概要
1979年から1986年まで「少年ビッグコミック」に連載された新谷かおるの漫画作品。全23巻。
ファンの間ではその独特な世界観と繊細なメカニックの描写で高い評価を得ている。
TVアニメ版が、2004年1月9日~3月26日までテレビ朝日とアニマックスで放送されたが、クオリティの低いキャラデザイン及び作画、原作の名セリフのことごとくを改変ないし省略する荒い脚本、知識不足で稚拙な演出に加え、安いCGの多用による迫力のないメカ描写、もろに原作レイプなストーリー展開と、監督の勝手な趣味で捻じ込まれ、原作の人気キャラクターの役割を完全に奪って出てくる何の魅力もないオリジナルキャラクター等他数々の問題点(後述)により、視聴者からの評価は低い。全12話。
前述のTVアニメとは別に、1985年から1986年にかけてOVA版も制作されており、内容を再編集して劇場公開もされた。こちらもエピソードの時系列等が独自に再構成されておりオリジナルな展開がある(バクシーやチャーリーの死の描写等)ため原作準拠とはいえないものの各エピソードの取り込み方をはじめとした演出などのクオリティが高く、ファンからもそこそこに評価されている。
「巌窟王」がベースであり、友に裏切られ、恋人を奪われ、エルバ島に流されたモンテ・クリスト伯は、というくだりをそのまま使ったとのことである。
ストーリー
大手航空会社である大和航空のパイロット候補生風間真は、社長の娘津雲涼子との結婚も決まりその将来を嘱望されていた。だが、同期のパイロット候補生で親友神崎悟の策略により、激しい内戦の続く遠く中東のアスラン王国の傭兵部隊へ送り込まれる。そこは地獄の最前線、作戦地区名エリア88であった。除隊するには高額の違約金を払うか、契約満了まで生き延びるかのみ。日本へ生還するのが目的とはいえ、戦闘機乗りとして敵戦闘機の撃墜によって得られる報奨金を稼ぐ傭兵稼業に染まっていく。その長い戦いの中での数々の出会いにより、真はさらに複雑な運命へと導かれることになる。
登場人物(CVはTV版のもの。)
エリア88
主人公。親友神崎悟の策略により中東の激戦区『エリア88』に送られた。作中では一番の空戦技術を持つ。
- サキ・ヴァシュタール(CV:高橋広樹)
エリア88の司令官で、長髪に額に×字の傷が印象的。彼自身も戦闘機乗りとして一流で、度々自ら操縦桿を握り陣頭指揮を執っている(ラウンデル曰く悪い病気)。
エリア88のナンバー2を自任するパイロット。元米海軍の空母エンタープライズのVF-84航空隊でベトナム戦争を戦い帰還後平和に馴染めずエリア88にやってきた。明るい性格でムードメーカー的存在だが、自身の経歴から時折かなりシビアな一面を見せる。ベトナム戦争時の愛機だったF-14に対し深い愛着を持っている。
ヒゲダルマと呼ばれる攻撃機乗り。かつてはデンマーク空軍に所属していたが何らかの理由で除隊した後水産会社で魚群探査の仕事の裏でソ連からの亡命を手引きする逃がし屋をやっていたがある事件をきっかけに外人部隊に入隊した。
エリア88に配属された最年少パイロット(15歳)。
- セイレーン・バルナック
- ラウンデル(CV:服巻浩司)
- マッコイ(CV:大塚周夫)
エリア88にティッシュペーパーから核弾頭まで調達してくる武器商人。かなりの守銭奴だが88メンバーには情を見せることも。
元西ドイツ空軍所属でサキが陣頭指揮を執れない際に隊長を任される腕の持ち主。(シン曰く指揮のとりかたはサキより安心感があるとの事)だが宝探しの際自費で出撃していたり(名前が呼ばれるのみだが)、シンの機体に着ける無線機に自国の製品を推薦したりする一面も。
ベトナム出身の傭兵で通称はトンキン湾の人食い虎。初登場時かなりの残虐な性格だったが88メンバーとの交流を経て軽口を叩き合える仲になっていった。
- バム・アッサン
- ボウマン
悪魔の口といわれる危険な目標への攻撃命令を受け、5千ドルの罰金を払って命令を拒否しようとしたが貯金が2千ドルしかなく、シンに借りようとしたが断られ、仕方なくジェフとペアを組んで出撃するが3万ドルを稼いで生還、撃墜されたジェフに対しては運がなかったと言い放った。
- ボリス(CV:秋元羊介)
元英空軍の少佐(TVアニメではなぜか元米空軍出身と間違って描かれている)で対地攻撃に関して天才的な腕の持ち主。寝るとき電燈をつけたまま寝る癖があるが、これにはある理由があった…
- モーリス
序盤に登場したパイロットで対地攻撃では屈指の腕前を持つが「老いた頭じゃランプ一個増えただけでもう混乱しちまう」と旧式なレシプロのT-6練習機に乗りつづけている。
- ランディ
- マリオ・バンディーニ
