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M1911の編集履歴

2018-05-26 15:18:47 バージョン

M1911

えむいちきゅういちいちえむないんてぃーいれぶん

1911年にアメリカ軍に制式採用された自動拳銃。

概要

1911年にアメリカ軍に制式採用された、コルト・ファイヤーアームズ社製のシングルアクションの自動拳銃。

シングル・カラムのマガジンのため装弾数は7+1発と少ないが、枯れた技術で信頼性は高い。

元々の使用弾薬は.45ACP弾だが、9mmパラベラム弾、.38Super弾、.40S&W弾、.22LR弾などを使用するモデルもある。数値上は9mmパラベラム弾も.45ACP弾もそれほど威力に差はないため、好みで選べば良いが、射撃競技用には.38Super弾が好まれる。

旧式の拳銃のため重く、パーツの耐久性に難があるが、フレームの軽量化等によりそれらを克服したモデルも各社から販売されている。しかし、「銃が重いため発射時に体感する反動が軽い」という利点を捨てる事でもあり、痛し痒しである。

M1911は、アメリカ人にとって馴染み深い拳銃であり、アメリカ市場を想定した拳銃の開発において「M1911に近い操作系統やグリップアングルにする」、「.45ACP対応モデルを作る」といった点を重要視する銃器メーカーは多い。

また、アサルトライフル狙撃銃ピストルグリップをM1911の形状に変更する交換用グリップが売られており、物によってはフレームと一体となったグリップがM1911と同形状となった狙撃銃まで作られている。それらはM1911用のグリップパネルが装着できるものが殆どである。


性能諸元(.45ACPモデル)

口径.45(11.43mm)
使用弾薬.45ACP
装弾数7+1
全長216mm
重量1,130g

開発

1898年の米西戦争でのフィリピン出兵時、薬物を使用し興奮状態のモロ族の戦士達はコルトM1892で撃たれても戦意を喪失する事なく立ち向かってきたため、.38LC弾では威力が低いと考えられた。また、リボルバーより装填に手間がかからない自動拳銃が求められた。

戦訓を元に、弾薬としては.45LC弾を自動拳銃用にリムレス化した.45ACP弾、拳銃としてはM1900を.45口径化したM1905がコルト社で開発された。M1905の作動不良を解決したM1911はアメリカ軍に制式採用された。

M1911のファミリーでは、第一次世界大戦の戦訓を元にM1911を改良したM1911A1(1927年)、短銃身のコマンダー(1949年)を改良したM15ジェネラル・オフィサーズ(1975年)もアメリカ軍に制式採用された。

警察向けに.38スーパーに口径を変更したものが売り込まれたが、当時リボルバーが主流であったことに加え、マグナム弾のような強力な弾があった事からあまり売れず失敗と言える有様であった


M1911の現況

1988年にベレッタM9がアメリカ軍に制式採用されて以来、最前線を退いていたが、アメリカ海兵隊のMEU(海兵隊遠征ユニット)やDET-1(海兵隊特殊作戦コマンド第1分遣隊)などのようにいまだにM1911を使用する軍事ユニットもあり、MEUへは「MEU」モデルの拳銃が納入されている。これはMEUで保管していたM1911A1のフレームに、スプリングフィールド・アーモリーキャスピアン製のスライドを載せ新規のパーツで組み立てたものである。中古M1911の在庫がなくなって以降はスプリングフィールド・アーモリー社製のトラストモデルをベースとしている。そして正式に採用されたことで「M45」の名称がつき、M1911のファミリーが制式採用拳銃の一つに復帰する事となった。

2012年、M45(MEU)の後継機種としてM45A1 CQBPが採用されているが、現在はMARSOC(海兵隊特殊コマンド)の公式拳銃としては使用されていない。


民間販売モデル

M1911の民間販売モデルは、M1911そのままのガバメント、護身用に短銃身化されたコマンダー、射撃競技用のナショナルマッチの3系統に分類される。

100年以上生産されてきたため、カスタム・パーツは非常に豊富である。

「鉄砲の弾は大きく重くなくてはならない」というアメリカらしいマッチョな風潮から、.45ACP弾への信頼は信仰に近いものがあり、軍や警察の制式採用拳銃がヨーロッパ勢に席捲された現在も、根強い人気を誇る。

