CV.中尾隆聖(角川映画版)
人物
『狂乱の貴公子』の二つ名を持つ、惑星ボォスのカステポー地方出身の天才騎士。
当初は何処にも属さない傭兵騎士として活動していたが、星団暦2995年に三代目黒騎士となり、その後いかなる経緯か、星団暦3010年にバッハトマ魔導帝国筆頭騎士兼バッハトマ黒騎士団団長として姿を表わす。
品性下劣且つエキセントリックな言動の変態奇人騎士で、人差し指からの真空刃だけで相手に斬りつける「ストラトブレード」(七音剣)という暗殺剣を得意とする。
ねじ曲がった趣味嗜好を持ち、殺人を屁とも思わないなど性格にやや難ありだが、歪んではいるもののその信念と意志は確固たるものであり、騎士としての腕前は超一流。
本人曰く、「ボクちんのシリアス顔は1ページしか保たない」らしい。愛称は「凸助」。
私服のファッションはかなりお洒落。
連載最初期から活躍しているキャラの一人であり、第一話で自分に箔を付けようとした悪徳領主ユーバー・バラダに彼の甥として金で雇われてトローラ・ロージンと共に出てきたのが初登場。
この時は主人公レディオス・ソープとラキシスが乗り込んだMHナイト・オブ・ゴールドとの対決で、一瞬で乗騎MHデヴォンシャを破壊されて敗北してしまったが、ぶっちゃけ『ファイブスター物語』という作品における『絶対者(神)』たるこの究極トリオを相手に「ケガだけで済んでいる」ということ自体が、デコースの超絶的な実力を物語っている(実際、同様に瞬殺されたトローラは死亡している)。
バッハトマ騎士団を率いて参加した3030年の魔導大戦では、血気盛んで武功を挙げようと焦りがちな若い部下達への気配りも行き届いており、力のある者をきちんと認めてその面倒を看るなど、野戦指揮官としてはもちろん、剣指南役としても有能な面を見せる。
また、ベイジ侵攻戦でミース・シルバーが、彼女の愛していたカイエンの仇であるはずのデコースらバッハトマ軍に対しても中立的な立場であるマイトとして私情を挟むこと無く治療を行っていたことについて、「プロである」として敬意を示して信頼を寄せるなど、弁えるべき部分は弁えている。
基本的に物欲や名誉欲は薄く、ハスハ侵攻戦での戦利品であるカイエンの遺したMHシュペルター(GTMデムザンバラ)を、敢えて部下の駆け出し騎士ジョー・ジィッド・マトリアに与えている。
ファティマを嫌っており、エストと出会うまでは信用性と安定性の観点から非人間型のエトラムル・ファティマを愛用していた。
しかし、ファティマやMH(GTM)の扱い方自体は至極まともで、黒騎士となってエストをパートナーにしてからの彼女の扱いについても、口では恫喝して荒っぽく扱っているように見えながら、戦闘後にはきちんとメンテナンスを受けさせるなど演算兵器として的確に使いこなしており、決して「ファティマの魔性」に惑わされるようなことはない。
そのため、後世では最もエストを上手く使いこなした黒騎士としても知られるようになるという。
ミラージュ騎士団のスパーク(ピッキング・ハリス)こと薔薇の剣聖マドラ・モイライとはブラック3によるフロートテンプルへの殴りこみ以前からの知り合いらしく、後に彼女との間に後世に剣聖として名を馳せる息子ベルベット・ワイズメルをもうけることになる。
騎士として
先述のように騎士としては超一流の実力と才能を持っており、作中最強クラスの騎士の一人。
完全な我流剣術だが、それゆえに「型」に縛られることがなく、相手に合わせて一刀・二刀を巧みに使い分け、相手の剣を受け流しつつ変幻自在にパターンを変えることのできる「重み」を持つ。
さらにストラトブレードも織り交ぜるため、何の対策も無く正面から斬り合えば相手は成す術無く受け流されて無残に斬り刻まれる羽目になる。