- ルロイ・ヘンダーソン
- ライリー・オコンネル
- キャンベル(CV:田中大文)
片腕片足が義肢のパイロット。通称鉄腕キャンベル。
- チャーリー
- ジェンセン
- マロリー
- カーライル・ベンディッツ
- ジェス
- ブリッキー
- キトリ・パルヴァーネフ(CV:小林沙苗)
TVアニメ版のみに登場するオリジナルキャラクターで、女性パイロット。原作のセイレーン・バルナックのポジションを奪う形で登場する。
プロジェクト4
風間真の親友にして彼を陥れた宿敵。
真とは同じ孤児院の出身だが利用できるものはなんでも利用すると公言していた野心家で、裏で米企業「マックウェル・インターナショナル社」と共謀し大和航空の経営を乗っ取り、同時にシシリー系マフィア・ファリーナグループにも接近し、シンの確実な抹殺を陰から狙う。
しかし見返りとして導入させたマックウェル社の機体MB-14はあからさまな欠陥機であり、案の定墜落事故で多くの犠牲者を出す大惨事となり、安田妙子の手によって策謀が露見し失脚する。しかしジュゼッペ・ファリーナを彼の秘書ジュリオラ・エッティに毒殺させることでファリーナグループを掌握、ジュゼッペ・ファリーナが生前に立案し封印していた計画「プロジェクト4」を発掘し実行に移す。
その野望の裏には真の知らない彼ら二人の出生に纏わる秘密があった……
- ゲイリー・マックバーン
- ジュゼッペ・ファリーナ
- ジュリオラ・エッティ
- セラの父/ バルナック
- ロバート・ミルズ
- ハービー・ジョーンズ
- ポール・ブレナン
- マイケル・ケンパー
- ジョージ・スコット
- デビット・ホール
アスラン王家
- ザク・ヴァシュタール
- ソリア・ヴァシュタール
反政府軍
- アブダエル・ヴァシュタール
サトル・ファリーナの策略によって自身の最も大切な妻の霊廟を焼き払われるさまを見せつけられ精神的に追い詰められサトルの傀儡にされた上に麻薬漬けにされ正気を失い錯乱し監禁されてしまう。
- リシャール・ヴァシュタール
その他
- キルビック大佐
- ローラン・ボッシュ
- ニップル
- マップ
- スラッシュ
- エラー
大和航空関係者
大和航空の社長で津雲涼子の父親。
- 沢松之助
その他
- 六木剛
- バルラ・オム・ナダト
- 海音寺八兵衛
- 海音寺美鈴
- ショウイチロー・イトー
- ベルベット
- 新庄
主題歌(TV版)
オープニングテーマ
「MISSION(FUGA)」
演奏 - angels / PRODUCED - NObby uNO / SOUND PRODUCED - VINCENT DE MOOR / STRINGS ARRANGEMEN - TATSUKI TAGAYA
エンディングテーマ
「戦場のダンス - dance in the battlefield -」
作詞 - 高橋研 / 作曲・編曲 - 渡部チェル / 歌 - 寺田恵子
余談
- 作者の趣味を反映している為か日本では(軍事関係の愛好者を除いて)一般的には余り知られていないような戦闘機も多数登場しており、模型メーカーやゲームメーカーの扱う機種の中には本作の影響を受けたと思しき物が散見される(ドラケン・クフィル・タイガーシャーク・X-29等)。
- 2015年の夏コミ(C88)にて、作者自身が「A88」ブースに出展。更には、コミックマーケットのカタログ表紙までエリア88が飾る事になるとは誰が予想しただろうか?
コミックマーケット88、カタログ表紙は新谷かおるさんの「エリア88」!
- もう1人の主人公にして原作ではラスボスの神崎悟は旅客機機長、会社社長、マフィアのボス、指揮官、戦闘機の操縦で、戦闘機の操縦を除き才覚を発揮したのは最早チートの領域で、これも連載長期化の弊害と言える。 そして、そのチートさは超電子バイオマンに登場した新帝国ギア・総統ドクターマンに匹敵する。
関連タグ
ファントム無頼 新谷かおる作画、史村翔原作の別作品。同じく戦闘機パイロットを扱った内容だがこちらはコミカルなシーンも多い。作中「エリア88よりはマシなところ」などのネタが登場したり、モブキャラクターに交じって風間真が一コマ写っていたりハワイの米軍基地にエリア88所属機が駐機してあったりのセルフパロディが何度かある。
ふたり鷹 こちらも新谷の別作品。本作のキャラクター「フーバー・キッペンベルグ」がスター・システムにより「風羽 正」として登場したり、「ふたり鷹」最終巻おまけでは登場キャラの一人「沢渡 緋沙子」が安田妙子と同じ役者が演じていたという設定でネタが描かれたりした。
愛読者。作品名はぼかされているが、台詞の引用などで言及がある。