様々なコンテンツで取り上げられてきたため、アメリカ国外でも知名度は高い。スティーブン・セガールハンニバル=スミスネイキッド・スネークなどが愛用する銃として有名。


護身用に使うには反動が強すぎる等、販売開始当初は不人気な銃であったが、1970年代に.45オートの神様と呼ばれたジェフ・クーパーがM1911A1を用いたタクティカルシューティングを行った事で人気が高まり、市場を確立するに至ったが、残念ながら前述のようにホームディフェンス用としては不適切な銃ということもあってマニアの言うほど売れるという状況ではなかった。また、競技用としては.45ACPは過剰であり、.38スーパー等の小口径モデルが主流となった。

元々、M1911A1にはドロップセーフティ等の暴発防止の安全装置が無かったが、'80年代にAFPB(オートマチック・ファイアリング・ピン・ブロック)を採用したシリーズ80を発売したところ、これがトリガーワークに影響を与える構造であったことからシューター達が他社製のコピー・ガバに流れた。更に当時はスペインの工場で製造した粗悪な部品が混じっていたり、アメリカ製であっても加工にミスがあるなど、銃自体の品質も問題となっていた。

品質の向上を行い、有名カスタムショップがシリーズ80をカスタム・ベースにしたり、他社製のコピー・ガバがAFPBを採用するようになり、ようやく客が戻ってきたが一度付いた悪評は払拭することは出来ず、度々起きるコルト社の経営悪化もあって現在も悪評は付いたままとなっている。

シリーズ80をベースに、アメリカ軍の制式拳銃トライアルに向けてダブルイーグルが開発されたが、旧来のフレームにダブルアクション機構を詰め込んだ無理のある設計であり、トライアルでは惨敗し、民間向け市場からもすぐに姿を消した。

その後、SOCOMピストルトライアルにダブルイーグルをベースとしたM1911A2が提出されたが、惨敗であった。

現在はフレームにアンダーマウントレールを一体化したレールガン、8連化したマガジンなど、現在の主流に合わせたモデルを追加しているが、基本的にはシリーズ80から変更はない。

コルト製品は高級路線を押しているが品質は並みと言える程度であり、価格、品質、カスタマイズなど、様々な面で他社製品に劣っており、その歴史から来るブランドイメージに支えられているといった有様である。


現在、コルト社は拳銃市場からは実質撤退とまで言われる状況であり、現在製造されているのはガバメント・モデルとシングルアクションアーミーのみである。


日本での実績

第二次世界大戦後、アメリカ政府は日本国内の急速かつ深刻な治安悪化を憂慮し、従来サーベルを携行していた警察官に拳銃を携行させることとなった。

ほぼ同じ時期に警察予備隊が発足、日本に再軍備が決定し.45ACP弾を用いるM1917リボルバーなどを供与する予定であったが数が足りず、M1911・M1911A1も貸与・供与されることとなった。

  • 警察

警察では主に自治体警察にて使用されていた。流石にこの銃は日本人の体格には大き過ぎ、警察用としても威力過大気味で、警察や日米両政府としても38口径回転式(S&W M10など)などを主として調達していたが、全国の警察官に支給するには圧倒的に数が足りなかったためか、M1911もお巡りさんの相棒となった。

当時の警察で一般的だった38口径回転式よりも大きく重い為、同じ弾を使うM1917共々体格の良い警察官に優先的に与えられていたという。

当時、警察の規定では全弾装填分に加えて予備弾を二回分持つこととなっており、M1911の場合は銃に7発と予備の14発で合計21発持つことになる。このため、M1911を与えられた警察官には弾倉2本が同時に支給され、革帯左前側に弾倉が2本入る革製のたま入れを装着していた。

現在と較べるとやたら火力が強く感じるが、終戦直後から安保闘争が終結するまでは日比谷の血のメーデー事件に代表されるように現在では考えられないほど治安が悪く、一度暴動が起きると凄惨な結果を引き起こしたためである。

一方で、銃の数に対して予備弾用の弾倉の数は充分ではなく、時期や警察署、或いは部署によっては予備の弾倉が支給されなかったため、不運にも支給されなかった者は予備の実包をバラ弾で携行することとなった。