二代目黒騎士であったロードス・ドラクーンを私闘で軽く返り討ちにして殺害している他、ボスヤスフォートやビューティ・ペールら三人(ブラック3)でアマテラス不在のアマテラス・キングダム・ディメン(A.K.D.)王宮フロートテンプルに殴りこみをかけた際は、メンバー一人一人が一国の剣指南役に相当する実力の持ち主であった当時のミラージュ騎士達を相手に大暴れし、ウラッツェン・ジィとステート・バルロに重傷を負わせ、A.K.D.剣術指南役であったヌー・ソード・グラファイトを斬殺した。
ハスハ最強の騎士であったスパークと引き分けとなる形で負傷し退却させられたが、この時A.K.D.で迎撃指揮を執っていた斑鳩王子(サリオン)はデコースの剣に対抗できそうなミラージュ騎士は剣豪アーレン・ブラフォードと本能だけでなんとかするアイシャ・コーダンテくらいだと述べている(運悪く二人とも不在だった)。
モーターヘッド戦でもその実力は遺憾なく発揮されており、まだ無名の駆け出し騎士だった頃、中古品のMHデヴォンシャとエトラムル・ファティマで、フィルモア帝国筆頭騎士団ノイエ・シルチスの三銃士が一人のバーバリュース・Vが率いていた帝国主力MHサイレン3騎を相手に一瞬で勝利、自分の強さを知らしめるために敢えてバーバリュースだけを見逃している(帰国後、バーバリュースは「無名の騎士に負けて生き恥をさらした」として国中からバッシングを受け、彼とその娘クリスティン・Vの人生は大きく狂うことになる)。
集団戦もお手のもので、ハスハ侵攻戦では部下の指揮を執りながら、自らも重装甲化したMHバッシュ・ザ・ブラックナイト(GTMダッカス・ザ・ブラックナイト)を駆り、剣だけでなくシールドバッシュによる打撃をハンマーのように巧みに使いこなし、メイスを装備したハスハ主力MHA・トール(GTMバーガ・ハリ)を次々と撃破するなど、鬼神の如き強さを星団中に見せつけた。
作中での動向
星団暦2985年、ダラッカ内戦にてバーバリュース・V率いるフィルモア帝国主力MH3騎を一人で撃破する。
2988年、トラン連邦でのファティマお披露目会で悪徳領主ユーバー・バラダの甥として物語に初登場。アマテラスとラキシスのK.O.G.に一瞬で敗北する。
連載最初期ということもあって、この頃の扱いはまだちょっと軽く、キャラも微妙に定まってなかった。
2990年、自分に意見をしたとして2代目黒騎士ロードス・ドラクーンを二刀流で返り討ちにして殺害する。
2995年、カステポー周辺で悪党騎士退治で名を馳せていたヨーン・バインツェル少年とバーシャに扮したエストと巡り会い、ヨーンと対決。軽く勝利するが、ヨーンの戦い方に才能を見出したのか、彼が自分との戦いから「高レベル騎士との戦い」という経験を積んだことをわかっていながら命までは奪わずに敢えて見逃す。
さらにバーシャからはマスターとして求められたものの一旦は拒否。しかし、本性であるエストが正体を現し、自分が黒騎士として認められたと判るや、「星団中の騎士の憧れである黒騎士という名誉ある称号が、自分のような下劣な人間のものになると、きっとそいつらが嫉妬してとても面白いだろう」という歪んだ意義を見出して黒騎士となる。
3010年、バッハトマ騎士団長としてボスヤスフォート、ビューティ・ペールら三人でアマテラス不在のA.K.D.王宮フロートテンプルへ奇襲をかける。
3030年、魔導大戦勃発。バッハトマ騎士団のMH部隊を率いてハスハ侵攻戦を戦い、ハスハ連合王国の首都ペイジを制圧する。
3031年、ハスハ西部のノウランに奇襲をかけて制圧、AP騎士団スキーン隊本陣を壊滅させる。GTMダッカスにガタが来つつあることを察し、オーバーホールを決意。その間にエストを一時里帰りさせ、そのエスコート役にアララギ・ハイトを付ける。
3060年頃、マドラ・モイライとの間に息子ベルベット・ワイズメルが誕生する。