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憲法9条の編集履歴

2019-11-13 18:19:10 バージョン

憲法9条

けんぽうきゅうじょう

憲法9条は国家等が擁立する憲法のうち9番目に記載されている条目であるが、特に断りのない場合、日本国憲法第9条のこと。

前説明

 統治の根本規範となる基本的な原理原則に関して定めた法規範である憲法のうち、憲法典として制定されているものの9番目の条文を指す。

 たとえば各国の現行の成文憲法においての第9条は、ドイツの憲法であるドイツ連邦共和国基本法では「(憲法の目的に反しない限りの)結社の自由」であり、イタリアイタリア共和国憲法では「文化の推進および記念物の保護」、フランスフランス共和国憲法では「大統領に関する事項(詳細不明)」、が定められている。

 しかし日本においては特段の断りがない限り、現在日本国で施行されている憲法(日本国憲法)の第9条、すなわち「戦争放棄」を指す。

 ここではそれに関して説明を行う。

概要

 この条文は「国権の発動である戦争および武力の行使等の放棄」および「そのための手段の不保持」を定めたものであり、これは日本国憲法の三大原則の中のひとつとされる「平和主義」を示すものとされる( 他の二つの原則は「国民主権」および「基本人権尊重」 )。

条文

 第九条

  1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

ものすごく簡単に言うと

今後ヨソにケンカは売りませんしそのためのエモノも持ちません」である。

政府解釈の変化

 2011年時点での政府(内閣法制局)の解釈としては「前項の目的を達するためと条文にあるため、降りかかってきた火の粉を払わないというわけではありません」という解釈が行われている。

 すなわち降りかかってきた火の粉を払うための実力組織( すなわちこの「軍のようなもの」は自衛等の目的であり、国際紛争を解決する手段としてのその他の戦力、すなわち「軍隊」ではない )として自衛隊が設置・運営されている……ということになっている。


関連する憲法の条文

第十一条

 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

第十三条

 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


十一条は基本的人権の不可侵、十三条は個人の尊重と幸福追求権・公共の福祉による人権の制限に関する条文である。これらによって、他国からの攻撃に対して武力によって守られる国民の権利、平たく言えば

『降りかかってきた火の粉に焼かれない権利』は国民の基本的人権や幸福追求権に含まれるか?

という問いが生じる。

 現在は、『降りかかってきた火の粉に焼かれない権利』はこれらに含まれることが多い。そして、国がそれを守るために、自国民を守るために火の粉だけを払う権利(いわゆる個別的自衛権)は行使できるとされている。


ちなみに……。

  • 大日本帝国憲法の第九条は「天皇は各種目的で命令を出すことができる、ただし命令により法律を変えることはできない」という内容である。
  • なおアメリカ合衆国の憲法であるアメリカ合衆国憲法の場合、本来の条文が8条までしか存在せず、のちに追加された条文には修正と付加されるため、実際には存在しない。ただし修正9条が存在する。
  • 日本国憲法は占領下で国際連合、実際には日本国を実質支配した連合国軍最高司令官総司令部( 以下GHQ )に押し付けられたという「押し付け憲法論」という議論が存在する。
    • 特にこの条文に関してはそれが強く言われることがあるが、日本国憲法に特異な条項と言え、しばしば改憲論議の焦点となるその第2項に関してはGHQ草案に既に存在するものの、マッカーサー幣原喜重郎の証言などから幣原が最初に提案したものである、との考えが優勢である。第1項は第一次世界大戦終了後に締結された不戦条約( 1928年に定められた条約、「締約国相互の侵略戦争の禁止し、紛争は平和的手段により解決する」ことを規定した。パリ不戦条約、ケロッグ=ブリアン条約とも )の第一条に類似しており、第二次世界大戦の多くの国の憲法で定められているものである。
  • 憲法九条の衆議院での審議に際しては、この条文の内容に関する修正が行われている。これより後に自衛隊が所有可能という解釈が生まれた。
    • 第一項の日本国民は、正義と秩序とを基調とする国際平和を誠実に希求しという部分を追加し、第二項においては前項の目的を達するためという部分を追加している
    • これは日本側の意向で付け加えられたものであることが明らかである( 帝国憲法改正小委員会の委員長であった芦田均、後に内閣総理大臣、の名前を取り芦田修正と呼ばれる)。
  • 日本の軍事力保持を禁じた本条項は、日本国憲法前文との対立や国際情勢の変化などによりほどなくGHQの思惑と齟齬を生じた。そのため解釈の変更による実質改憲が行われた。
    • 国際情勢に関して具体的には、朝鮮戦争冷戦の激化のなかで、政府による憲法9条の解釈変更、そしてそれによる警察予備隊およびその後身である保安隊自衛隊の創立は連合国、特にアメリカ合衆国の思惑を背景にしたものであるとされる。
  • 集団的自衛権の行使は憲法9条に抵触するという考えが憲法学者の中では優勢である( Yahoo!ニュース「なぜ憲法学者は「集団的自衛権」違憲説で一致するか? 木村草太・憲法学者」 )。
  • 2015年には憲法9条に関する議論を主題とした恋愛アドベンチャーゲーム発売予定と発表。
    • 平成27年3月27日に蛇ノ道ハ蛇ソフト( ベースユニットが立ち上げたアダルトゲームブランド、主としてバカゲーを出す傾向がある )よりDS9 ディベートスクールナインとして発売され、2016年現在ダウンロード販売も行われている。
  • 9条2項については与野党の議員や学者などからも『対米従属』や国際法違反の指摘があり、井上達夫伊勢崎賢治等、リベラル派でありながら削除や国際法違反すると述べた言論人もおり度々、問題視される。
  • 9条の改憲は石破案(自民案)の9条2項削除、安倍案の自衛隊明記、山尾案の立憲的改憲の3種類がある。主に自衛隊の役割や集団的自衛権容認か個別的自衛権のみに制限させるなどの違いがある。

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