シグムンド(Sigmund)とは北欧神話およびゲルマンの叙事詩に登場する英雄。
表記ゆれ、及び派生した名前としてシグムント、ジギスムント、ジークムントなどがある。
上記をモチーフとした、あるいは名前を引用したキャラクターとして以下がある。
- ゲーム『斬撃のREGINLEIV』の登場人物。
- アニメ『聖闘士星矢 黄金魂』の登場人物。→グラニルのシグムンド
北欧神話およびゲルマンの叙事詩のシグムンド
北欧神話およびゲルマンの叙事詩に登場する英雄。英雄ヴォルスングとフリョーズの息子で、英雄シグルズ(シグルド)の父としても知られている。
ヴォルスングとフリョーズの間には10人の息子があり、シグムンドはこの中の長男となる。またシグムンドには双子の妹シグニュー(シグニュ)がおり、この双子はヴォルスングの子らの中で特に美しく、優れていたとされる。
成人の日にヴォルスングの館付近に聳えるバルンストックと呼ばれる林檎の木にオーディンが魔剣(後のグラム)を突き刺して抜く事が出来たものに与えると言うので、その場に居合わせた男性達が試しに剣を抜こうとするが、誰も抜く事は出来ず、最後に残ったシグムンドだけがグラムを抜く事ができたという。
その剣の美しさに魅入られたガウトランド王シゲイルが剣の重さの3倍の黄金で剣を買い取ると申し出たが、シグムンドはこの剣はヴォルスング一族に相応しいものとしてこれを断る。これにはシゲイルも激怒し、非礼の詫びと称してヴォルスング一族の殺害を企て、ヴォルスングは戦士、兄弟達は狼に食われて処刑された。
この中でただ一人生き残ったシグムンドはシグニューの使いに蜂蜜を塗らせ、狼が来るのを待った。蜂蜜を舐めようと狼が舌を出した隙を狙い、狼の舌を噛み切って殺してしまったのである。
王に悟られないように、森の隠れ家で彼は共にシゲイルへの復讐計画を練っており、シゲイルとシグニューの間に生まれた息子を復讐に利用しようと試みるが、適正なしと見て殺害した(※1)。
次に彼は魔法使いに化けたシグニューとの間に成したシンフィヨトリという子を育成しようと森の狼よろしく、山賊となって旅人を襲っては金品を強奪する生活に身を置いた(※2)。
ある時、シンフィヨトリが偶々遊びに出ていたシゲイルの息子たちを殺した事からシゲイル一味に捕らえられてしまう。親子は石で区切られた塚の中に閉じ込められて生き埋めとなるが、シグニューがこっそりと手配した食料の中に刀剣があり、それを使って彼らは塚からの脱出に成功した。
シグニューは魔法使いの正体が自分であることを明かして、シゲイル王の館に火を付けて自害する道を選んだ。こうしてヴォルスング一族の復讐は完遂したのである。
帰国したシグムンドは王に返り咲き、ボルグヒルドという女性を妃に迎え、ヘルギとハームンドという息子を儲ける。
しかし、ボルグヒルドの弟がシンフィヨトリの恋敵であった事からシンフィヨトリは毒殺されてしまう(※3)。
シンフィヨトリの遺体は渡し守に変身したオーディンによって持ち去られた。悲しみの余り、シグムンドはボルグヒルドを追放の刑に処した。
晩年のシグムンドはエイリミ王の娘であるヒョルディースと出会い、彼女からの推薦もあって結婚する事に。
しかし、これを快く思わない求婚者リュングヴィと熾烈な争いを繰り広げる事となる。運命の女神ノルンの加護と魔剣の力により、当初こそ優勢であったが、オーディンが現れて魔剣を叩き割るとシグムンドはあえなく戦死してしまった。
ヒョルディースはシグムンドの子を身ごもっており、この子こそ、後の北欧の大英雄シグルドである。
(※1)その適性を測る方法だが、小麦粉の袋に生き物が入っていたらどのような反応をするかというもの。シゲイルの子は小麦粉の袋に生き物が入っていた事が気にかかってパンが焼けなかった為に殺され、シンフィヨトリは小麦粉の袋に毒蛇が入っていても気にせずにパンを焼いた豪胆さが合格の決め手となった。
(※2)この時期に、呪われた狼の毛皮を被ってしまった親子は人狼と化してしまうが、オーディンの遣わしたカラスの持ってきた薬草によって元に戻ったという。
(※3)ボルグヒルドに毒酒を盛られている事に気づいたシグムンドだったが、泥酔していた為に息子にうっかり「髭で濾して飲め!」と言ってしまった。
『斬撃のREGINLEIV』のシグムンド
CV:中井和哉
ゲーム『斬撃のREGINLEIV』の登場人物。
北方の4つの村を支配している北方の森の民ヴェルズング一族の若き長である。
子供の頃から機敏で頭も切れていたので一族の将来を背負う事を期待されており、弓と剣を父シグルスから叩き込まれ、狩猟の腕もベテランが舌を巻く程となった。
誇り高い戦士であり、勇猛果敢で無鉄砲ともいえる行動も目立つが、巨神と戦うために民が一丸となる必要性をいち早く理解し、フレイたちの正体に気づくなど優れた洞察力も持ち合わせている。
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