー以上の理由から、前回までのシリアスムーブと違って半分ギャグに足を突っ込んでいるとして話題となった。
この回での脹相は、兄堕ちや兄を名乗る不審者などと呼ばれたりした。
アニメの虎杖vs脹相戦後のラジオでこの回のアフレコ収録に関してネタバレになる為隠しながらも浪川氏が「ちょっと面白シーンが」「でも真剣にやってるんで!」と明かすなど収録現場でもギャグシーン的な扱いがされていた。
そしてまさかの…
呪術廻戦LINEスタンプ第7段で、なんと脹相のこのシーンが確認された。