予備彈の規定は昭和40年代中頃に特例を除いて無くなった。

M1911は昭和の末から平成の初頭頃にニューナンブM60等に更新されて姿を消した。

  • 警察予備隊・保安隊・自衛隊

警察予備隊時代に供与され、保安隊を経て自衛隊なってからも使用された。

M1911は11.4mmけん銃と呼ばれて、幹部戦車長・バズーカ(M9・M20等)・対戦車誘導弾などの大型火器を運用する者などの自衛用、警務隊などで使用されていた。

1982年に9mm拳銃ことSIG P220が採用されたため現在では第一線を退いて予備装備として保管されている。


コルト社以外のM1911

第二次世界大戦中は大量に必要になったため、スプリングフィールド造兵廠レミントンランド社(印刷機器製造会社)、イサカ社、シンガー社(ミシン製造会社)その他で臨時製造され、他社製のM1911の方が多かった(第一次世界大戦時の供給不足では、M1917リボルバーが採用された)。

戦後は余剰品となり、コルト社が民間市場に販売したことでM1911=コルト社、M1911=ガバメント(官給型)というイメージが根づいた。


現在ではM1911の特許期限は切れているため、他社によるコピー品、カスタム品が非常に多い。アメリカ本国のS&W社、ブローニング社、スプリングフィールド・アーモリー社などの他、ワルサー社、SIG社などの海外勢もこれに加わり、冷戦期に東側だった国でもクローンが製造されている。

特許切れ前からもコピーモデルやライセンスモデルは製造されており、ブラジルのインベル社では軍向けのM911を製造し、現在もスプリングフィールド・アーモリー社にフレームを供給している。


改良はフレームのアルミやポリマーへの素材の変更やアイアンサイト取り付け方法の変更、フレームへのアンダーマウントレールの追加などの互換性を維持できる程度だが、ダブルアクション機構を採用したり、カートエキストラクターを内蔵式から外装式へと変更、リンクを用いないショートリコイル機構を採用する、フレームのみ使用して他の銃のスライドを流用するなど、互換性を捨てた大幅な改良を行っているメーカーもある。

特に変わったものではシングルショットピストルのタンフォリオ ラプター(中折れ式)やパックマイヤー ドミネーター(ボルトアクション式)、ガスオペレーション式のアヴェンジャーなど、機構の殆どを捨ててフレームのみを流用したものも登場している。


STIインターナショナル(旧Strayer-Tripp, Inc.)社(STI(SUBARU TECNICA INTERNATIONAL)社とは無関係)ではダブルスタックハイキャパシティマガジン、ポリマーグリップ、ロングシャーシを採用した100年後のM1911の意味を込めたM2011(所謂ハイキャパ)を販売、STIから独立したストレイヤー・ヴォイト社(現在の社名はインフィニティ・ファイアアームズ)でも同様の製品を販売している。

機構そのものはM1911の物を受け継いでるが、フレームを含め別物となっているため、共通部品はトリガー等の一部に限られている。


日本においては自衛隊向けの拳銃として本銃をベースとしたM57A及びM57A1が新中央工業(現:ミネベアミツミ株式会社)により開発されており、口径が9mmx19弾に変更、グリップセーフティの省略などの違いがあった。

M57Aは弾薬の共通性の維持等により採用されず、M57A1はP220に敗れて採用されず、共に公用拳銃の座を逃している。


関連画像

弾切れ( ゚∀゚)o彡゚ 兄貴!兄貴!


関連タグ

コルト・ファイヤーアームズ ガバメント 拳銃 ミリタリー

SW1911 M45

M92F M1911に替わりアメリカ軍制式採用拳銃「M9」となった。

P320 陸軍でM9の後継である「M17」及び「M18」となった。

スティーブン・セガール 出演作で頻繁に私物を含むM1911を使用し、プライベートでも収集している。

渡辺謙 映画硫黄島からの手紙栗林忠道役では、グリップが象牙製の彫金モデルを使用。作中ではアメリカ駐在中に贈呈された描写が有る。


他国語記事

M1911

外部リンク

wikipedia:M1911

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